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自閉症スペクトラム障害の子どもたち

2019年02月09日 | 教育
【自閉症スペクトラム障害】 

 自閉症は3歳前より症状が現れ,社会的な相互交渉の質的な障害,コミュニケーシ
ョンの質的な障害,行動,興味及び活動の限定的,反復的,情動的存在の3つの必須
の行動症状を持つ障害である。以上の3つの症状を様々な程度に併せもち,症状が3
歳以降の出現することもある障害を含めて広汎性発達障害としていたが,DSMー5
では分類が変わり,自閉症スペクトラム(ASD)としてまとめられた。

1 特徴的に表れるところ

・視線が合わない。言葉を字義通りに受け取ってしまう。人の気持ちや場の雰囲気が
 読めない。おうむ返しをする。変化のない遊びにこだわり,やめさせようとすると
 パニックになる場合がある。

2 教室で見られる症状・症例

・その日の予定が分からないと,不安定な気持ちになってしまい,声をあげたり,ロ
 ッキングをしたりするなど,落ち着かない様子を見せることがある。

・日常の会話や音楽の合唱など,自分の声の大きさに気付かず,場に合わない大きな
 声で歌ったり,しゃべったりしてしまう。

・低学年では,教室からすぐに走り出てしまう子がいる。追いかけるとケラケラ笑っ
 ている。そのことに対して,「だめでしょ!」「もどりなさい!」という叱責だけ
 では行動は収まらない。

・体育館の集会や運動会,体育祭など,集団が集まる場は苦手で,体育館に入れなか
 ったり,演技に参加しようとしなかったりする場合がある。

3 支援の方法

・予定を書く,献立を書く,牛乳パックを片付ける,音楽ではじめのあいさつをする
 など,当番でも係の活動でもよいので,学級の中で役割を作ることが大切である。
 身につけるまで時間がかかることもあるが,身につければ行動の安定につながる。

・予定を伝える。その日の予定について,小さなホワイトボードなどに,朝のうち書
 いておいて確認する。変更があれば,そこに書き足す,時間を示すといったことが
 安定してその日を過ごすことにつながる。

・声の大きさの段階表をボードなどに書いて掲示するか,手のひらサイズのものを作
 り,いつでも提示して視覚的に大きさの違いが分かるようにしておく。

・行動のレパートリーが極めて少ない。その行為を注意されても適切な行為をとるこ
 とができづらい。適切な行動を教えることで解決されていく。例えば,「この時間
 は教室の後ろから本を持ってきて,きちんと広げて,見ています」といって,本の
 とり方,広げ方,座り方などを,手を添えながら教える。必要なことは,スモール
 ステップで具体的な操作を加え,繰り返し丁寧に教えることである。

4 教室でやってはいけない対応

・その場で不安定になってしまったり,不快を示したりしたときに,ただ我慢させる
 ことは危険である。特別な感覚が不快を呼んでいる場合がある。場を変えたり,原
 因を聞いて取り除いたりさせたい。チャイムが鳴る前の通常の場合は,聞こえない
 電子音なのに,いつもイライラして大声を上げるという事例もある。



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