みりんの徒然声

日々、感じたことを日記や詩でお届けします

雪音の徒然声 消えないものラスト

2014-10-05 21:38:04 | 日記
だってどんなに探したってあたしは、やっぱり一人きりだから。夢現にもなれやしない。何一つ持ってないから。
あの人の声も思い出せなくなった頃、あたしは背中に羽を刻んだ。
望んでいた真っ白な天使の羽ではなく、コウモリの悪魔の羽と牙。
それで、ゆき、を封印した。
痛みも腫れもなく、珍しいと言われる位あっさり悪魔たちは、あたしに張り付いた。
これはさすがに一生消えない。こんな方法であたしは消えないものを手に入れた。
本とに欲しかったものかは分からないけれど。
コウモリの羽を抱き締めてあたしは自分で呼んでみる。ゆき、って。
違うな。失笑。
今日も眠れない。耳を澄ましてもあの人の声は聴こえない。
ゆき、でいたかった。
雪、になりたかった。

終わり