【基準値 or 正常値】昔、「日本人人体正常数値表」(技報堂, 1974)という本があった。簑島高(北大名誉教授)の編で、「本邦人生理解剖計数研究委員会」という組織が医学雑誌に発表された論文から、人体のいろいろな生理学、解剖学数値を収集し図表化したものだ。「耳垢の産生量」とか「精神発汗の部位別の量」とか、思いもかけない数値が載っている。が、いまは絶版になり後続の類書もないようだ。
代わりに今はもっと細かいところを調べた「検査数値表」がもてはやされている。患者も医者も数値が上がった下がったで一喜一憂だ。どこかおかしい。
私の糖尿病の方は、空腹時血糖値(mg/dL)が117、HbA1c(%)が5.8でほぼ正常化した。「正常化」とは明らかな患者でない人が示す値と同じ程度になった、という意味だ。直ったわけではないし、無症状でも合併症が進行することもある。
で、お願いしていたインスリン(μU/ml)とC-ペプチド(ng/mL)の測定結果がわかった。前者が3.5 (2.0~11.0)、後者が1.41 (0.74~3.48)だった。
かかりつけ医は「インスリンとC-ペプチドの測定ここではできない」と言っていたが、無理にお願いしたらできた。料金は自己負担なのか、レシートも見ないから知らない。ただ、Ⅱ型糖尿病の場合、血糖値、HbA1c、インスリンの分泌度、C-ペプチドの量の測定を行うのは、病理学的には当然な話で、保険診療が認められていないとしたら、それはおかしい。
インスリンの測定単位がU (ユニット=Unit)になっているのは、物質量を測定するのではなく機能(働きの度合い)を測っているからだ。これは見かけ上は「正常値=基準値」に収まっているが、山形になるカーブのどこに正常と異常の境をおくかで異なる。患者を増やしたければ基準値の幅を狭く、減らしたければ幅を広くとればよい。そのあたりの科学的な基準値の決め方が、日本の臨床医学は不十分だと思う。
まあ、一応は糖尿病のコントロールに成功したところで、次の人体実験にチャレンジしようかと思う。
糖質制限食を実施してみて、空腹感に襲われることがないとわかった。昨1/21火曜日の夜は22:10頃から夕食をし、「報道ステーション」を見ながら赤ワインを1杯と甲類焼酎を1杯飲んだ。23時前に仕事場に戻り、このメルマガの第1項を書いた。0時半頃自宅に戻り、入浴して床に就いたら1時を過ぎていた。Kindleで漱石の「門」を数ページ読み、すぐ寝入った。
水曜日の朝は夢を見て、8時に目覚めた。むろん二日酔いはない。すぐに洗面をすませて仕事場に入り、コーヒーに「パルスィート」を入れて2杯飲んだ。それで10時過ぎまで仕事をして、それからかかりつけの診療所に受診した。実質的な診療は採血だけである。数日すれば検査結果が郵送されて来るだろう。
今、15:15で絶食はすでに17時間に及ぶが空腹感はない。しかし食べようと思えばいつでも食べられる。こうしてみると、「一日三食は必要か?」と思えてくる。古代は一日一食の時代もあったし、平安貴族ですら一日二食だった。ディナーという言葉は夜の「正餐」を意味するが、あれは元は「昼食」を意味していた。フランス語diner(「食べる」)由来で、dinnerはそこから来たものだ。つまり夕食がなかったのだ。
そこでまず実験だが「1日2食」に移行してみようかと思う。つまり朝食を止める。これだと空腹時の低い血糖値が持続する。ブドウ糖をエネルギー源にできないから、その間、脂肪酸由来のケトン体かアミノ酸由来のピルビン酸がATP産生源になる。HbA1c値は食後高血糖(グルコース・サージ)がないから、低くなるはずだ。
ブドウ糖には山口昌美氏が指摘するように、非特異的にタンパク質と反応する性質(アマドリ反応)がある。最近ではアルツハイマー病の原因であるβアミロイド物質の生産にブドウ糖が関与しているのではないかと言われている。この前、Nスペの「認知症」についての番組で福岡県久山町のデータが紹介されたが、糖尿病患者及び、境界型、予備軍の人の増加とアルツハイマー型認知症の増加曲線には美事な相関がある。
今は、朝食を食べないが、昼に朝と昼を一緒に食べるから量は減っていない。朝は目玉焼き、昼はハンバーグのようなものとゆで卵1個を食うから、一食で卵2個を食うことになる。夜も刺身とか加熱した肉が主体となる。多分、カロリー源としては糖質以上にタンパク質を摂っている。が、脂質が足りないから時々、マーガリンをバターナイフでサイコロ2個分くらいを切り取り、肉や野菜に載せて食う。マーガリンには糖質もタンパク質もほとんどなく、65%が脂質、残りが水分だ。オリーブ油から作ったのか、脂肪酸の65%が不飽和脂肪酸のひとつであるオレイン酸だと表示にある。
そこで考えたのが、タンパク質を減らし、脂質に富むナッツからカロリーを取る道だ。この前、スーパーの食品売り場で焼酎の紙パック(例の果実酒用35%)を買った時、売り場を見て回ったら、市場は「糖質制限食」に敏感に反応しているというか、健康志向になっているというか、「食塩無添加ナッツ」というのがあった。
カシューナッツ、ミックスナッツ、ピーナッツの袋(容量110~200g)を買ってきた。それぞれの主エネルギー源の成分を調べてみると、100グラム当たりの脂質含量が、カシューナッツ48%、ミックス56%、ピーナッツ53%。糖質は各20%、12%、13%と極めて低い。無塩カシューナッツでも、1日に100g食って糖質は20g。総カロリーは648Kcalで、その67%は脂質由来である。(但し私の計算では微量成分を除く合計が94.9gにしかならない。残り5.1gはどこから来るのだろうか?)(添付3=カシューナッツの栄養成分)
これは1袋90gなので、焼酎のおつまみに1回1/4量を食べると糖質約4.5g (18Kcal)を摂取することになる。ピーナッツだと糖質含量が13%ともっと低いが、固いから多くを食べられない。
昔、一杯飲み屋には「ホルモン焼き」というのがあった。「精が付く」と思って客が好んで食った。この場合の「ホルモン」とは男性ホルモン、アンドロゲンのことだから牛やブタの睾丸でしか産生されない。実際に提供されていたのは肝臓、腎臓、膵臓などの「内臓」だった。
スペインに行ってヒューマン・ウォッチングをしてみると、「おばさん」にヒゲを生やした人が目立つ。あれは好んで睾丸を食っているせいではない。閉経後にエストロゲン分泌が減少して、相対的にアンドロゲンが優位になり、しかも顔をあたる習慣がないためだ。
性ホルモンは化学的にはステロイド核をもっていて、これは腸の上皮を通過できない。膵臓から分泌される酵素リパーゼの作用により、脂肪酸とトリアシルグリセロール(略称「トリグリセライド=トリグリ」)に分解されて後、はじめて吸収される。従って食事に含まれる性ホルモンは血中に移行しない。コレステロールそのものが吸収されない。コレステロールは分子量387, 3つのベンゼン核と1つの5炭素核が結合した構造をしており、水酸基(-OH)が1個(分子量17)しかない。従って単体としては難水溶性である。(「Merck Manual 11版」)
従って食物中のコレステロールは99%吸収されず、体内のコレステロールは肝臓でトリアシルグリセロールを素材として新生される。食事由来の脂質はその素材として利用されるにすぎない。肝臓から脳などへのコレステロール(体内でコレステロール含量が一番多い臓器は脳と脊髄で、薬品素材としてのコレステロールは動物の脳脊髄から抽出する。)輸送には、水溶性タンパク「アポタンパク」がキャリアーとして働く。常染色体性の優性遺伝をする「家族性高コレステロール血症」では、アポタンパクが欠損しているか、受け取る細胞の側にレセプターが欠損している。このためコレステロールの血中濃度は1000mg/dLに達することもある。
このように「病気を自然の実験」として見れば、高コレステロール血症の主たる要因は食事中のトリグリセライドを燃焼できず、コレステロール合成回路に回してしまうという遺伝的な素質と肥満をそのサインとするカロリーの過剰摂取にあることは明らかだ。今なお臨床医の多くは「食物中のコレステロールが体内に移行する」という時代遅れの考えに囚われている。
私の脂肪代謝及び肝機能は、総コレステロール 197 (130-219)、中性脂肪 51 (40-149)、AST(GOT) 18 (8-40)、ALT(GPT) 12 (4-45)、γGPT 21 (~80)、LDH 164 (120-240) とまず基準値内にある。するとカシューナッツを一日に25g、脂質換算で13.3g=120Kcal 摂取したらどういうことになるだろうか?
これは面白いので、実験してみることにした。30日後の結果はまたお知らせしたい。
代わりに今はもっと細かいところを調べた「検査数値表」がもてはやされている。患者も医者も数値が上がった下がったで一喜一憂だ。どこかおかしい。
私の糖尿病の方は、空腹時血糖値(mg/dL)が117、HbA1c(%)が5.8でほぼ正常化した。「正常化」とは明らかな患者でない人が示す値と同じ程度になった、という意味だ。直ったわけではないし、無症状でも合併症が進行することもある。
で、お願いしていたインスリン(μU/ml)とC-ペプチド(ng/mL)の測定結果がわかった。前者が3.5 (2.0~11.0)、後者が1.41 (0.74~3.48)だった。
かかりつけ医は「インスリンとC-ペプチドの測定ここではできない」と言っていたが、無理にお願いしたらできた。料金は自己負担なのか、レシートも見ないから知らない。ただ、Ⅱ型糖尿病の場合、血糖値、HbA1c、インスリンの分泌度、C-ペプチドの量の測定を行うのは、病理学的には当然な話で、保険診療が認められていないとしたら、それはおかしい。
インスリンの測定単位がU (ユニット=Unit)になっているのは、物質量を測定するのではなく機能(働きの度合い)を測っているからだ。これは見かけ上は「正常値=基準値」に収まっているが、山形になるカーブのどこに正常と異常の境をおくかで異なる。患者を増やしたければ基準値の幅を狭く、減らしたければ幅を広くとればよい。そのあたりの科学的な基準値の決め方が、日本の臨床医学は不十分だと思う。
まあ、一応は糖尿病のコントロールに成功したところで、次の人体実験にチャレンジしようかと思う。
糖質制限食を実施してみて、空腹感に襲われることがないとわかった。昨1/21火曜日の夜は22:10頃から夕食をし、「報道ステーション」を見ながら赤ワインを1杯と甲類焼酎を1杯飲んだ。23時前に仕事場に戻り、このメルマガの第1項を書いた。0時半頃自宅に戻り、入浴して床に就いたら1時を過ぎていた。Kindleで漱石の「門」を数ページ読み、すぐ寝入った。
水曜日の朝は夢を見て、8時に目覚めた。むろん二日酔いはない。すぐに洗面をすませて仕事場に入り、コーヒーに「パルスィート」を入れて2杯飲んだ。それで10時過ぎまで仕事をして、それからかかりつけの診療所に受診した。実質的な診療は採血だけである。数日すれば検査結果が郵送されて来るだろう。
今、15:15で絶食はすでに17時間に及ぶが空腹感はない。しかし食べようと思えばいつでも食べられる。こうしてみると、「一日三食は必要か?」と思えてくる。古代は一日一食の時代もあったし、平安貴族ですら一日二食だった。ディナーという言葉は夜の「正餐」を意味するが、あれは元は「昼食」を意味していた。フランス語diner(「食べる」)由来で、dinnerはそこから来たものだ。つまり夕食がなかったのだ。
そこでまず実験だが「1日2食」に移行してみようかと思う。つまり朝食を止める。これだと空腹時の低い血糖値が持続する。ブドウ糖をエネルギー源にできないから、その間、脂肪酸由来のケトン体かアミノ酸由来のピルビン酸がATP産生源になる。HbA1c値は食後高血糖(グルコース・サージ)がないから、低くなるはずだ。
ブドウ糖には山口昌美氏が指摘するように、非特異的にタンパク質と反応する性質(アマドリ反応)がある。最近ではアルツハイマー病の原因であるβアミロイド物質の生産にブドウ糖が関与しているのではないかと言われている。この前、Nスペの「認知症」についての番組で福岡県久山町のデータが紹介されたが、糖尿病患者及び、境界型、予備軍の人の増加とアルツハイマー型認知症の増加曲線には美事な相関がある。
今は、朝食を食べないが、昼に朝と昼を一緒に食べるから量は減っていない。朝は目玉焼き、昼はハンバーグのようなものとゆで卵1個を食うから、一食で卵2個を食うことになる。夜も刺身とか加熱した肉が主体となる。多分、カロリー源としては糖質以上にタンパク質を摂っている。が、脂質が足りないから時々、マーガリンをバターナイフでサイコロ2個分くらいを切り取り、肉や野菜に載せて食う。マーガリンには糖質もタンパク質もほとんどなく、65%が脂質、残りが水分だ。オリーブ油から作ったのか、脂肪酸の65%が不飽和脂肪酸のひとつであるオレイン酸だと表示にある。
そこで考えたのが、タンパク質を減らし、脂質に富むナッツからカロリーを取る道だ。この前、スーパーの食品売り場で焼酎の紙パック(例の果実酒用35%)を買った時、売り場を見て回ったら、市場は「糖質制限食」に敏感に反応しているというか、健康志向になっているというか、「食塩無添加ナッツ」というのがあった。
カシューナッツ、ミックスナッツ、ピーナッツの袋(容量110~200g)を買ってきた。それぞれの主エネルギー源の成分を調べてみると、100グラム当たりの脂質含量が、カシューナッツ48%、ミックス56%、ピーナッツ53%。糖質は各20%、12%、13%と極めて低い。無塩カシューナッツでも、1日に100g食って糖質は20g。総カロリーは648Kcalで、その67%は脂質由来である。(但し私の計算では微量成分を除く合計が94.9gにしかならない。残り5.1gはどこから来るのだろうか?)(添付3=カシューナッツの栄養成分)
これは1袋90gなので、焼酎のおつまみに1回1/4量を食べると糖質約4.5g (18Kcal)を摂取することになる。ピーナッツだと糖質含量が13%ともっと低いが、固いから多くを食べられない。
昔、一杯飲み屋には「ホルモン焼き」というのがあった。「精が付く」と思って客が好んで食った。この場合の「ホルモン」とは男性ホルモン、アンドロゲンのことだから牛やブタの睾丸でしか産生されない。実際に提供されていたのは肝臓、腎臓、膵臓などの「内臓」だった。
スペインに行ってヒューマン・ウォッチングをしてみると、「おばさん」にヒゲを生やした人が目立つ。あれは好んで睾丸を食っているせいではない。閉経後にエストロゲン分泌が減少して、相対的にアンドロゲンが優位になり、しかも顔をあたる習慣がないためだ。
性ホルモンは化学的にはステロイド核をもっていて、これは腸の上皮を通過できない。膵臓から分泌される酵素リパーゼの作用により、脂肪酸とトリアシルグリセロール(略称「トリグリセライド=トリグリ」)に分解されて後、はじめて吸収される。従って食事に含まれる性ホルモンは血中に移行しない。コレステロールそのものが吸収されない。コレステロールは分子量387, 3つのベンゼン核と1つの5炭素核が結合した構造をしており、水酸基(-OH)が1個(分子量17)しかない。従って単体としては難水溶性である。(「Merck Manual 11版」)
従って食物中のコレステロールは99%吸収されず、体内のコレステロールは肝臓でトリアシルグリセロールを素材として新生される。食事由来の脂質はその素材として利用されるにすぎない。肝臓から脳などへのコレステロール(体内でコレステロール含量が一番多い臓器は脳と脊髄で、薬品素材としてのコレステロールは動物の脳脊髄から抽出する。)輸送には、水溶性タンパク「アポタンパク」がキャリアーとして働く。常染色体性の優性遺伝をする「家族性高コレステロール血症」では、アポタンパクが欠損しているか、受け取る細胞の側にレセプターが欠損している。このためコレステロールの血中濃度は1000mg/dLに達することもある。
このように「病気を自然の実験」として見れば、高コレステロール血症の主たる要因は食事中のトリグリセライドを燃焼できず、コレステロール合成回路に回してしまうという遺伝的な素質と肥満をそのサインとするカロリーの過剰摂取にあることは明らかだ。今なお臨床医の多くは「食物中のコレステロールが体内に移行する」という時代遅れの考えに囚われている。
私の脂肪代謝及び肝機能は、総コレステロール 197 (130-219)、中性脂肪 51 (40-149)、AST(GOT) 18 (8-40)、ALT(GPT) 12 (4-45)、γGPT 21 (~80)、LDH 164 (120-240) とまず基準値内にある。するとカシューナッツを一日に25g、脂質換算で13.3g=120Kcal 摂取したらどういうことになるだろうか?
これは面白いので、実験してみることにした。30日後の結果はまたお知らせしたい。
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