先日、出張先での昼飯時に、本当に久しぶり(たぶん数年ぶり)にハンバーガーチェーンのマクドナルドに入りました。折角なのでガッツリ気分に浸ろうと、頼んだのはビッグマックとポテトとコーラのセット。ランチタイムの割引(「ひるマック」と言うらしい)で値段は100円引きの650円でした。
これを「高い」と見るか「安い」と見るかは人それぞれでしょうが、今から半世紀近くも前の高校生の時分に入り浸っていた頃(ビッグマック単体で330円?)とほとんど違わないその価格設定に、私自身は随分と驚かされました。
聞けば、チェーンを展開する日本マクドナルドは7月18日から都心に立地する184店舗で値上げを実施したとのこと。メインとなるハンバーガーで40~50円引き上げたという話ですが、少なくともその店内はランチ客でにぎわい、アルバイターも大忙しの様子でした。
(ネット情報によれば)今回の値上げは、人手不足からくるアルバイトの人件費の上昇が大きな要因である由。確かに、店舗のウインドウに張ってあった「アルバイト募集」の張り紙には「時給1200円」とあり、ファストフード店のアルバイターの賃金もかなり上昇傾向にあることが伺えます。
とは言え、(今の日本で)ハンバーガーのランチに2000円も3000円もかけるお客がそうそういるとも思えません。客単価が上がらない中では、店舗の経営もなかなか厳しいものがあるでしょう。
そもそも、今のサラリーマンは、昼食代にどのくらいの出費をしているのか。8月8日のYahoo newsに、統計データに詳しいブロガーの不破雷蔵氏が「サラリーマンの昼食代の歴史的流れ」と題する一文を寄せていたので、参考までに概要を小欄に残しておきたいと思います。
氏によればSBI新生銀行発表の「サラリーマンのお小遣い調査」における2023年のサラリーマンの昼食代は(平均で)624円とのこと。吉野家の牛丼(並盛)が一杯400円のこの時代、(500円のワンコインは超えるものの)ビッグマックのセット価格(650円)は、おそらくそのあたりを狙ってのことなのでしょう。
同調査によると、「サラリーマン」(男性会社員)の昼食代は、最も古い公開値の1979年で565円とのこと。その後は徐々に上がり続けたものの、バブル景気の余韻が残る1992年の746円をピークに、その後は30年間にわたって漸減傾向にあるということです。
不破氏によればその下落ぶりは今世紀に入ってから、特に2005年以降顕著となり、(2007年の金融危機直前までの小康状態時期に多少持ち直しを見せるも)、その後再び下落感を強めたとのこと。消費者物価指数の動きを考慮すれば、実質的な昼食購買力は(1979年と比べ)さらに落ち込んでいたことは間違いないというのが氏の指摘するところです。
一方、そんなランチ代も2013年以降はトレンド転換の気配を示し、特に2015年以降は久々に600円を超える値をつけるようになっていると氏は続けます。
2014年4月の消費税率引き上げに伴う食品群の値上げに連動している部分もあるが、単純な昼食代の上昇と物価上昇分とでは差が生じており、物価の上昇とは別に昼食への重点投入が成されていることが分かる。そして、直近の2023年では前年比で増加し624円へ。折からの消費者物価の高騰もあり、600円台キープを果たしたということです。
因みに、氏によれば、2012年ぐらいまではおおよそ未婚者の方が既婚者よりも高い値を示していたが、2013年以降はしばしば既婚者の方が高い値となり、トレンドの変化が生じている由。一般的に既婚者は育児費用などの負担が大きく、昼食代が低く抑えられる複数の理由が考えられるが、未婚者の支出が控えめになった背景には、未婚者≒若年層≒社員食堂の利用者多し…の図式によるものではないかというのが氏の推察するところです。
いずれにしても、今調査の別項目の結果からは、サラリーマンにおける「昼食時間」はこの数年ようやく回復基調を見せるものの、それまでは確実に減少を続けてきた実態が見えてくると氏は話しています。生活リズムや生活スタイル全体がスピード(コスパ・タイパ)を求められる時代になり、ランチにお金や時間をかける位なら「もっとほかのところに…」と考えるサラリーマンが増えているということでしょうか。
さて、この記事をお読みの皆さんは、日々のランチタイムをどのようにお過ごしか。少なくとも今件のデータを見る限り、金額面もあわせ、昼食時間のせわしさ、つつましさが日々加速していることは間違いないと話す不破氏の指摘を、私も興味深く読んだところです。
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