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学習障害の子どもたち

2019年02月12日 | 教育
【学習障害】

 学習障害(LD)とは,全般的な知的発達は正常範囲にあるが,聞く,話す,読む,
書く,計算するまたは推論する能力のうち,特定のものの習得と使用に著しい困難を
示すさまざまな状態を指すものである。一般にはこの捉え方が広く使われているが,
これらは合併することが明らかになっており,米国精神医学会の診断基準DSMー5
では,学習の困難さを広くとらえて,読字,文章理解,書字,文章記述,数の操作,
数量的推論のどれか一つでも学習上の困難があれば,限局性学習症/限局性学習障害
という診断名となった。なお,その困難さは一過性のものではなく,少なくとも6か
月間その困難が持続しているものとしている。

1 特徴的に表れるところ


・日常のコミュニケーションは問題が見られず,明るく過ごしているのに,算数の時
 間になると,黙ってしまったり,なかなか学習に取りかかろうとしなかったりする
 場合がある。また,字を書くことが嫌いで,国語の時間になると,ノートを取らな
 い,いつも机に伏せてしまうなど,特定の教科に苦手さを顕著に表す。

2 教室で見られる症状・症例

○ 聞いて理解する力(聴覚認知)に困難がある場合
・似た音や言葉を聞き誤る。
・となりの教室の音が耳に飛び込んできてしまう。
・言葉のみの説明や指示がなかなか伝わらない。
・全体指示が伝わらず,個別に指示しないと学習が遅れる。
・指示されたことを忘れて何度も聞き返す。
○ 見て理解する力(視覚認知)に困難がある場合
・似たような文字を読み間違ってしまう。
・教科書の文字が追えず,音読できない。
・漢字を書くと,線が抜けたり間違って書いたりする。
・文字や行を読み飛ばしたり途中で止まったりする。
○ 物の位置関係を把握する力(空間認知)に困難がある場合
・ひっ算の桁がどんどんずれていく。
・図形の学習が苦手でうまく書けない。
・前後左右を間違って書く。
・ロッカーや下駄箱の位置が覚えられない。

3 支援の方法

・スモールステップで指導内容を細分化して教える。
・抽象性の高い内容は具体的な教材で補う。
・他の子よりもゆっくりと丁寧に指導する。
・基本的事項の定着が図れるよう繰り返し指導する。

4 早期発見のポイント


・特定の教科や授業でやる気を見せない,なかなかノートを取ろうとしないなど見ら
 れる場合には,学習障害を一応,疑う必要がある。
「どうしてやる気を出さないのだろう」「またふざけている」として片付けてしまう
 と,見誤ることとなる。
・少し遅れが感じられる場合,ひらがなの読み,書きの状態を確かめたい。そこが落
 ちていると,学習全般に影響している可能性もある。

5 教室でやってはいけない対応


・早くやりなさいとむやみに言わない―字がうまく書けない,読めない,指示がよく
 聞き取れない,という状態をいつも抱えている。そこに来て「早くやりなさい」と
 言われ続けると,イライラが募るばかりである。今どこを読んでいるか指し示すと
 か,字を大きく見せるなど,分かるための工夫を加えたい。
・ちゃんとやりなさいとむやみに言わない―これも,上記に通じるものがある。一生
 懸命やろうとしているができないと捉えた方がよい。そのまま注意をし続けていく
 と,勉強が嫌いになり,不登校の原因ともなってしまう。


コメント
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