走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

薬剤師によるRefill論議

2022年03月19日 | 仕事
昨日のブログでTwitterの方でやりとりがあったのでこちらにコピペします。

こっちは@keita_genuine さんと「」なしは私。

「オンライン診療をすすめていくと、いつかこんな話になるんじゃないかと思ってましたが。カナダの場合は処方のみの繰り返し受診はどの程度の期間(繰り返し?)可能なのでしょうか?」

それもそれぞれのプラクティショナーに任されています。ケースバイケースです。参考にするとすれば、慢性期疾患は最低でも年に3回診察しないとボーナスポイント(診療報酬)が取れないので最長でも3〜4回は年間に診察をしています。だから最長3〜4ヶ月ですね。

ケースバイケースなので、ホラーストリーは頻繁に起こります。患者が国外へ出国していたのに一年以上処方し続けたとか、患者が妊娠していたことを知らず妊娠不可の薬を処方し続けたとか。患者に診察なしの長期処方をする弊害を説明したかどうか、カレッジの目は光っています。

NPになりたての頃は薬局に嫌われましたよ。私は3ヶ月以上は書かないので。診察に来ない限りRefill しないし。嫌われてもスタンダードに見合わない行為はしない。これに限ります。

「制度のデザインやフレームワークは、日本・海外良し悪しですね。日本では海外素晴らしいになるも、そのホラーストーリーは前提にされてない

日本は制度で縛る、野々内さんの発信ではカナダでは医療者の善意による、という感じですね。その地域や組織の成熟度合いで、どちらがよいか考えはわかれそう」




以下はTwitterには書いていない私の考え。

今、日本で薬剤師によるRefill (診察なしの処方箋の繰り返し)をするか検討されているようですね。ググると海外で既に導入されているから、と殆どの記事が書いていますね。@keita_genuine
さんが書かれているように、「海外素晴らしい」が前面に出ているのでしょうか?

どんな制度も完璧ではなく、長所と短所はありますが、目的に向かって調整と改善していくことでより良いものになると思います。それをし続けるのが医療だと思っています。そしてその元になるものはエビデンスであり、医療経済効果であり、安全ネットの有無であるべきだと私は考えています。「海外で上手くいっているから」ではなくて、先のような内容で討論するべきと思います。しかしその一方で日本は変に保守的なところもあるから、海外を見て、それがきっかけで、変革に向かうのは悪いことではないと思います。と、同時にやはり不安な気持ちになります。何故なら安全ネットやプラクティスについてバックアップしてくれる組織のないまま(例えば免許を管理する団体のカレッジとかボードとか)きていると思うからです。

おっと話が逸れてしまった。カナダで薬剤師は処方権を持つようになったのはNPが誕生した時と同じ時です。薬剤師の教育課程に診察が組み込まれました。NPや薬剤師だけではなく他のプロフェッショナルも処方権を持つようになったし、そのまま自動で処方権をもらうのではなく、試験に合格したもののみ得られる権利のように制度は作られました。

日本はその辺りをどうお考えでしょうか?

レギュレーションもないまま、海外の真似ばかりしていても落とし穴が大きくなるばかりで刑事責任で罰せられる医療者が増えるだけでは?と外から見ていて思いますよ。

追伸: ホラーストリーが頻繁に起こると書いていますね。頻繁とは過剰表現でした。反省。Twitterって一度出すと訂正が効かないので、後で気づいても遅し。
@keita_genuine が書かれていた 医療者の善意は 医療者のスタンダードの解釈によるもの、の方がより的確な表現だと思いました。それと地域や組織の成熟度で提供される医療が異なるのなら医療格差の助長です。そのためにも日本には全てのプロフェッショナルにレギュレーション、スタンダード、スコープなどが必要だと私は改めて思いました。

冒頭写真: そびえ立つロッキー山脈。最高の景色のスキー場。雪質も最高!


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