【渡航移植と暴力団】
途方もないニュースが飛び込んできた。京都府立医大病院長吉村了勇(のりお)教授(移植・一般外科、現病院長)が部下の医師に指示して有罪判決が確定した暴力団組長の刑務所収監を免れさせるために、偽の病気診断書を発行し、「公文書偽造」の疑いが持たれているという事件だ。
府立医大病院のHPを見るとこうある。
http://www.h.kpu-m.ac.jp/doc/departments/clinical-departments/transplantation-and-general-surgery.html
<当科では主に1) 腎移植、2) 肝移植、3) 膵移植を行っております。日本国内で単科により腹部3臓器の移植を実施しているのは当科のみです。腎臓、肝臓、膵臓では脳死移植可能施設にもなっています。
本学での初回腎移植は1956年に施行され、日本での最初の症例となります。当院での腎移植は2015年12月までに999例を数え、西日本では随一の症例数となっています。
国内17ある脳死膵移植実施施設の1つとして脳死下膵移植を行っています。肝移植は2015年12月末までに生体:94例、脳死:3例の肝移植を実施しております。>
この暴力団組長は2年前に京都府立医大で腎移植を受けていた。「内部身体障害者1級」で、大きな暴力団を統括していたのだから、何としても「ムショ入り」は避けたかったのだろう。
吉村了勇は府立医大教授・病院長だけでなく、高橋公太(元新潟大教授)の後任として現在、日本臨床腎移植学会の理事長になっている。この学会はあの悪名高い高原史郞(阪大寄付講座教授)が会長となって、明日2/15(水)〜2/17に亘り神戸市で年次総会が予定されている。さぞメディアが殺到するだろう。
公務員による「公文書ねつ造」は重大な犯罪であり、京都府警が捜査の手を弛めるとは考えにくい。府立医大が襟を正そうとするなら、命令した吉村教授は当然「懲戒免職」の対象となるだろう。
彼は「病腎移植事件」の時、香川労災病院(ドナー提供施設)の調査委員会委員として、西光雄医師に対して会議冒頭に「(小径腎がん患者の腎臓を摘出したことは)傷害罪に該当する恐れがある」と述べたそうだ。
関西の高原教授と吉村教授は、「中国渡航により腎移植した患者の維持療法をすると、厚労省により罰せられる」というデマの発信源とされる。私は関西で診療拒否され、中四国で唯一受け容れてくれた宇和島徳州会病院に受診中の腎移植患者と電話で話したことがある。
今の暴力団は「シノギ」のために、金になることなら何にでも進出する。
2011/7に発覚した東京・板橋の「堀内クリニック」事件では、院長の堀内医師が慢性腎臓病の患者で、暴力団組長の仲介・斡旋で第三者の若い男性と養子縁組して、患者身元調査でも親族であることが証明できるように工作していた。
以下は2012/1/26、東京地裁での判決を報じた「中日」の記事から:
<2012年1月26日、東京地裁で「腎臓売買事件」の医師とその妻に判決があった。
〈生体腎移植の臓器提供を受ける見返りに現金を支払ったとして、臓器移植法違反罪などに問われた医師堀内◯◯被告(56)と妻◯子被告(48)の判決公判が26日、東京地裁であり、若園敦雄裁判長は堀内被告に懲役3年(求刑懲役4年)、則子被告に懲役2年6月(同)を言い渡した。
若園裁判長は、事件で臓器移植の公平性が大きく損なわれ両被告の刑事責任は重いと指摘した。堀内被告については「金に物を言わせて利己的に犯行に及び、身勝手な動機に酌量の余地はない」とし、則子被告も「犯行に積極的に加わった」とした。(中日新聞)〉>
この事件で私が学んだのは、暴力団がちゃんと2006/10発覚の「宇和島腎臓売買事件」から学んでいて、同じミスをおかさなかったということだ。養子縁組をして戸籍を変えてしまえば、「親族ドナー」として臓器移植法に違反しないで合法的に腎移植が受けられる。
「ひょっとして暴力団は中国への渡航移植斡旋をして、資金稼ぎをするかも知れないな…」とも思った。
これについては、元岡山大粟屋教授や作家高橋幸春さんの調査がある。それらを踏まえた上で、私が理論的に考えてもっとも可能性があるシナリオはこうだ。
① 中国の移植医志望者を日本に留学させ、臓器移植のトレーニングをさせる。
② 帰国後に病院で臓器移植が軌道に乗ったら、そこに日本の移植希望者を「移植ツアー」業者を介して、その施設に送る。
③ 中国政府は「死刑囚ドナー」の中止を国際的に表明したが、「法輪講信者」は死刑囚でないのに臓器のデマンドがあると、全身麻酔下に必要な臓器を摘出し、肝臓、心臓、腎臓などが移植病院に供給されている。
④ 今回の京都府立医大における「腎移植を受けた暴力団幹部」のドナーが、どこに由来するかはNHK 午後7時と9時のTV NEWSを食い入るほど見たが、腎臓の由来が報道されなかった。この事件の場合、吉村教授が執刀医だと「朝日」は報じているが、ドナーはレシピエントの組長とどういう関係にあるのか、ここが最大のポイントだと思う。
仮定の話だが、暴力団幹部の知性は高いから、「養子縁組でドナーをえる」という手法は二度と繰り返さないだろう。
「UW液」という臓器保存液があり、これを利用すれば3日間は新鮮なままで保存できる。仮に中国で摘出された腎臓でも、事前に税関に手配しておけば、その日のうちに日本に運べる。
私はエイズ患者の生のリンパ節を米国から日本に空輸したことがある。来日する友人の学者に運んでもらった。事前に税関に「中身はエイズ組織で、研究用に輸入する。うかつに中を探るとエイズ感染の危険がある」と申告しておいたので、クーラーの蓋もあけず、フリーパスだったと後で友人が話してくれた。
今度の事件が臓器移植を専門とする吉村教授の管轄下で起こったことを考え合わせると、「中国由来の腎臓」である可能性も否定できないように思う。間違っていたら、すぐに訂正・謝罪する。後はメディアの調査報道に期待したい。
よいニュースもある「病腎移植事件」(2006/11)の当時、日本移植学会理事長で、後に神戸国際移植センター(KIFMEC)の理事長になり、多数の肝臓移植患者を死なせた田中紘一(京大名誉教授)が昨年10月17日(月)に宇和島市を訪問し、「病腎移植事件」当時の関係者「当時の誤解」を詫びたそうだ。メディアからKIFMEC事件でさんざんに非難をあび、はじめてあの事件で非難された「瀬戸内医師グループ」の立場が理解できたという。
田中氏が実質的にこっちの側に歩みよってきたので、今度の「京都府立医大事件」が修復腎移植公認への大きな峠になるという確信が湧いてきた。何しろ厚労省は「先進医療」として公認し、ひとりでも透析患者を減らそうとしているのに、それに猛反対しているのが移植学会の幹部(多くは腎透析に関与)なのだから。
当時の移植学会幹部のひとりが吉村教授であり、もうふたりほど「天罰」を免れている医師・教授がいる。それはまたの機会に触れたい。今度の事件が昨年8月末「継続審議」になった「修復腎移植」認可への大きな踏み台になることを祈る。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
途方もないニュースが飛び込んできた。京都府立医大病院長吉村了勇(のりお)教授(移植・一般外科、現病院長)が部下の医師に指示して有罪判決が確定した暴力団組長の刑務所収監を免れさせるために、偽の病気診断書を発行し、「公文書偽造」の疑いが持たれているという事件だ。
府立医大病院のHPを見るとこうある。
http://www.h.kpu-m.ac.jp/doc/departments/clinical-departments/transplantation-and-general-surgery.html
<当科では主に1) 腎移植、2) 肝移植、3) 膵移植を行っております。日本国内で単科により腹部3臓器の移植を実施しているのは当科のみです。腎臓、肝臓、膵臓では脳死移植可能施設にもなっています。
本学での初回腎移植は1956年に施行され、日本での最初の症例となります。当院での腎移植は2015年12月までに999例を数え、西日本では随一の症例数となっています。
国内17ある脳死膵移植実施施設の1つとして脳死下膵移植を行っています。肝移植は2015年12月末までに生体:94例、脳死:3例の肝移植を実施しております。>
この暴力団組長は2年前に京都府立医大で腎移植を受けていた。「内部身体障害者1級」で、大きな暴力団を統括していたのだから、何としても「ムショ入り」は避けたかったのだろう。
吉村了勇は府立医大教授・病院長だけでなく、高橋公太(元新潟大教授)の後任として現在、日本臨床腎移植学会の理事長になっている。この学会はあの悪名高い高原史郞(阪大寄付講座教授)が会長となって、明日2/15(水)〜2/17に亘り神戸市で年次総会が予定されている。さぞメディアが殺到するだろう。
公務員による「公文書ねつ造」は重大な犯罪であり、京都府警が捜査の手を弛めるとは考えにくい。府立医大が襟を正そうとするなら、命令した吉村教授は当然「懲戒免職」の対象となるだろう。
彼は「病腎移植事件」の時、香川労災病院(ドナー提供施設)の調査委員会委員として、西光雄医師に対して会議冒頭に「(小径腎がん患者の腎臓を摘出したことは)傷害罪に該当する恐れがある」と述べたそうだ。
関西の高原教授と吉村教授は、「中国渡航により腎移植した患者の維持療法をすると、厚労省により罰せられる」というデマの発信源とされる。私は関西で診療拒否され、中四国で唯一受け容れてくれた宇和島徳州会病院に受診中の腎移植患者と電話で話したことがある。
今の暴力団は「シノギ」のために、金になることなら何にでも進出する。
2011/7に発覚した東京・板橋の「堀内クリニック」事件では、院長の堀内医師が慢性腎臓病の患者で、暴力団組長の仲介・斡旋で第三者の若い男性と養子縁組して、患者身元調査でも親族であることが証明できるように工作していた。
以下は2012/1/26、東京地裁での判決を報じた「中日」の記事から:
<2012年1月26日、東京地裁で「腎臓売買事件」の医師とその妻に判決があった。
〈生体腎移植の臓器提供を受ける見返りに現金を支払ったとして、臓器移植法違反罪などに問われた医師堀内◯◯被告(56)と妻◯子被告(48)の判決公判が26日、東京地裁であり、若園敦雄裁判長は堀内被告に懲役3年(求刑懲役4年)、則子被告に懲役2年6月(同)を言い渡した。
若園裁判長は、事件で臓器移植の公平性が大きく損なわれ両被告の刑事責任は重いと指摘した。堀内被告については「金に物を言わせて利己的に犯行に及び、身勝手な動機に酌量の余地はない」とし、則子被告も「犯行に積極的に加わった」とした。(中日新聞)〉>
この事件で私が学んだのは、暴力団がちゃんと2006/10発覚の「宇和島腎臓売買事件」から学んでいて、同じミスをおかさなかったということだ。養子縁組をして戸籍を変えてしまえば、「親族ドナー」として臓器移植法に違反しないで合法的に腎移植が受けられる。
「ひょっとして暴力団は中国への渡航移植斡旋をして、資金稼ぎをするかも知れないな…」とも思った。
これについては、元岡山大粟屋教授や作家高橋幸春さんの調査がある。それらを踏まえた上で、私が理論的に考えてもっとも可能性があるシナリオはこうだ。
① 中国の移植医志望者を日本に留学させ、臓器移植のトレーニングをさせる。
② 帰国後に病院で臓器移植が軌道に乗ったら、そこに日本の移植希望者を「移植ツアー」業者を介して、その施設に送る。
③ 中国政府は「死刑囚ドナー」の中止を国際的に表明したが、「法輪講信者」は死刑囚でないのに臓器のデマンドがあると、全身麻酔下に必要な臓器を摘出し、肝臓、心臓、腎臓などが移植病院に供給されている。
④ 今回の京都府立医大における「腎移植を受けた暴力団幹部」のドナーが、どこに由来するかはNHK 午後7時と9時のTV NEWSを食い入るほど見たが、腎臓の由来が報道されなかった。この事件の場合、吉村教授が執刀医だと「朝日」は報じているが、ドナーはレシピエントの組長とどういう関係にあるのか、ここが最大のポイントだと思う。
仮定の話だが、暴力団幹部の知性は高いから、「養子縁組でドナーをえる」という手法は二度と繰り返さないだろう。
「UW液」という臓器保存液があり、これを利用すれば3日間は新鮮なままで保存できる。仮に中国で摘出された腎臓でも、事前に税関に手配しておけば、その日のうちに日本に運べる。
私はエイズ患者の生のリンパ節を米国から日本に空輸したことがある。来日する友人の学者に運んでもらった。事前に税関に「中身はエイズ組織で、研究用に輸入する。うかつに中を探るとエイズ感染の危険がある」と申告しておいたので、クーラーの蓋もあけず、フリーパスだったと後で友人が話してくれた。
今度の事件が臓器移植を専門とする吉村教授の管轄下で起こったことを考え合わせると、「中国由来の腎臓」である可能性も否定できないように思う。間違っていたら、すぐに訂正・謝罪する。後はメディアの調査報道に期待したい。
よいニュースもある「病腎移植事件」(2006/11)の当時、日本移植学会理事長で、後に神戸国際移植センター(KIFMEC)の理事長になり、多数の肝臓移植患者を死なせた田中紘一(京大名誉教授)が昨年10月17日(月)に宇和島市を訪問し、「病腎移植事件」当時の関係者「当時の誤解」を詫びたそうだ。メディアからKIFMEC事件でさんざんに非難をあび、はじめてあの事件で非難された「瀬戸内医師グループ」の立場が理解できたという。
田中氏が実質的にこっちの側に歩みよってきたので、今度の「京都府立医大事件」が修復腎移植公認への大きな峠になるという確信が湧いてきた。何しろ厚労省は「先進医療」として公認し、ひとりでも透析患者を減らそうとしているのに、それに猛反対しているのが移植学会の幹部(多くは腎透析に関与)なのだから。
当時の移植学会幹部のひとりが吉村教授であり、もうふたりほど「天罰」を免れている医師・教授がいる。それはまたの機会に触れたい。今度の事件が昨年8月末「継続審議」になった「修復腎移植」認可への大きな踏み台になることを祈る。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
診断書は私文書に分類されるでしょう。ナンバ先生は医師免許を持っていらっしゃるんですよね?
公文書の無形偽造:刑156条(刑155条の例により、1年以上10年以下の懲役)
虚偽診断書の作成:刑160条(3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金)
こんなものはちょっと調べたらすぐ分かるのに、どうして適当に間違った事を書いて多数の人に発信してしまうのでしょう? 移植学会憎しが先に立って、理性が働いていないのでは?
こう書いたが、問題となっているのは診断書ではなく、検察への報告書だそうで、「虚偽公文書作成などの疑い」があるそうです。
訂正してお詫びします。
この記事には、「親族から提供された」とあるので、中国から空輸されたわけではなさそうです。
http://blogos.com/article/210481/