ライブドア「BLOGOS」、「ビジネスジャーナル」、「ハフィントン・ポスト」などにコラムを寄稿しているライターの凛氏が、自身のブログ「政治学に関係するらしきもの」において、領土問題などで近隣諸国との関係が問題化することの多い昨今の中国の国家戦略に関し、示唆に富む興味深い視点を提供しています。(←5月29日「中国の行動は『中二病』の結果か?」ほか)
中国は今でこそ経済発展を謳歌しているが、しばらく前までは紛れもない発展途上国で、自分たちが生活していくのがやっとという状態だったと凛氏は指摘しています。
確かに私の個人的な記憶でも、30数年前に訪れた北京や広州は、文化大革命直後の大変に貧しい、政治的にも混乱した状態にありました。街頭のいたる所に小銃を構えた人民解放軍の(まだ「少年」と言っても過言でないような)若い兵士が立ち歩き、また朝夕には自転車に乗った何千人もの不機嫌な労働者が、人民服を身にまとい埃まみれの大通りを埋め尽くしているそんな時代でありました。
1978年の小平による改革開放政策への転換から三十数年、国家はまず経済だという中国共産党の指導(考え方)の下、中国(人民)は経済的な成長に狙いを定め、様々なことを捨象しながら「しゃにむ」に走り続けてきたという現実がそこにはあります。
思えば、結果、中国は「なりふり構っておられず」、人々の間には「何をしても良い」的な風潮が蔓延したと凛氏は言います。(←その1つの例として、行列をつくらないことや知的所有権に対する軽視などが挙げられると凛氏は指摘しています。)
ところが、そうした目覚ましい経済発展により、気が付けばいつの間にか中国の体格は「大国」となり、諸外国から何をしても関心を持たれるようになった。凛氏によれば、このことは自体は中国の自尊心を大いに満足させたが、国際社会においては「大国」には当然そうした「大国」としての責任が求められることになる。しかし、そこに気付くのはなかなか難しいところがあって、どうしても以前と同じことをしがちだということです。自覚がないのが(今どきで言うところの)「中二病」の特徴であり、大人になりきれない大国、それが現在の中国の姿なのではないかと凛氏はこのブログで述べています。
冷戦時代のアメリカやソ連は東西に分かれて「陣取り合戦」をしていた関係で、味方を増やすためにそれなりの労力を払わなくてはならず、それが結果的に「責任」という形に見えたのではないかというのが凛氏の認識です。一方、中国の場合はそうしたシガラミがないため、本人たちはこれまでと同じ様に行動する。そして、これまでと同じことをしているだけなのに、何故外国から批判を受けるのかが中国にはわからないという指摘です。
先日紹介したように、関東学院大学の新井克弥(あらい・かつや)教授は、4月9日の自身のブログにおいて、「中二病」の病態を「自己顕示欲が肥大化した状態」と総括しています。中学2年生くらいになると、それまでの「子供」の時代とは違う「自我」が目覚める時期が来る。彼らは多くの場合、彼らが身につけた一つの物差し(武器)により単純に物事を判断するようになる。そしてその武器が使えると思うことで、自らが「万能」であるようかに錯覚するという指摘です。
急激に身体が大人へと成長を見せる(13~14歳の)一時期、身体と精神とのアンバランスが生じる中、思春期の少年少女たちの自我はその膨張を規制する大人の社会との間に様々な葛藤を生みだします。特に親や教師などとの関係において「思い通りにならない」ことへの苛立ちが生じ、思春期特有の不安定さや不愉快さから、場合によっては非行や校内暴力、家庭内暴力などの反社会的な行動が顕在化するのもこの時期の特徴です。
さて、このような「中二病」は、時間の経過とともに、社会や他者との関る中で理想と現実の溝が埋まり「自然治癒」していくことが多いと考えられています。現在、中国と近隣諸国との間に生まれている様々な摩擦も、ひとえに中国の急激な経済発展によりもたらされたものであると考えれば、時間の経過とともにこうした問題も解決されていくのかもしれません。
一方、先日このブログで紹介した「ニコニコ百科」は、「中二病」の患者達は厳しい現実をいきなり突きつけられると「理想の自分」を守るためにヒステリーを起こし、最悪の場合社会との関わりを絶つ可能性があると指摘しています。急に体が大きくなった中国が、国際社会の中で自ら(の持て余された心身)の収まり所をひとつずつ見つけていくまでの間、思春期特有のデリケートで(そして苛立ち、荒らぶる)心が暴れださないよう、周辺諸国は過剰な刺激をせずにしっかりと見守っていく必要があるということなのでしょうか。
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興味津々で初めて書き込みさせてもらいました!
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