そしてあたしは、泣き止む事を止めた。どうしたって涙は出るし仕方ない。これ以上感情が湧かないように、何事にも負けないように、あたしは自分の結末を考え始めた。勿論、空想だ。ただ、どうしたら優しい終わりになるか、人に迷惑をかけないか考え始めた。目を閉じる。そこは小さな部屋だ。余計なものは一切なくあたしはやっぱり長生きの血が流れているのでそうとう老いながらも生き続けている。すっかり白くなった髪の毛は短く整えられ、もう若い頃のようにいちいち白髪染めしなくてよいのだと安堵している。窓際にはベット兼ソファーがあり、あたしはほとんどの時間をそこで費やす。膝の上にはやはりかなり年老いて元は茶トラだった猫がすっかり色が抜けて薄いみりん色になった毛並みバサバサの猫が喉を鳴らしている。ここがどこなのか定かではない。ひとつ言えることはここは昔のあたしを誰も知らない場所だ。
続くー
続くー