「繕い裁つ人」
神戸、岡本、西宮、川西。
この街で撮影された映画はとても、美しくて力強くて
とても静かなのに波を感じる映画だった。
阪神大震災でも残っていたすてきな建物と風景。
よかった、とホッとする。
この映画の素敵な道具は、足踏みのミシン。
これはすごく懐かしい。
とても個人的に、ミシンは母を感じるものである。
母が使っていた足踏みミシンも
いい味といい音を出していた。
母はプロではなかったけれど、
母が使っていない時に
あの、足踏みのところに座って
本を読むのが大好きだったんだ、私。
サイズを測ってもらうのも大好きだった。
人間の体を測って、平面の型紙にして
布を切って、縫い合わせると人が入るような
立体的な形になる。
スカートもブラウスもワンピースもコートさえも
私の型紙で出来上がる私の服。
洋服にあうボタンを選ぶことも、
ゆっくり、ゆっくり糸をほどく姿も
私にとっては、幼い頃にみた母を思い出すものだった。
まだ、洋服は高いもので、
丁寧に丁寧にみんなが着ていたし
手入れをしていた。
そんなことを思い出した。
市江の姿は美しかった。
そして、彼女の内なる変化があったとき
もっと、もっと美しくなる。
もう少し、神戸弁を喋る人がいてもよかったかなぁ、
と思うけれど
私にとっては、素敵な映画だった。
お店に入ったところにある、大きな時計。
なかにヤギが隠れてそうだった(「オオカミと七匹の子ヤギ」ね)
とっても存在感があった。
それと、神戸女学院の図書室が、めっちゃ素敵。
あー、キリがないからやめておこう。