「怒り 上下」吉田修一
一つの事件の一人の犯人を追う警察。
翻弄される3つの人間関係。
これは、すごい。強烈だった。
人は何処からきたのか、
一体誰なのかわからないけれど
自分にとって大切だと思う人を
どこまで信じることができるのだろう。
山神の激しすぎる怒りは、
何処からきたのか、
何にたいしての怒りだったのだろうか。。。
世の中のすべて?自分?
理解できないから山神のような存在ができあがったのかもしれない。
映画を観た後ということもあったけれど、
すべて映画の役者で脳内変換。
しぐさ、声のトーン、喋る速さ、
身体のすべてでそれぞれの役を演じているということが
よくわかった。
愛子が「お父ちゃん」と言っただけで、愛子のいろんなことが見えたし
明日香が洋平にいう「愛子は幸せになっちゃいけないの?」という言葉。
優馬の自信に満ち溢れた笑顔の裏のもろい心。
直人のもろそうだけど強い心。
泉の悲しみ、辰哉の強い決意。
あげきれないけれど、役者ってすごいなぁと思った。
映画は3本観たような気がしたが、
小説は3本読んだみたいな気分になった。
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怒り(上) (中公文庫) |
吉田修一 | |
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怒り(下) (中公文庫) |
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