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注意欠如多動症(ADHD)のこどもたち

2019年02月10日 | 教育
【注意欠如多動症】

 ADHDは,不注意,多動性,衝動性などのうち1つ,もしくはいくつかが基本症
状としてあり,国や地域に関わらずおよそ5%程度の有病率といわれる。一般的な数
の教室には,2~3人がいることとなる。DSM-5によれば,不注意優勢型,多動性-
衝動性優勢型,並びに両者を併せ持つ混合型の3種類に分類される。原因は特定され
ていないが,ドーパミンなどの神経伝達物質が関与する先天性の素因によると考えら
れている。

1 特徴的に表れるところ

・忘れ物が多い ・ふらふら歩きだしてしまう。
・何かしようとした時,目についた別なことに興味を取られてそのことをはじめてし
 まう。

2 教室で見られる症状,症例

・小学校:授業参観など大勢が集まる時には,落ち着かず教室の中を走り回るなど,
 人が多かったり,いつもと違ったりした環境の中では興奮が高まり,騒ぎたててし
 まうことがある。
・教師の発言や,板書を見て,自分の気になったことに授業の流れと関係なく発言し
 たり,前に出てきてしまったりすることがある。
・ワーキングメモリーが弱く,一度に1つのことしか入らないと言われる。2つ3つ
 の作業指示を同時に出すと,何をすればよいか分からなくなり,「先生,何をする
 んですか」と何度も聞き返すことがある。
・中学校:小学校で障害のあることや,障害の特性が理解されず適切な対応を受けて
 こなかった場合,反抗挑戦性障害※という2次障害を発症する事が知られている。
 これは,本当に分からない,できない,気付かないのに叱られ続け,心が傷ついた
 状態とも言える。早いうちから適切な対応が望まれるところである。
 (※しばしば,癇癪を起す。不服従で大人と口論するなどの精神的な障害)

3 有効といわれる処方箋

・処方箋 薬剤:ストラテラ・コンサータ・インチュニブが現在,使用される。医療
 機関の指示のもと適切に使用する。ADHDでは,薬による効果が7割以上という
 調査データもあり,日常生活に関する適応が思わしくない場合,医療との相談が必
 要である。

4 支援方法

・指示は一時一事で行う。「教科書を出しなさい」「30ページを開きます」と1つの
 指示で1つの行為をさせるようにする。ワーキングメモリーの弱さに配慮し,一度
 に多くの指示を出さない。
・教えて,できたら褒める。また,時にはしようとした行為だけでもほめ,自己肯定
 感を高めるようにする。ADHDの子は,気になることがあると,衝動的に動いてしま
 うため,いつも叱られたり注意を受けたりして育ってきたことが予想される。褒め
 ることが関係性を改善し,2次障害の予防にもつながる。

5 教室でやってはいけない対応

・目を見て話す-「話す時は,目を見て話しなさい」と言われるが,ADHDの子によっ
 ては,攻撃されているように感ずることもあるという。衝動性を抱え,状況が混乱
 しているときに,強い指示があると,さらに混乱することも予想される。
・学級全員の前で,「この間も言ったでしょ。何回言えばいいの」というような形で
 その子だけ,叱責するということを繰り返すこと-事態の改善になるより,かえっ
 て,2次障害を引き起こしかねないと言われている。




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