【エクアドル】に新婚旅行に出かけたカップルが、現地で乗ったタクシーに誘拐され、夫が殺され妻が負傷したという報道があった。新聞3紙を読んだが、5W1Hのうち、「何のために、どうやってエクアドルに行ったのか」がさっぱり報じられなかった。「中国」など第一社会面に8段抜きの「共同記事」を載せながら、枝葉末節ばかりが書いてある。比較的ましなのは、「共同配信」をトリミングした1/7「産経」の記事。
しかし首都キトでのエクアドル内相の会見を報じたもので、事件が発生した都市グアヤキルからの送電ではない。
「被害者は宿泊先とは別のホテルで夕食をとった後、料金が高いホテルのタクシーを使わず、流しのタクシーを道で拾った」とある。
犯人が捕まってみないと確実なことはいえないが、「若い日本人の新婚旅行客」と見て、強盗団のタクシーが車を寄せ、「安くする」と持ちかけ乗せた可能性がある。
報道に欠けているのは、記者の取材力だ。なぜグアヤキルに行き、宿泊先のホテルの名前と料金、夕食をしたホテルのレストランの名前と料金、ホテルのタクシー料金と流しのタクシー料金がどうして違うのか、それを報じないのか。エクアドルのタクシーはメーターがないのか?(アフリカでは、ないのが普通。)
記事の発信地が「アルゼンチンのブエノス・アイレス」、「ニューヨーク」という「朝日」電子版記事にも驚いた。
日本の通信社も新聞社も、せめて各国の首都くらいには「通信員」をおかないと、完全に総合商社に太刀打ちできないだろう。商社のもつ情報網と通信・輸送ルートはすごい。
ケニアで、ある商社の支店長宅に招かれ、和辻哲郎「風土」の話をした。1週間後、ガーナから戻ったら、支店長はもうその岩波文庫を日本から取り寄せ、読み終えていて読後感を話してくれた。
ナイロビの他の在留邦人だと、日本に手紙を書いて送ってもらうことになるから、1ヶ月はかかるだろう。(当時はまだFAXも普及していなかった。)
すぐに東京本社にテレックスを入れ、翌日本社の担当者が八重洲の大型書店に買いに行き、その日のナイロビ宛「社用便」に入れれば、翌日か翌々日にはケニアに届く。4日あれば読めるから、1週間後には読後感が語れるのである。日本大使館にこれほどの機能はない。あるのは米国と英国の大使館だけである。
そのうち商社が「ネット新聞国際版」を始めたらどうする?
(と、ここまで書いたらGOOGLEに新配信があった。
<夫妻は昨年12月28日夜、夕食を取ったホテル前からタクシーに乗り、車内で男2人組に襲われた。人見さんが胸を撃たれ死亡、真梨子さんが腹と右脚を撃たれ重傷を負った。(グアヤキル共同)>
やっと「共同」がグアヤキルに記者を出したか…。通信社がこれではね…。これだと「相乗りタクシー」に同乗したよう受け取れるが、真実はどうなのか…。
私はブランチを13:00~14:00頃に食う。空腹時間が13時間以上ある。今日は、東京のあるケアホームから電話が掛かってきて、つい長話したので、食事も遅れた。
「小澤征爾が見舞いに来たとか、前の部屋に宮尾登美子が入所している」とか、面白い話でつい長引いた。83歳だが、声はなぜ年取らないのだろうか?
遅い昼食を、新聞を読みつつ食っていて、「発見」をした。「毎日」2面に「週刊新潮」の広告が載っており、それで「エクアドル事件」の謎が解けた。
(添付2)![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/38/cb/8cbf33ecd431b3e56ea278e606a7184e_s.jpg)
エクアドルの公用語はスペイン語だが、通貨はアメリカ・ドルだ。1990年代の経済・政治・社会崩壊から立ち直るために、2000年から通貨を「米ドル」に変更した。元スペイン領だったので以前は「スペイン・ペソ」が使用されていたのであろう。(ユーロの誕生でペソが使えなくなった。)
面積28万平方キロと小さな国で、すぐ東はアンデス山脈で歴史も観光資源もない国だ。恐らく沖合約1,000キロ西にあるガラパゴス諸島が目的地で、エクアドル最大の臨海都市グアヤキルで、接続する航空機でも待っていたのであろうか?
ツアー会社の名前が出て来ないところを見ると、自分たちで格安航空券を入手したのであろうか?
それにしても、1人あたりたった1ドル(100円)を惜しんだために、災難に遭うとは…。日本でも個人営業のタクシーは時に危険である。私はバブル時代に赤坂で白タクに乗り、歌舞伎町のホテルで下りる時に恐い目にあったことがある。
外国はもっと危険だから、ハイヤーにしている。警察も大使館も頼りにはならない。運転手は日当払いの召使いになるから、現地情報もよく集まるし、危険地帯では護衛にもなる。
1985年に、グアヤキルの人口は128万人(首都キト=88万人)
2003年、グアヤキル=239万人(キト=151万人)と急速な都市化が進んでいる。
注目すべきは人種別人口で、
1985: メスティーソ(55%)、原住民(25%)、黒人(10%)、白人(10%)が、
2000:メスティーソ(42%)、原住民(40.8%)、黒人(5%)、白人(10.6%)
と原住民比率が15年間に急増している。
総人口は966万人から2011年に1,465万人に増えている。この理由は原住民の出生率が高いためであろう。
1人あたり国民所得は2008年で3,640米ドルと、貧困国である。治安が悪いのは当たり前だといえよう。
エクアドル(Ecuador)はスペイン語で、固有名詞なら「エル・エクアドール(El Ecuador)」と書く。英語のequator(赤道)のことだ。末尾の-dorは「ドール」と発音する。闘牛士マタドールを「またどる」とはいわない。恐らく現地でも「エクアドール」と発音しているに違いないが、なんで日本のメディアは「エクアドル」と短音化して表記するのか?
後、アフリカに「赤道ギニア」という小さな国が、ギニア湾に面してある。公用語がスペイン語とフランス語なので、国名も両国語がある。スペイン語では「Guinea Ecuatorial」だ。
ラテン語で「等しい」がEqui-, 「行為者」を-tor(英語で-ter)を付けて呼ぶ。Equatorとは「(夜と昼を)等分するもの」の意で、赤道を意味する。
「赤道」は漢の時代の中国語で、天球上の太陽の道だった。別に赤道に赤い線が見えるわけではない。太陽と月の見かけ上の運行路が「黄道」であり、それに対比して「赤道」と呼ばれたにすぎない。
たまたま、首都とガラパゴス諸島が赤道上に位置するので、安易にこれを国名にしたものであろう。それにしても、この国の日本語表記は「エクアドール」と変えられないものか…。
しかし首都キトでのエクアドル内相の会見を報じたもので、事件が発生した都市グアヤキルからの送電ではない。
「被害者は宿泊先とは別のホテルで夕食をとった後、料金が高いホテルのタクシーを使わず、流しのタクシーを道で拾った」とある。
犯人が捕まってみないと確実なことはいえないが、「若い日本人の新婚旅行客」と見て、強盗団のタクシーが車を寄せ、「安くする」と持ちかけ乗せた可能性がある。
報道に欠けているのは、記者の取材力だ。なぜグアヤキルに行き、宿泊先のホテルの名前と料金、夕食をしたホテルのレストランの名前と料金、ホテルのタクシー料金と流しのタクシー料金がどうして違うのか、それを報じないのか。エクアドルのタクシーはメーターがないのか?(アフリカでは、ないのが普通。)
記事の発信地が「アルゼンチンのブエノス・アイレス」、「ニューヨーク」という「朝日」電子版記事にも驚いた。
日本の通信社も新聞社も、せめて各国の首都くらいには「通信員」をおかないと、完全に総合商社に太刀打ちできないだろう。商社のもつ情報網と通信・輸送ルートはすごい。
ケニアで、ある商社の支店長宅に招かれ、和辻哲郎「風土」の話をした。1週間後、ガーナから戻ったら、支店長はもうその岩波文庫を日本から取り寄せ、読み終えていて読後感を話してくれた。
ナイロビの他の在留邦人だと、日本に手紙を書いて送ってもらうことになるから、1ヶ月はかかるだろう。(当時はまだFAXも普及していなかった。)
すぐに東京本社にテレックスを入れ、翌日本社の担当者が八重洲の大型書店に買いに行き、その日のナイロビ宛「社用便」に入れれば、翌日か翌々日にはケニアに届く。4日あれば読めるから、1週間後には読後感が語れるのである。日本大使館にこれほどの機能はない。あるのは米国と英国の大使館だけである。
そのうち商社が「ネット新聞国際版」を始めたらどうする?
(と、ここまで書いたらGOOGLEに新配信があった。
<夫妻は昨年12月28日夜、夕食を取ったホテル前からタクシーに乗り、車内で男2人組に襲われた。人見さんが胸を撃たれ死亡、真梨子さんが腹と右脚を撃たれ重傷を負った。(グアヤキル共同)>
やっと「共同」がグアヤキルに記者を出したか…。通信社がこれではね…。これだと「相乗りタクシー」に同乗したよう受け取れるが、真実はどうなのか…。
私はブランチを13:00~14:00頃に食う。空腹時間が13時間以上ある。今日は、東京のあるケアホームから電話が掛かってきて、つい長話したので、食事も遅れた。
「小澤征爾が見舞いに来たとか、前の部屋に宮尾登美子が入所している」とか、面白い話でつい長引いた。83歳だが、声はなぜ年取らないのだろうか?
遅い昼食を、新聞を読みつつ食っていて、「発見」をした。「毎日」2面に「週刊新潮」の広告が載っており、それで「エクアドル事件」の謎が解けた。
(添付2)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/38/cb/8cbf33ecd431b3e56ea278e606a7184e_s.jpg)
エクアドルの公用語はスペイン語だが、通貨はアメリカ・ドルだ。1990年代の経済・政治・社会崩壊から立ち直るために、2000年から通貨を「米ドル」に変更した。元スペイン領だったので以前は「スペイン・ペソ」が使用されていたのであろう。(ユーロの誕生でペソが使えなくなった。)
面積28万平方キロと小さな国で、すぐ東はアンデス山脈で歴史も観光資源もない国だ。恐らく沖合約1,000キロ西にあるガラパゴス諸島が目的地で、エクアドル最大の臨海都市グアヤキルで、接続する航空機でも待っていたのであろうか?
ツアー会社の名前が出て来ないところを見ると、自分たちで格安航空券を入手したのであろうか?
それにしても、1人あたりたった1ドル(100円)を惜しんだために、災難に遭うとは…。日本でも個人営業のタクシーは時に危険である。私はバブル時代に赤坂で白タクに乗り、歌舞伎町のホテルで下りる時に恐い目にあったことがある。
外国はもっと危険だから、ハイヤーにしている。警察も大使館も頼りにはならない。運転手は日当払いの召使いになるから、現地情報もよく集まるし、危険地帯では護衛にもなる。
1985年に、グアヤキルの人口は128万人(首都キト=88万人)
2003年、グアヤキル=239万人(キト=151万人)と急速な都市化が進んでいる。
注目すべきは人種別人口で、
1985: メスティーソ(55%)、原住民(25%)、黒人(10%)、白人(10%)が、
2000:メスティーソ(42%)、原住民(40.8%)、黒人(5%)、白人(10.6%)
と原住民比率が15年間に急増している。
総人口は966万人から2011年に1,465万人に増えている。この理由は原住民の出生率が高いためであろう。
1人あたり国民所得は2008年で3,640米ドルと、貧困国である。治安が悪いのは当たり前だといえよう。
エクアドル(Ecuador)はスペイン語で、固有名詞なら「エル・エクアドール(El Ecuador)」と書く。英語のequator(赤道)のことだ。末尾の-dorは「ドール」と発音する。闘牛士マタドールを「またどる」とはいわない。恐らく現地でも「エクアドール」と発音しているに違いないが、なんで日本のメディアは「エクアドル」と短音化して表記するのか?
後、アフリカに「赤道ギニア」という小さな国が、ギニア湾に面してある。公用語がスペイン語とフランス語なので、国名も両国語がある。スペイン語では「Guinea Ecuatorial」だ。
ラテン語で「等しい」がEqui-, 「行為者」を-tor(英語で-ter)を付けて呼ぶ。Equatorとは「(夜と昼を)等分するもの」の意で、赤道を意味する。
「赤道」は漢の時代の中国語で、天球上の太陽の道だった。別に赤道に赤い線が見えるわけではない。太陽と月の見かけ上の運行路が「黄道」であり、それに対比して「赤道」と呼ばれたにすぎない。
たまたま、首都とガラパゴス諸島が赤道上に位置するので、安易にこれを国名にしたものであろう。それにしても、この国の日本語表記は「エクアドール」と変えられないものか…。
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