【わからん】森口尚史の名前が東大先端研の名簿からも東大の教員名簿からも削除された。けしからん。しかし「キャッシュ」が他のコンピュータに保存されていたので、先端研での履歴書が復元できた。
これによると、
1995/3: 東京医科歯科大大学院医学研究科「修了」となっている。大学院で学位を取得して卒業した場合は、「卒業」または「終了」という。単位だけ取得して終わった場合は、「単位取得後退学」という。「修了」とはいわない。東大は、まだ「係長」といわないで「掛長」というくらいだから、こういう用語にはきわめて厳格なところだ。「修了」などという言葉はお役所にはないはずだ。
1995~1999:「医療経済研究機構」の主任研究員兼調査部長で、「ハーバード大医学部・マサチューセッツ総合病院客員研究員」になっている。
ハーバード大学医学部とマサチューセッツ総合病院の関係は、日本の大学医学部とその附属病院の関係とはまったく異なる。
それは両者の歴史が異なるからだ。アメリカには日本のように国立大学は一つもない。マサチューセッツ総合病院は同郡医師会の病院として設置された。雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」も郡医師会の雑誌として出発した。
森口は1999年末に1ヶ月間ボストンに滞在したにすぎないことが、ハーバードとMGHの方から明らかにされた。医療経済研究機構における職歴もあやしいものだ。
1999/8:東大先端研「知的財産部門」の研究員になっている。ここは「寄付講座」である。
2000/10:同「客員助教授」になっている。これは「非常勤」という意味だ。
ところが、昔と違い、いまは研究費で「常勤的非常勤」を雇うことができる。この場合、大学の定員の問題とか、年金、健康保険料、失業保険料、退職金などのややこしい問題を回避するため、3月30日で一旦解雇し、中一日おいて4月1日に再雇用するのが普通である。
「東大先端研ニュース」2002年4月1日号を見ると、森口は3月31日で「客員助教授」を退任し、4月1日付で「特任助教授」に「採用」されている。財源は「科学技術振興特任助教授」である。中一日空けてないから、年金などが継続したことを意味している。先端研の「研究者リスト」が正しければ、それ以来、10年間森口はずっと「特任助教授」のまま、ということになる。
NYでの「幹細胞学会」の方は、「示説」部門はフリーのようで、プログラムにも載っていない。抄録を事前に提出する義務もないようだ。これでは幕が開いてから、主催者があわてるのも無理はない。
もし実際に「臨床研究が行われ、成功していたら」、それはこの学会の最大の話題になったはずで、主催者はプログラムを変更して、口頭発表の機会をもうけたはずだ。
http://nyscf.org/events/annual-conference
ご覧のように、「MORIGUCHI」の名前はどこにもない。
今年の7月に彼がオンラインで発表した「サイエンス・レポート」の論文を見ると、わけがわからんことになっている。
Sci Rep. 2012; 2: 537.
Published online 2012 July 27. doi: 10.1038/srep00537
PMCID: PMC3406338
Successful cryopreservation of human ovarian cortex tissues using supercooling
Hisashi Moriguchi,a,1,2 Yue Zhang,3 Makoto Mihara,1 and Chifumi Sato4
1Division of iPS Cell Research and Application, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
2Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, USA
3Department of Radiation Oncology, Beth Israel Deaconess Medical Center and Harvard Medical School, USA
4Department of Analytical Health Science, Graduate School of Health Care Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan
aEmail: moriguchi-tky@umin.ac.jp
つまり、森口の所属は1)東大医学部形成外科の「iPS細胞研究部門」と2)ハーバード大及びMGHとなっている。後者は両施設が関係を否定しているのだから、れっきとした経歴詐欺であり、アメリカのORI規定に触れる。すでにハーバードとMGHは「森口の全論文を監査する」と表明している。東大も医学部と先端研で調査委員会を立ち上げるべきだ。
名前隠して、知らぬふりを決め込もうとしても、そうは世間が許すまい。
第2著者のYue Zhangがベス・イスラエル病院の放射線腫瘍学部門、第3著者の三原まことが東大形成外科の教授(恐らく)、第4著者がなんと東京医科歯科大学公衆衛生学の教授(恐らく)佐藤ちふみである。
最近の論文は、捏造を防ぐために、共著者のサインを提出しなければならないことになっているが、さあ、共著者たちはなんと反応するであろうか?
使用しているメールは東大のサーバ、「ユーミン」である。
第2著者のYue Zhangは中国人か中国系と思うが、2008年まではピッツバーグ大学で「線虫のC-カイネース」を研究していて、その後ボストンのベス・イスラエル病院放射線腫瘍学研究室に移り、熱ショック・蛋白などの研究をやっている。森口の研究と接点がありそうにも思えないし、まして「臨床試験」とはまったく無縁の存在だ。ともかく実在の人物であることは確かだ。メディアはまず、この人物を取材し、上記論文の共著者である理由を確かめるべきだろう。
http://www.labome.org/expert/usa/harvard/zhang/yue-zhang-1375494.html
私はこういう理不尽なことがあると、見過ごせないたちで、つい書いてしまった。
こればかりやっているわけにも行かないので、この辺で発信する。
後は、ジャーナリストのきちんとした報道に期待する。
これによると、
1995/3: 東京医科歯科大大学院医学研究科「修了」となっている。大学院で学位を取得して卒業した場合は、「卒業」または「終了」という。単位だけ取得して終わった場合は、「単位取得後退学」という。「修了」とはいわない。東大は、まだ「係長」といわないで「掛長」というくらいだから、こういう用語にはきわめて厳格なところだ。「修了」などという言葉はお役所にはないはずだ。
1995~1999:「医療経済研究機構」の主任研究員兼調査部長で、「ハーバード大医学部・マサチューセッツ総合病院客員研究員」になっている。
ハーバード大学医学部とマサチューセッツ総合病院の関係は、日本の大学医学部とその附属病院の関係とはまったく異なる。
それは両者の歴史が異なるからだ。アメリカには日本のように国立大学は一つもない。マサチューセッツ総合病院は同郡医師会の病院として設置された。雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」も郡医師会の雑誌として出発した。
森口は1999年末に1ヶ月間ボストンに滞在したにすぎないことが、ハーバードとMGHの方から明らかにされた。医療経済研究機構における職歴もあやしいものだ。
1999/8:東大先端研「知的財産部門」の研究員になっている。ここは「寄付講座」である。
2000/10:同「客員助教授」になっている。これは「非常勤」という意味だ。
ところが、昔と違い、いまは研究費で「常勤的非常勤」を雇うことができる。この場合、大学の定員の問題とか、年金、健康保険料、失業保険料、退職金などのややこしい問題を回避するため、3月30日で一旦解雇し、中一日おいて4月1日に再雇用するのが普通である。
「東大先端研ニュース」2002年4月1日号を見ると、森口は3月31日で「客員助教授」を退任し、4月1日付で「特任助教授」に「採用」されている。財源は「科学技術振興特任助教授」である。中一日空けてないから、年金などが継続したことを意味している。先端研の「研究者リスト」が正しければ、それ以来、10年間森口はずっと「特任助教授」のまま、ということになる。
NYでの「幹細胞学会」の方は、「示説」部門はフリーのようで、プログラムにも載っていない。抄録を事前に提出する義務もないようだ。これでは幕が開いてから、主催者があわてるのも無理はない。
もし実際に「臨床研究が行われ、成功していたら」、それはこの学会の最大の話題になったはずで、主催者はプログラムを変更して、口頭発表の機会をもうけたはずだ。
http://nyscf.org/events/annual-conference
ご覧のように、「MORIGUCHI」の名前はどこにもない。
今年の7月に彼がオンラインで発表した「サイエンス・レポート」の論文を見ると、わけがわからんことになっている。
Sci Rep. 2012; 2: 537.
Published online 2012 July 27. doi: 10.1038/srep00537
PMCID: PMC3406338
Successful cryopreservation of human ovarian cortex tissues using supercooling
Hisashi Moriguchi,a,1,2 Yue Zhang,3 Makoto Mihara,1 and Chifumi Sato4
1Division of iPS Cell Research and Application, Department of Plastic and Reconstructive Surgery, School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
2Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, USA
3Department of Radiation Oncology, Beth Israel Deaconess Medical Center and Harvard Medical School, USA
4Department of Analytical Health Science, Graduate School of Health Care Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan
aEmail: moriguchi-tky@umin.ac.jp
つまり、森口の所属は1)東大医学部形成外科の「iPS細胞研究部門」と2)ハーバード大及びMGHとなっている。後者は両施設が関係を否定しているのだから、れっきとした経歴詐欺であり、アメリカのORI規定に触れる。すでにハーバードとMGHは「森口の全論文を監査する」と表明している。東大も医学部と先端研で調査委員会を立ち上げるべきだ。
名前隠して、知らぬふりを決め込もうとしても、そうは世間が許すまい。
第2著者のYue Zhangがベス・イスラエル病院の放射線腫瘍学部門、第3著者の三原まことが東大形成外科の教授(恐らく)、第4著者がなんと東京医科歯科大学公衆衛生学の教授(恐らく)佐藤ちふみである。
最近の論文は、捏造を防ぐために、共著者のサインを提出しなければならないことになっているが、さあ、共著者たちはなんと反応するであろうか?
使用しているメールは東大のサーバ、「ユーミン」である。
第2著者のYue Zhangは中国人か中国系と思うが、2008年まではピッツバーグ大学で「線虫のC-カイネース」を研究していて、その後ボストンのベス・イスラエル病院放射線腫瘍学研究室に移り、熱ショック・蛋白などの研究をやっている。森口の研究と接点がありそうにも思えないし、まして「臨床試験」とはまったく無縁の存在だ。ともかく実在の人物であることは確かだ。メディアはまず、この人物を取材し、上記論文の共著者である理由を確かめるべきだろう。
http://www.labome.org/expert/usa/harvard/zhang/yue-zhang-1375494.html
私はこういう理不尽なことがあると、見過ごせないたちで、つい書いてしまった。
こればかりやっているわけにも行かないので、この辺で発信する。
後は、ジャーナリストのきちんとした報道に期待する。
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