【東西分裂】
旧太陽の党と維新の党の分裂は「東西分裂」として昨年から予想されていた。スポーツ紙の表現は言い得て妙だ。 http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/154659/
「維新」とは「維(これ)を新める」という意味で、横井小楠『国是(こくぜ)三論』中に初出するという3)。明治維新の骨格をなすマスタープランが、坂本龍馬が慶応3(1867)年6月9日、長を立ち京都へ向かう土佐藩船の中で書いた「船中八策」だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E4%B8%AD%E5%85%AB%E7%AD%96
8ヵ条からなり、後の「五ヵ条の誓文」の原型である。
「八策」の第1条は「大政奉還」だった。徳川慶喜も勝海舟もこれに賛成したが、薩長土肥の諸藩連合をみて、東北諸藩が反発し「戊辰戦争」となった。これも東西分裂だ。
私には橋下徹のいう「維新」も「船中八策」も中身がわからない。まさか「天皇親政」の明治憲法を復活させようというのではあるまい。石原慎太郎も、『弟』を読むと函館で育ち、湘南海岸での「太陽族」だったので、小説『太陽の季節』を書いて芥川賞を受賞した。核武装論者だから、原発推進派だ。「東西分裂」を見ると、歴史は繰り返すという思いにとらわれる。やはり、網野善彦4)が指摘したように、東と西では感覚が違うのだろう。
政府がしきりに「国土強靱化」を唱えているが、延長400キロの15メートル堤防を築いてどうする。公共事業が景気浮揚に必要なら、電線の地下埋設と首都機能の分散をやることが喫緊の課題だろう。プレート移動とそれに伴う大地震と津波災害は人間の力ではどうにもならない。
寺田寅彦はプレートテクトニクス理論を知らなかったが、「津浪と人間」5)(昭和9年)で「天災は忘れた頃にやってくる」という持論を、昭和8(1933年の東北大津波に際して述べている。「世代交代による記憶の喪失」と悲劇の繰り返しは避けがたいとも書いている。
原爆の惨禍の再発を防ぐには、核兵器とその元になる核燃料を廃棄するのが上策なのだ。原発と核兵器が同じものだということを、もっと多くの人が知る必要があるだろう。
いずれにせよ「平成の坂本龍馬」がいまの日本にはいない。
3)松本健一『日本の近代1:開国・維新(1853~1871)』,講談社, 1998
4)網野善彦『東と西の語る日本の歴史』,講談社学術文庫, 1998
5)Amazon, Kindle無料版。(これはKindle版「寺田寅彦 随筆集成280」,200円)にも入っていた。)
旧太陽の党と維新の党の分裂は「東西分裂」として昨年から予想されていた。スポーツ紙の表現は言い得て妙だ。 http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/154659/
「維新」とは「維(これ)を新める」という意味で、横井小楠『国是(こくぜ)三論』中に初出するという3)。明治維新の骨格をなすマスタープランが、坂本龍馬が慶応3(1867)年6月9日、長を立ち京都へ向かう土佐藩船の中で書いた「船中八策」だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E4%B8%AD%E5%85%AB%E7%AD%96
8ヵ条からなり、後の「五ヵ条の誓文」の原型である。
「八策」の第1条は「大政奉還」だった。徳川慶喜も勝海舟もこれに賛成したが、薩長土肥の諸藩連合をみて、東北諸藩が反発し「戊辰戦争」となった。これも東西分裂だ。
私には橋下徹のいう「維新」も「船中八策」も中身がわからない。まさか「天皇親政」の明治憲法を復活させようというのではあるまい。石原慎太郎も、『弟』を読むと函館で育ち、湘南海岸での「太陽族」だったので、小説『太陽の季節』を書いて芥川賞を受賞した。核武装論者だから、原発推進派だ。「東西分裂」を見ると、歴史は繰り返すという思いにとらわれる。やはり、網野善彦4)が指摘したように、東と西では感覚が違うのだろう。
政府がしきりに「国土強靱化」を唱えているが、延長400キロの15メートル堤防を築いてどうする。公共事業が景気浮揚に必要なら、電線の地下埋設と首都機能の分散をやることが喫緊の課題だろう。プレート移動とそれに伴う大地震と津波災害は人間の力ではどうにもならない。
寺田寅彦はプレートテクトニクス理論を知らなかったが、「津浪と人間」5)(昭和9年)で「天災は忘れた頃にやってくる」という持論を、昭和8(1933年の東北大津波に際して述べている。「世代交代による記憶の喪失」と悲劇の繰り返しは避けがたいとも書いている。
原爆の惨禍の再発を防ぐには、核兵器とその元になる核燃料を廃棄するのが上策なのだ。原発と核兵器が同じものだということを、もっと多くの人が知る必要があるだろう。
いずれにせよ「平成の坂本龍馬」がいまの日本にはいない。
3)松本健一『日本の近代1:開国・維新(1853~1871)』,講談社, 1998
4)網野善彦『東と西の語る日本の歴史』,講談社学術文庫, 1998
5)Amazon, Kindle無料版。(これはKindle版「寺田寅彦 随筆集成280」,200円)にも入っていた。)
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