【新聞社販売局】
幸田泉「小説・新聞販売局」(講談社、2015/9)をやっと読み終えた。
池井戸潤「オレたちバブル入行組」(文春文庫, 2007/12)に始まる銀行を舞台とした「倍返しシリーズ」が、著者の銀行体験を元としているように、これは幸田泉という元新聞記者の「某全国紙」の体験を元にしたセミノンフィクションだ。
12/1「日経」がロンドンに本社がある世界的に有名なFT(ファイナンシャル・タイムズ)を買収したと1面で報じている。なんと買収金額は8億4,400万ポンド(約1,606億円)だそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26HJ3_W5A121C1SHA000/
「読売」は発行部数で日本一、「日経」は世界一のメディアになった。「中日」が「東京」を傘下に置いた時と同様に、FTの「編集権の独立」は維持されるそうだ。これはビッグニュースだと思うが、12/2の「毎日」「産経」「中国」はいっさい報じていないし、Google Newsでも配信されない。
8/3の「産経」は「日本衰亡の道」と買収に異を唱えていた。NYTが「日本語版」を出すという時代に、打って出なくてどうする、といいたいところだが、「産経」のあの政治コンテンツはグローバルな商品にはならないだろう。
私は「昔人間」だから新聞を切り抜いて、クリア・フォルダに保存する習慣がある。私にとってよい新聞とは、切り抜くに値する記事が沢山あって、解説報道の記事が多い新聞である。この定量的規準で見ると、断然「日経」が優れている。たぶん記事を英訳すればすぐに外国にも売れるだろう。第一「日経」の記事は最低でも大卒でないと読めないレベルだ。「経済学教室」など近代経済学や金融工学を知らないと、理解できないだろう。「中学生に分かるように書け」という新聞社とはわけがちがう。
スポーツ紙かと見まがうような、どでかい活字の新聞を見るのはもう、うんざりだ。文字も日経の文字サイズであれば、私は眼鏡なしで読める(左が近視、右が遠視なのだ)。
それにしてもこの「快挙」を他紙やテレビが一切報じないのは「男の嫉妬」か?
「小説・新聞販売局」は元大手新聞社記者が書いたもので、きわめてリアルだが、社名は他紙も含めて全部仮名になっており、割り出しは難しい。が、著者は全体の流れとは関係ないエピソードを冒頭に置いている。「エルサレム支局」駐在員をしている、同期入社の女性記者から電話がかかってくるという設定だ。これで新聞社が割り出せるように、作者は布石を置いているのだと私は解釈した。
ここが解けると、「毎朝新聞」、「日本英知新聞」「未来経済新聞」がどの社をモデルとしているかが解ける。(ある程度、新聞史の知識と過去の新聞がらみスキャンダルの知識がいるが。)
それにしても社会部の記者が不当に販売局に左遷され、復讐で編集局長と販売局長をそれぞれ辞任と東京本社に左遷という事態にまで追いこむのだから、すざまじい。
この小説は新聞販売の内幕がすっかり書いてあり、お薦めだ。
幸田泉「小説・新聞販売局」(講談社、2015/9)をやっと読み終えた。
池井戸潤「オレたちバブル入行組」(文春文庫, 2007/12)に始まる銀行を舞台とした「倍返しシリーズ」が、著者の銀行体験を元としているように、これは幸田泉という元新聞記者の「某全国紙」の体験を元にしたセミノンフィクションだ。
12/1「日経」がロンドンに本社がある世界的に有名なFT(ファイナンシャル・タイムズ)を買収したと1面で報じている。なんと買収金額は8億4,400万ポンド(約1,606億円)だそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26HJ3_W5A121C1SHA000/
「読売」は発行部数で日本一、「日経」は世界一のメディアになった。「中日」が「東京」を傘下に置いた時と同様に、FTの「編集権の独立」は維持されるそうだ。これはビッグニュースだと思うが、12/2の「毎日」「産経」「中国」はいっさい報じていないし、Google Newsでも配信されない。
8/3の「産経」は「日本衰亡の道」と買収に異を唱えていた。NYTが「日本語版」を出すという時代に、打って出なくてどうする、といいたいところだが、「産経」のあの政治コンテンツはグローバルな商品にはならないだろう。
私は「昔人間」だから新聞を切り抜いて、クリア・フォルダに保存する習慣がある。私にとってよい新聞とは、切り抜くに値する記事が沢山あって、解説報道の記事が多い新聞である。この定量的規準で見ると、断然「日経」が優れている。たぶん記事を英訳すればすぐに外国にも売れるだろう。第一「日経」の記事は最低でも大卒でないと読めないレベルだ。「経済学教室」など近代経済学や金融工学を知らないと、理解できないだろう。「中学生に分かるように書け」という新聞社とはわけがちがう。
スポーツ紙かと見まがうような、どでかい活字の新聞を見るのはもう、うんざりだ。文字も日経の文字サイズであれば、私は眼鏡なしで読める(左が近視、右が遠視なのだ)。
それにしてもこの「快挙」を他紙やテレビが一切報じないのは「男の嫉妬」か?
「小説・新聞販売局」は元大手新聞社記者が書いたもので、きわめてリアルだが、社名は他紙も含めて全部仮名になっており、割り出しは難しい。が、著者は全体の流れとは関係ないエピソードを冒頭に置いている。「エルサレム支局」駐在員をしている、同期入社の女性記者から電話がかかってくるという設定だ。これで新聞社が割り出せるように、作者は布石を置いているのだと私は解釈した。
ここが解けると、「毎朝新聞」、「日本英知新聞」「未来経済新聞」がどの社をモデルとしているかが解ける。(ある程度、新聞史の知識と過去の新聞がらみスキャンダルの知識がいるが。)
それにしても社会部の記者が不当に販売局に左遷され、復讐で編集局長と販売局長をそれぞれ辞任と東京本社に左遷という事態にまで追いこむのだから、すざまじい。
この小説は新聞販売の内幕がすっかり書いてあり、お薦めだ。
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