走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

天秤

2020年12月10日 | 仕事
アルコール依存から回復した後、鬱になったり睡眠障害は頻度の高い成り行き。なのでしっかりその辺りを説明と治療します。

で、彼女は薬の副作用について延々と話します。それを書き留めた後に私は問います。

退院後眠れず、死にたいと思っていた時と今とどちらがいいですか?副作用も含めて考えてみてください。

彼女は迷わず今と言います。では治療の続行です。
どんな薬も作用と副作用がある。それを経験するのは私ではなく患者。処方は作用と副作用、患者にとってのプラス点とマイナス点をいつも天秤にかけなければなりません。

最終的に自分の治療を決めるのは患者。そうでなければカスタマイズされた継続的な治療はできません。特に精神科疾患領域では大事です。幻聴は完全に消えるが副作用が強すぎて意思の疎通ができない、では患者の生活の質はありません。匙加減を患者の希望に合わせる。それには先のように患者に決めてもらう。とても大事なことです。


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