走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

家族への最高のプレゼント

2020年01月11日 | 仕事

私の患者が突然亡くなりました。司法検察医から電話をもらいました。死亡診断書を書きました。

数日後に遠くに住む家族から電話をもらいました。州も違うし遠方だから手続きに戸惑っていると。広いカナダ。東と西海岸で時差が3時間半もある広さですから、飛んでくるというわけにはいかないこともあります。死亡診断名を聞かれました。理由を聞くと新聞のご冥福欄に出すためと。その後も色々聞かれました。会話をしているうちにこの家族とは疎遠だった事がうかがわれました。で、最後の質問は火葬か土葬かどちらが希望だったか言ってましたか?と。そう言う会話はありませんでした、と伝えると、そうですよね、と落胆の声。

その患者が診察に来る時は疾病のコントロールのため。余命宣告するような疾病はなかった方だから、そんな話はしませんでしたよ、と心の中で思うのであった。ホスピス緩和ケアで働いていた時は患者さんに、聞かれたり相談を受けることは確かにあった。しかし今の仕事では皆無。

疎遠でも身近でも他人の事を決めるのって負担になるんですよ。だから全員とは言わないけれど治癒できない疾病だったり、高齢になったら、残された身内の方のためにも細かく希望を明確にしておいた方が良いですよ。それが最後の最高のプレゼントになる事間違いなしです。


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