走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

お酒の文化

2021年02月21日 | 仕事
アルコールについても何度も書いてきましたが、今回は「急性アルコール中毒死」について。

残念なことに日本でもカナダでも若者がこれで命を落としています。カナダで最もこれが発生する時期は5月の終わりから6月。高校の卒業式のシーズンです。卒業のパーティーは公のものからプライベートパーティーへ移り朝まで続きます。その中で命を落とす子供たち。BC州の飲酒は19歳からとなっているので、高校卒業生の飲酒は違法行為です

しかし親が子供に酒を購入して与える家庭もあるぐらいで、高校生のアルコール依存だって珍しくありません。

で、5月になるとよく見かけるのが Dry Graduation キャンペーン。
Graduation は卒業。Dryはドライ。アルコール抜きの卒業、という意味。酒屋の前で募金を募ったりDry grad(短くして)の啓蒙活動です。これは急性アルコール中毒で子供を亡くした親が始めた活動で、毎年引き続けられています。

親として子供にできることは、アルコールを短時間に大量に摂取すると、アルコールに強い、強くないに関係なく中毒が起こり死亡する、と言うことを伝え、自分でそれを率先してする事、人に飲酒を強制する事を絶対にしない。その様な状況になった時(ピアプレッシャー)の対応方法を話し合う、事でしょう。

大量のアルコールと書きましたが、アルコールの反応は個人差があるのであなたにとって平気な量でも他人にとっては致死量になりかねないと言うことも知っておかなければなりません。

お酒は嗜むもので呑まれるものでも飲まされるものでもありません。笑いが取れて場を和ませるための必需品と考えている貴方、そんな謝った思考や文化は断ち切るべきと医療者として、そして母親として私は思っています。



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