ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【1001冊の本】難波先生より

2013-01-31 12:21:05 | 難波紘二先生
【1001冊の本】東京で買った本が届いた。その中に「死ぬ前に読むべき1001冊の本(1001Books you must read before you die, Universe, 2006)」というタイトルをもつ英語の本があった。執筆・編集は英国でなされ、発売はニューヨークである。全体が5章に分かれ、1700年以前が1章に、以後、17、18、19、20と各世紀に1章が当てられている。


 この本のよいのは、「道徳家」めいたところがなく、かつて日本の「知識人」だの「文芸評論家」などが「世界の名著」の類で推薦した本がほとんど含まれていなくて、面白い本、楽しめる本なら、童話でも少年小説でもポルノでもSFでも入っているのがよい。


 ホメロスとかヴェルギリウスとかチョーサーとかシェークスピアはもう読まれたと思っているのか、一冊も入っていない。
 アプレイウス「黄金のろば」、オヴィエド「変身物語」、「千夜一夜物語」、セルヴァンテス「ドン・キホーテ」などが17世紀以前には入っている。


 「黄金のろば」では1923年の英語版挿絵が使われているが、シースルーの下着を着けた女が、「張り形」様のものを手にした男に襲われている。女の外陰部に毛がなく、陰裂が丸見えなので、これはローマの遊女である。男が手にしているのは先端を赤く塗った疑似ファルス。よくこれが1923年に出版できたものだ。ローレンスの「チャタレー夫人の恋人」は「性描写が過激」として発禁になったのに。


 18世紀では、「ガリヴァー旅行記」、「ファニー・ヒル」、「ソドムの120日」という奇書も含まれている。19世紀、20世紀も同様だ。ジュール・ヴェルヌ「地底への旅」、「80日間世界一周」や、H.G.ウェルズ「タイム・マシン」、「透明人間」、ブラム・ストーカー「ドラキュラ」、コンラッド「闇の奥」、E.R.バロウズ「猿のターザン」など普通「世界文学全集」に入らないものが選ばれている。


 日本人では漱石「こころ」、龍之介「羅生門」だけが入っている。ノーベル文学賞の川端康成も大江健三郎も入っていない。
現代では英語で発表しているKazuo Ishiguroと村上春樹の作品が取りあげられている。


 全1000ページのうち、1800年以前の書物には79ページしか割かれておらず、20世紀の作品が700頁を超える。「現代文学入門書」といえるだろう。第二次大戦後に出版された外国文学となると、ほとんど読んでいないから、この本で解説を読み、翻訳を探して読む楽しみができた。総アート紙なので小型だが重い。定価4,400円と意外に安い。
巻頭に「作品名索引」が巻末に「著者名索引」と「事項索引」がある。
 どういうわけか、作品名に「Kokoro」と「Rashomon」はあるのに、NatsumeとAkutagawaの名が「著者名索引」に落ちている。
 これだけ多くの本の書評となると一人では無理で、執筆者として110人余の名前があげられている。
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