みりんの徒然声

日々、感じたことを日記や詩でお届けします

雪音の徒然声 小さな金魚ラスト

2014-10-15 22:41:54 | 日記
久々にゆきを、見つけたモモは有頂天でしたが、ゆきの様子がおかしいのが分かると途端に悲しくなりました。毛羽だった手を当てもなく水中に入れてかき回すゆきの手に触れたくて仕方なくなりました。

すっかり空腹で水草や手に絡まる食べていたゆきは、とうとう側に来たモモをすくい上げて、パクンと、飲み込みました。
あ、とモモは思いましたが、それでもゆきに触れることが出来て幸せでした。そのあと人間の子供達が、残していったパンを見つけてゆきはすっかり元気になりました。
金魚達はだから言ったのに、と悲しみました。

やがて春が来て相変わらず池の周りに寝そべるゆきは、モモがいないことになんだか胸がチクチク傷みました。これが、「恋」だとゆきも気が付きませんでした。
二匹の恋は誰も、お互いすら気が付かないまま終わりました。だけど確かにモモは、ゆきの体の一部になり、いつかゆきが土に還るとき、一緒に想いは空に戻るでしょう。
天敵同士の恋、これが不幸かどうかはもはや誰にも分かりません。

終わり