【愛着障害】
愛着障害とは,母親やそのほかの養育者との愛着が何らかの理由で形成されず,情
緒面や対人面に問題が起こる状態のことである。
従 来,特殊な家庭環境で育った子どもの問題とされたが,近年は大人でも,その影
響が大きいといわれる。
たとえば,うつや不安障害,過食症などの要因の1つとされている。
ICDー10(世界保健機関の国際疾病分類)では,5歳までに発症するとし,反応性愛
着障害(笑顔がない,無表情,他の子どもと接触しないなどの症状)と脱抑制型愛着
障害(誰にでも無差別に愛着行動を示したり,注意を引こうとして見境なく親しげな
振舞いをしたりするなどの症状)に分けている。
1 愛着とは
・愛着とは,主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる,
心理的な結びつきのことで,専門用語でアタッチメントともいう。愛着は乳幼児が
声をかけられるところ,抱っこされ,触れ合うところからすでに形成される。
2 愛着の必要性
・人への基本的信頼感が芽生える。乳児期の3か月を過ぎるころから,自分を養育し
てくれる人に愛着が形成され,6か月を過ぎるころから,明確に母親を意識してい
く。自分を養育してくれる人に甘えたり,触れたりすることで,相手を明確に意識
し,人との信頼関係の基礎が築かれる。
・自己表現力やコミュニケーションの力を高める。愛着を形成した相手に自分の要求
を何らかの形で表現し,それが受け入れられたり,うまく伝わらなかったりする中
で,人とのやり取りが生じ,コミュニケーション力の基礎が築かれる。
・自己の生存と安全を確保する。不安や心配を感じたときに愛着を形成した相手に寄
り添うことで,安心を得る。人といる安心感を培う。そこで拒否されたり,放置さ
れることで愛着不全が起こる。
3 愛着障害の原因
・愛着が形成される前に養育者と死別,離別してしまった。(愛着形成の臨界期は1
歳半までといわれる。)
・養育者から虐待を受けるなど,不適切な養育環境に置かれ続けた。
・養育者が子どもに対して最低限の世話はするもののまったく無関心であった。
・養育者のような立場の大人が頻繁に交代した。
・他の兄弟と明らかに差別されて育てられた。
4 発達障害との関係
・乳幼児のうちから,触れられることを嫌がったり,目が合わなかったり,呼びかけ
に反応しなかったりするなど,成育の中で愛着を育み難い状態に置かれやすい。多
くに愛着形成の不全が考えられる
5 教室で見られる症状,症例
・回避型愛着の場合,友だちや先生との関係が深まりにくい。
・不安型愛着の場合,過剰の友だちに近づき,疎遠にされると執拗にしてしまうなど
ある。
・ストレスを自分に対する攻撃と受け止め,暴力や暴言になってしまう。
・ストレスが自分に向かうと,急に落ち込んで泣きはじめ,神経過敏に陥る場合もあ
る。
6 行動を改善するための方策
・親族やかかりつけの医者,教師など,まわりの人々全体で親子を支援していく。
・低学年の場合担任が子どもを膝に載せたり,抱いたりするなど愛着形成を助ける。
(オキシトシン効果)
・教室の中でも,教師が笑顔,よい所を見つける,褒める指導を中心に据え,安全地
帯を形成する。
・他者との愛着の回復を目指すことで問題行動の症状を改善するだけでなく人生も豊
かにしていく(愛着修復的アプローチ)
・重要な他者との関係回復にこだわらず,誰であ,身近にいる存在の人が,臨時で安
全基地となることで安定化を図る。(愛着安定化アプローチ)
愛着障害とは,母親やそのほかの養育者との愛着が何らかの理由で形成されず,情
緒面や対人面に問題が起こる状態のことである。
従 来,特殊な家庭環境で育った子どもの問題とされたが,近年は大人でも,その影
響が大きいといわれる。
たとえば,うつや不安障害,過食症などの要因の1つとされている。
ICDー10(世界保健機関の国際疾病分類)では,5歳までに発症するとし,反応性愛
着障害(笑顔がない,無表情,他の子どもと接触しないなどの症状)と脱抑制型愛着
障害(誰にでも無差別に愛着行動を示したり,注意を引こうとして見境なく親しげな
振舞いをしたりするなどの症状)に分けている。
1 愛着とは
・愛着とは,主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる,
心理的な結びつきのことで,専門用語でアタッチメントともいう。愛着は乳幼児が
声をかけられるところ,抱っこされ,触れ合うところからすでに形成される。
2 愛着の必要性
・人への基本的信頼感が芽生える。乳児期の3か月を過ぎるころから,自分を養育し
てくれる人に愛着が形成され,6か月を過ぎるころから,明確に母親を意識してい
く。自分を養育してくれる人に甘えたり,触れたりすることで,相手を明確に意識
し,人との信頼関係の基礎が築かれる。
・自己表現力やコミュニケーションの力を高める。愛着を形成した相手に自分の要求
を何らかの形で表現し,それが受け入れられたり,うまく伝わらなかったりする中
で,人とのやり取りが生じ,コミュニケーション力の基礎が築かれる。
・自己の生存と安全を確保する。不安や心配を感じたときに愛着を形成した相手に寄
り添うことで,安心を得る。人といる安心感を培う。そこで拒否されたり,放置さ
れることで愛着不全が起こる。
3 愛着障害の原因
・愛着が形成される前に養育者と死別,離別してしまった。(愛着形成の臨界期は1
歳半までといわれる。)
・養育者から虐待を受けるなど,不適切な養育環境に置かれ続けた。
・養育者が子どもに対して最低限の世話はするもののまったく無関心であった。
・養育者のような立場の大人が頻繁に交代した。
・他の兄弟と明らかに差別されて育てられた。
4 発達障害との関係
・乳幼児のうちから,触れられることを嫌がったり,目が合わなかったり,呼びかけ
に反応しなかったりするなど,成育の中で愛着を育み難い状態に置かれやすい。多
くに愛着形成の不全が考えられる
5 教室で見られる症状,症例
・回避型愛着の場合,友だちや先生との関係が深まりにくい。
・不安型愛着の場合,過剰の友だちに近づき,疎遠にされると執拗にしてしまうなど
ある。
・ストレスを自分に対する攻撃と受け止め,暴力や暴言になってしまう。
・ストレスが自分に向かうと,急に落ち込んで泣きはじめ,神経過敏に陥る場合もあ
る。
6 行動を改善するための方策
・親族やかかりつけの医者,教師など,まわりの人々全体で親子を支援していく。
・低学年の場合担任が子どもを膝に載せたり,抱いたりするなど愛着形成を助ける。
(オキシトシン効果)
・教室の中でも,教師が笑顔,よい所を見つける,褒める指導を中心に据え,安全地
帯を形成する。
・他者との愛着の回復を目指すことで問題行動の症状を改善するだけでなく人生も豊
かにしていく(愛着修復的アプローチ)
・重要な他者との関係回復にこだわらず,誰であ,身近にいる存在の人が,臨時で安
全基地となることで安定化を図る。(愛着安定化アプローチ)