「マチネノ終わりに」平野 啓一郎
恋愛小説は苦手なことが多いが
この作品は苦手ではない方だった。
後半は一気読み。今年の一番(今のところ))
洋子と蒔野が、
互いに互いのベターな方を選択することが本当に大人だ。
彼らには
自分がこうしたいという気持ちより相手がどうしたいか、
どうすることが相手のためになるのか
ということが優先される。
なんと厳しく難しいことか。
墓場まで愚行を持っていけなかった早苗がただただ悲しい人である。
途中で聖書の話がでたからか、
結婚式でおなじみの「コリントの信徒への手紙一第13章4節から7節」を思い出した。
彼らの再会はどんなふうに展開するのだろう。
そして、もう十分に大人の洋子が
父のソリッチと話す場面が素晴らしかった。
過去が変えられる瞬間が震えるようにつたわってきた。
静かだけれど、強い、美しい小説だった。
すべてはマチネの終わりに始まる。
マチネの終わりに | |
平野 啓一郎 | |
毎日新聞出版 |