「くもをさがす」西加奈子 2023-30
帯見て、テレビ見て、
私の知人が乳がんに罹患した時と
時期が重なっていて
思わず、という感じで、買った。
カナダに住んでいるときに乳がんとわかった、
ということだからか、文体が全体的に
翻訳みたいに感じた。
西さんてこんな感じだったかなぁ。
そういえば、久しぶりに読む西さんだった。
カナダ人の言葉は全部関西弁で書かれている。
アク強めの関西弁が、不安な気持ちを一層するようで
一層したいと思うから関西弁なのかなぁ。
西さんが違う土地の出身者だったら、
その土地の言葉になったのかもしれない。
そして、きっとそれくらいの意気込みで
挑んだ治療だったのだろう。
西さんは今、この本でいろんなことを伝えることができて、
私の知人も生きていろんなことを教えてくれる。
でも、そうできなかった人もいる。
検査、しなきゃだな。
本の中で、
「かなこ ええ静脈してるなぁ」とか
「乳首っている?」とか
ちょっと、笑っちゃう会話もあったりして
それもまた、西さんらしさ。
日本にいると
「毛をはやすな」「歳をとるな」
「シワをとれ」「でも、若作りはするな」
という広告が多くて
「じゃかましぃわ!」(やかましいわ)と
カナダに居たら、そう思えた。
ということも書かれていて、
だよねぇ、確かにねぇ。
カナダに行ったこともないし、これからも行かないと思うし
住まないと思うけど、「じゃかましぃわ!」と
私も思いたいし、思ってもいいんだよね。
と、ちょっとした喜びを感じた。