ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【新聞批評】難波先生より

2018-02-10 10:40:24 | 難波紘二先生
【新聞批評】昼飯を食いながら新聞四紙に目を通した。いずれも記事に執筆記者名が載るようになったのは改善だ。「日経社会面」だけが9段で3本の記事で福井大雪と車立ち往生680台、車中での酸欠死1名、除雪作業者に重軽傷42人が出たことを詳報していた。他紙はダメだ。

 「天声人語」は滋賀県の田舎町の選挙投票用紙・不正破棄の問題を取り上げていてまるでピンボケ。「春秋」と「産経抄」は福井豪雪を取り上げていた。
 「春秋」氏はこの2/1に蓮如が北陸への布教の拠点とした「吉崎御坊跡」を訪問したそうで、ちゃんと足で歩き、北陸の地勢と朝鮮半島の地勢との関連を論じている。まあ「良」の出来だろう。
 「産経抄」はいきなり、鈴木牧之(岡田武松校訂)「北越雪譜」, 岩波文庫, bokusiha1936/1)を冒頭に持ちだしている。牧之は越後湯沢の人で、本書冒頭に「雪を見て酒色音律の楽しみを添え、絵に写し詞に連ねて賞翫するのは、雪の浅い国の楽しみだ。
 わが越後のごとく、年ごとに幾丈もの雪を見るなら、なんの楽しみがあろう。
 雪のために力を尽くし、財を費やして千辛万苦することを思い測られたい」(p.22)
といって本書を書いた。
 本書には越後と信濃の国境にある「秋山村」という周囲から孤立した特異な村落の風習についての記載(p.23「秋山の古風」)があり、民俗学・人類学の資料として貴重だが、あまり注目されていない。福井の大雪を話題にするのに、越後湯沢の鈴木牧之からはじめ、牧之で終わっては陳腐だ。

 「朝日」一面の見出しに「在宅医療 報酬手厚く」とある。この「手厚く」の意味がわからない。「産経」は「かかりつけ医加算 新設」となっており、一読明瞭だ。
 「手厚く」は用言(ようげん)で、「形容詞・形容動詞」に属し「連用形」が「く」で終わる。後に肯定辞でも否定辞でもつき得る。文学では「余韻」を生む作用もあるが、同時に「あいまいな表現になる」という副作用もある。
 「朝日」が捏造報道の汚名を挽回しようとするなら「ジャーナリスト文」を止め、見出しから正確な語句にあらためるべきだ。



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