「困難に出会っても前向きに受け止めよう」「ネガティブな私にさようなら」…ソーシャルメディアに並ぶそんな見出しに辟易としている御仁も、日本には(もしかしたら)多いかもしれません。
誰にでも(物事がうまくいかず)嫌になったり不安になったりする状況は訪れるはず。そんな時、周囲から掛けられるのがこんな言葉ばかりだったら、「大きなお世話だ」と言ってやりたくもなるでしょう。
このちっぽけな島国日本で生まれ、狭い人間関係の中で「人様に迷惑をかけないように」と育てられてきた私たち。そうした中で、まっすぐ前を向き自由にポジティブに生きていくには、(それなりに)恵まれた環境が必要なような気もします。
実際、周囲を明るくするポジティブ思考が何よりも重要だと説く人は多いけれど、「自己肯定感が高くなければ幸せになれない」というのでは、それ自体ずいぶんネガティブな発想だなという気がしないでもありません。
そんなことを漠然と考えていた折、「主婦の暮らしの情報サイト」を標榜する『シュフーズ』(4月19日)に「悪いことだけではない?『ネガティブな性格の人』における5つのメリット」と題する記事が掲載されているのを見つけたので、参考までに内容を小欄に残しておきたいと思います。
最近では良くないイメージを持たれがちなネガティブな性格。しかし、(嫌われがちな)ネガティブ思考も、実は全てが悪い方向に働くわけではないと記事は指摘しています。 それでは、ネガティブな性格には一体どのようなメリットがあるというのか?その一つに、ネガティブ思考の人は危機管理能力や察知能力が高いことが挙げられると記事は説明しています。
ネガティブな人は、不安や恐怖といった感情が優勢なので、周囲をよく観察している。当然、周囲の人間関係の変化を敏感に察知しやすく、派閥の存在や危険人物をかぎ分け、自分がどうすべきなのかを見極めて行動するよう心がけているということです。
彼ら・彼女らは、内輪もめなどに巻き込まれそうなど、自分の身に不利益が降りかかりそうなときは、いち早く気が付き対処し始める。周囲の人との距離感も保ちやすい環境を整えていることが多いので、ごたごたに巻き込まれず軽やかに危機を回避できることが多いというのが記事の指摘するところです。
ネガティブな性格の第二のメリットは、いつでも最悪の事態を想定しているので、意外と打たれ強いところにあると記事は指摘しています。ネガティブな人は、常に最悪の事態を予想しながら行動している。そのため、本当に最悪の事態が起きても想定内なので冷静に起きたことを認め、冷静さと打たれ強さを維持できるということです。
そして3つめのメリット。それはネガティブな人は慎重に物事を進める点にあると記事はしています。
ネガティブな人は周囲の人に対しての警戒心が強く、誰かを頼り切って作業や仕事を進めようとはしない。(言い換えれば)自分で慎重に丁寧に物事を進めていくので、想定外のミスが起きにくい面を持っているということです。
そして、4つ目のメリットとして、記事はネガティブな人は基本的に疑り深く、そのため騙されにくいことを挙げています。
なかなか心を許さない疑い深い性格は、人と打ち解けにくい側面がある一方で、初対面の人やかかわりが薄い人を丸ごと信用することはほとんどない。相手が信頼できる人だと確信するまでに時間がかかることが多いため、薄っぺらなウソにはだまされないというのが記事の見解です。
そして、最後にもう一つ。「自分を鼓舞して成長するパワーを持っている」というのが、ネガティブな性格の人が持つ基本的な長所だと記事は話しています。
ネガティブな人は自己肯定感が低く、自分が周囲の人よりも劣っていると思いがち。だからこそ、常に向上心を持って仕事に取り組む姿勢を持てるというのが記事の認識です。
彼や彼女らは、周囲の人に迷惑をかけるわけにはいかないとがむしゃらに仕事に取り組む。人に迷惑をかけないよう惜しみなく努力を重ね、自分を鼓舞して成長するパワーは持っているということです。
さて、以上の説明のとおり、ネガティブな性格だからと言って、決して自らを卑下する必要はないと記事はしています。そして、そこに必要なのは、自分のネガティブな性格をポジティブに捉えることのようです。
最後に記事は、ネガティブな性格をうまく生かすコツをいくつかアドバイスしています。
例えば、自分がネガティブであることを自覚し、自分自身を追い詰めないようにすることや、ストレスをため込まないよう(気分転換となる)趣味などを持っておくこと。さらには、自分の状況を客観視する目を持つことなどです。
ネガティブな性格や思考回路は、絶対にポジティブ変換できるようになるべきではないと記事は最後に指摘しています。まずは、ネガティブな自分を受け止めて知ること。そのうえで、特徴を活かした仕事の取り組み方などができると話す記事の指摘を私も共感をもって読んだところです。
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