ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【献本お礼など】難波先生より

2017-04-18 11:31:10 | 難波紘二先生
【献本お礼など】
1)「医薬経済」4/1号の恵送を受けた。読まないうちに4/11〜12と東京出張があり、新聞切り抜きや開封した郵便物の山のなかに紛れ込んでしまった。目下、机上と側卓の紙や本を片づけているところ。鳥集徹 (とりだまり・とおる)さんの記事が読めなくて残念と思っていた。
 ところが「文藝春秋」5月号が「健康・医療問題」の特集「食と薬の常識が変わった」を組んでいて、そこに彼の「飲んでもムダな薬リスト」というレポートが載っていた。
 アメリカで「チュージング・ワイズリー(賢く選ぶ)」という医師・患者ムーブメントが広がり、日本でも始まったそうだ。このレポート記事は一読の価値がある。

 友人の渡邊昌さん(元国立がんセンター疫学部長)の「食革命で医療費は10兆円減る」という論文は、彼の糖尿病克服体験と自著『「食」で医療費は10兆円減らせる』(日本政策研究センター、2015/7)の内容を要領よく説明したものだ。

 読みでがあったのは、立花孝vs. 金井好克(大阪大大学院・医学系研究科・教授)の対談で、糖尿病治療の新薬として用いられている「SGLT2阻害剤」に、「がん細胞を兵糧攻めにする」作用があり、抗がん剤として利用できる可能性があるという議論だった。
 立花さんは進行性膀胱がんと糖尿病を患っているから、SGLT2阻害剤と新しい抗がん剤には詳しい。
 私見では「集合知の会」のメンバー山口昌美さんが研究している「メイラード反応=糖毒」は、両者に関係してくる。(渡邊昌主催「医と食」4月号に山口論文が掲載された。)

 金井教授は、がん細胞は必須アミノ酸を取り込むのに「トランスポーター(運び屋タンパク)」として、LAT1という分子を利用しているという話をしている。非常に興味深く思ったのは、LAT1分子には「胎児型」と「成人型」があり、生まれる前に胎児型遺伝子が成人型に切り替わるが、がん化が起こると再び胎児型に戻るという指摘だった。
 ヒト・ヘモグロビンは胎児(Fetus)の時はHbF型で、生まれた後に溶血が起こり、成人(Adult)型のHbAに切り替わる。この時に「新生児黄疸」が起きる。
 がん細胞が先祖返りをして、胎児期のタンパクや糖タンパクを血中に放出することは、「腫瘍マーカー」としてよく知られている。
 つまり「血液病理学」は、進化生物学のモデルとしても糖尿病やがんのモデルとしても役立つということだ。これが「血液のがん」の治療が他のがんに比べて、治癒率・寛解率が抜群に高いことの理由だな、と思った。

 「夢のがん治療薬」まで、あと一歩というところだが、問題は開発費と医薬品になるまでの期間と対費用効果だな、と思った。

 2)香川県高松市の内科医、印藤孝彦さん(広島大医学部の同級生)から「日本社会の生活習慣病 No.27」のご恵送を受けた。有難う。A6版全120頁の小冊子で、2月に夫婦で一泊二日の「伊豆半島の旅」に出かけた話があり驚いた。中に韮山の反射炉の話があったからだ。

 私も何年か前、伊豆の下田かどこかで一泊二日のクラス会が開かれた時、二日目のエクスカーションには参加せず、タクシーをチャーターして、修善寺まで行き、そこから電車で韮山駅まで移動し、江川太郎左衛門の「反射炉」と付属の博物館を見物したことがある。
 その後は電車で三島に行き、下りの新幹線に乗り換えた。
 せっかく伊豆に来たのだから、漱石が病を癒やすために滞在した修善寺と伊豆の代官江川太郎左衛門の反射炉だけは見逃せない、と思ったのだ。

 元もとこの大砲が据え付けられた東京の「お台場」は、いまは埋め立てにより広大な敷地が誕生し、ヒルトン・ホテルがそこにあった。元のお台場は公園として残っていると、タクシーの運転手から説明を受けたが、ホテルから歩くには遠すぎ、駐車場もないということだった。
 「オリンピックを前にして、東京は重要な歴史遺産を失いつつあるのでは?」という印象を受けた。


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