「切れない糸」坂木 司
坂木氏独特の 優しさを表に打ち出したりしない優しさ、
他人を受け入れるおおらかさ、
それらが存分に散りばめられた作品だった。
大学4年で父親を亡くして、
なんとなく、家業のクリーニング店を手伝い、
初めて知る働くということ、父親のこと。
丁寧に生きて、身近なことを大切にする、
或いはそうしたいと思っている、
新井クンと沢田クンが眩しいなぁ。
彼らが解決する身近なミステリーは、
誰も殺されたりしない、というのもいい感じ。
所作好きの私には職人気質なシゲさんや沢田くん、渡辺さんは
ずーっと見ていたい人だ。
器用!ってだけで憧れである。
彼らが切れない糸でつながるように、
私は誰かの切れない糸を手繰り寄せることができるのかな。
できているのかな。