「熱帯」森見登美彦
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。
そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、
奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。
そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、
この言葉の真意とは?
物語の中に謎の物語があり、またその中に物語が・・
三面鏡の中にどこまでも続く自分の顔を見ているようで
何番目かで自分じゃない人が入ってるんじゃないかと思わせる。
物語の中に入っていくのか意外と外に出ているのか、
もうどっちなんだかわからないしまだまだ続く。
目が離せず
着地点が知りたくて読み続ける、そんな感じだった。
お話のタイプとしては「もふもふ狸」みたいな
わかりやすいほうが好きなんだけど
こっちのほうが森見氏って感じがする。
これは力の入った作品だなぁと思わせる。
出版社も物凄い力の入れようだと思う。
直木賞発表前に
表紙のミニチュアアートを手掛けた田中達也氏の「情熱大陸」の放送があったり
そこに森見氏でてたりと
ホントに力入ってる。
でも、直木賞は受賞できませんでした。
きっといつかは!!!
遅筆であることでも有名な森見氏ですが
これからも書きつづけてほしいのです。
森見氏は私が一番好きな作家です。
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