ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【カーボカウントて何よ?】難波先生より

2012-06-14 12:44:06 | 難波紘二先生
【カーボカウントて何よ?】糖尿病の食事療法において、従来の「食品交換表」に基づく「何が何単位」というやり方は、面倒くさいばかりで、さっぱり血糖値のコントロールに役立たない。
 そんなことは無視して、タンパク質と脂肪主体にした「糖質制限食」を食べる方が、よほど確実に食後血糖値の上昇を抑え、HbA1c値を低下させる。


 この理論は1999年に宇和島市の釜池豊秋医師が考えついたもので、以後2000年頃、京都高雄病院の江部康二医師に広まり、さらに全国の開業医に伝わった。二人の著書は飛ぶように売れているそうだ。私もその恩恵を受けたひとりで、糖尿病のコントロールに成功し、服薬からの離脱に成功した。


 人類が誕生したのは15万年前、旧石器時代に入り本格的な狩猟採取生活が始まったのが5万年前。われわれの生物としてのからだはその頃に作られ、基本的に変わっていない。染色体の数も遺伝子ももう定まっていた。その時代には、肉と魚、それに少量の果物しか食うものがなかった。おのずと「糖質制限食」だったのである。


 農業が始まったのは1万年前。皆が腹一杯食べられるほどの穀類が取れるようになったのは、たった100年前のことだ。「しゅしょく」という音は、明治22年の大槻文彦「言海」には「酒色」、「殊色」の2語しか載っておらず、主食という概念は、これ以後に生まれた言葉である。


 「糖質制限食」というのは食を「旧石器時代に戻そう」、「主食を食べるのをやめよう」というものだ。
 15時に昼食をすると、22:00の夕食までに、19時頃お腹がすく。そこで牛乳1杯、チーズ2切れ、バター1グラムを食べる。どんどん牛乳を飲まないと、家内はあまり飲めない体質なので、農場から配達されるパックの牛乳がなくならない。製造農家から配達される豆腐も同様だ。


 そこでジンギスカンの兵隊みたいに、肉、卵、チーズ、ヨーグルト、バターをたっぷり食っている。もちろん魚も食う。豆腐も食う。腹持ちは概してよく、排便量も多い。バーキット腫瘍の発見者バーキット博士は、後に大腸癌の研究に転じ、大腸癌の原因として便秘と便量の少なさを強調していた。
 「ケニアのマサイ族は1日500グラム以上の大便を出す。その時にがん物質を出してしまうから、大腸癌がない。アメリカ人は少量の大便しかせず、しかも便秘が多い。これでは大腸癌が増えて当たり前だ」と講演するのを聴いたことがあある。




 話は変わるが、今年の糖尿病学会では、「従来のカロリー制限食」とならんで「近年欧米で開発された<カーボカウント>による食事療法」を採用することに決めた、という。(「医学会新聞」6/4/2012)。Carbocountというスペルかと思い探したら、「Carb count」「Carbohydrate counting」でやっと見つかった。
 http://www.diabetes.org/food-and-fitness/food/planning-meals/carb-counting/
 「アメリカ糖尿病学会:のHPによれば、「糖質計量(CC)」とは「CCは血中グルコースのレベルを管理するための食事計画である」としている。


 1)糖質を含む食事は血中グルコースを上げるので、食べた糖質を管理して、自分が食べてもよい糖質の最大量を決め、血糖値を目標の範囲内に保つようにすること、
 2-1)糖質を含む食べ物の代表は、デンプン質の食べ物(パン、シリアル、ライス、クラッカー)
2-2)果物とジュース
 3-3)ミルクとヨーグルト
 などとなっている。


 要するに食品中の糖質量を計算して食事するものらしい。これも面倒である。


 釜池=江部の「糖質制限食」のように、主食を完全に止め、カロリー計算などしないで、肉、魚、ヨーグルト、チーズ、バター、豆腐の食事を腹いっぱい食べる方が簡単だ。1回、50g=200Kcal程度の糖質は果物、豆、牛乳などからひとりでに補給される。
 カーボンカウント法は、実効性において「糖質制限食」にはるかに劣る。


 こうして見ると、やたら「欧米では…」と外国のものをありがたがり、目の前にある優れた方法に目を向けようとしないどころか、異端視するのは、何も「修復腎移植」だけではなさそうだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【腎癌の著明な増加】難波先... | トップ | 走ったし、泳いだけど太っている »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事