たまたま書店で目に留まった文庫本。
武士が絵日記?小学生の夏休みの宿題じゃぁあるまいし。と思って購入です。
確かに著者は、「おそらく、絵日記としては現在のところ発見されている唯一のものであろう」と書いています。
主人公は、関東平野の一角の忍藩十万石の下級武士である尾崎石城。
当時、尾崎石城は「上書して藩政を論じたために蟄居申し渡され」、中級武士から大幅に家禄を減らされ、
養子先からも離れ、妹夫婦の家に世話になっています。
そのような状況でも友達との往来が盛んで、とても楽しそうです。
寺の住職、町人、子どもたちと日々交歓し、書を読み、歌を歌い、郊外を散歩したりしています。
もちろん、酒をたしなみ、食も楽しんでいる。
世話になっている妹夫婦からも疎んじられることはなく、 家で一番の座敷を与えられています。
下級武士の貧しくとも心豊かな生活があったことを知りえた、なかなかの本でした。
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