MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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♯168 団塊の世代と「老後」

2014年05月25日 | 社会・経済

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 少し古いデータになりますが、博報堂の「エルダービジネス推進室」では、全国の団塊世代458名(5658(当時))を対象に実施した「目前に迫った60歳以降の人生設計」に関するアンケート調査を実施し、その
結果をまとめてWeb上に公開しています。

 調査結果を概観すると、「団塊の世代」の日本人が定年後(60歳以降)の生活で不安に感じていることは、男・女ともに「健康」と「経済」に関するものが高い数値を示していることがわかります。特に、男性では経済的な不安が何よりも先に立つようで、実に56.9%が「生活費・年金」が心配であると回答しています。

 一方、女性で「経済的不安」を挙げた割合は、男性より15ポイントも低い42.5%ということでした。むしろ、「足腰の衰え(53.8%)」や「もの忘れ(42.9%)」などを心配事として挙げる女性が男性よりも特徴的に高いことから、女性が男性よりも「身心の衰え」に不安を感じていることがわかります。特に、女性の約3分の1(32.1%)が60歳以降の「容姿の衰え」を気にしていると答えており(男性は18.3%)、こうした結果を見る限り、男性よりも女性の方が60歳以上の人生を楽しもうという気持ちが旺盛であると言えるのかもしれません。

 さらに調査では、60歳以降に生活費や貯蓄を増やすための方法についても尋ねています。その結果、定年退職後の生活をより安定したものとする方法として「再就職」を考えているとした人は全体の約4分の1、24.5%に過ぎず、実に44.1%の人が「資産運用(財テク)」による収入増を望んでいることが分かりました。バブル経済を主導した経験を持ち、ここで子育てや住宅ローンなどが一段落した団塊の世代には、退職金などのまとまった資金をいかに活かしていくかという意識が強いことが伺われます。

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歳以降の楽しみ」に関して言えば、「国内の温泉旅行」や「インターネットの閲覧」、「美しい自然に触れる国内旅行」などの男女の嗜好が共通した項目がある一方で、多少の男女差も見受けられます。例えば、「ガーデニング(35.8%)」や「メールのやりとり(34.6%)」を楽しみにしている女性が多い一方で、男性は「ドライブ(39.0%)」や「投資(28.9%)」に興味を示していることがわかります。

 この調査では、最後に、①仕事、②プライベート、③社会貢献、の3つの活動について、60歳以降の人生設計におけるウェート付け(バランス)を尋ねています。

 平均を採ると、男性では「仕事」が34.8%と約3分の1を占める一方で、「プライベート」が約半分の48.9%、「社会貢献」が16.3%という結果になっています。一方、女性では、「仕事」が24.6%と男性よりもやや低い一方で、「社会貢献」が17.1%、「プライベート」が58.4%とやや高いことが分かります。調査を実施した「エルダービジネス推進室」はこの結果について、男性は今後の人生の51.1%を、女性は41.7%を仕事や社会貢献を通じて活発に社会と関わることに使いたいと望んでいると結論付けています。

 さて、この調査から約7年の歳月を経た現在、調査対象となった団塊の世代も既に6365歳と、高齢者の入り口にさしかかっているはずです。仕事上ではおそらく既に多くの方が現役を外れ、家庭でも夫婦二人(もしくは一人)の生活を送られていることでしょう。彼らが実際、家庭の中で、地域の中で現在どのようなポジションを占め、何を目的としてどのように暮しておられるのか?7年前に想定していた生活と現実とではどのようなギャップがあったのか興味は尽きません。

 いずれにしても、現在の日本でもっとも大きなボリュームゾーンを占めるこの「団塊の世代」の高齢期の過ごし方が、これからの日本における「社会の有様」を占うひとつの「モデル」となることは間違いありません。今後、彼らの今後の生活ぶりをきちんと分析し、これから100年間続くと言われる日本の超高齢社会づくりのためのリアルな参考にしていく必要がありそうです。


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