【大学にて】帰りに久しぶりに広島大キャンパスに寄った。有人ゲートが10月1日から正面玄関だけになっていて、南口から北側の正門に回らなければならなかった。恐らく人件費節約のために警備会社の派遣員を減らしたのだろう。
もともとキャンパスの移転にあたっては「開かれた大学」を看板にしていて、門も垣根も設けなかった。図書館も一般市民に開放している。
有人ゲートができたのは、キャンパス内に外から痴漢が侵入した事件が起こったからだ。移転当初は野犬が横行していて、餌をやっていて噛まれた学生もいた。
ICカードの構内通行証をもつ学生や職員は、無人ゲートが開くが、持たない外部の人にとっては不便でたまらない。
このように、物事は時代を重ねると、本来の精神が忘れられ、官僚的な保守主義が横行することになる。この分では人が乗り越えられる植え込みのある土手も、やがて鉄の高いフェンスに変わるだろう。この辺の小集落がイノシシ除けのフェンスで閉ざされているのと同様だ。
生協に行って、文庫、新書を50冊ばかり買った。たまたま組合員には、「15%引きセール」をやっていたので、34,000円で済んだ。クレジット・カードの有効期限が8月で切れ、信販会社は7月に新カードを郵送したというのだが、見あたらない。そこで当分カードなしで行くことにしたので、AMAZONに注文ができず、積ん読本を主に読んでいる。
文庫・新書にしたのは、ハード・カバー本がほとんどないからだ。たぶん売れないのだろう。表紙ばかり厚くて、中味が薄いハードカバーなどくそくらえだ。あれは「本棚のふさぎ虫」だ。二重買いを防ぐために、奥付の発行年月日を確かめて買った。今年の5月以後の新刊ならまず二重買いのおそれはない。
あと、引用文献があるか、索引がついているかも確かめたが、そこまで良心的な本はいまも少ない。
面白かったのは、レジに運んで計算する時、バーコードを自動読み取り機に店員がかざすのだが、45冊目で機械が動かなくなったことだ。店員が「バーコードの印刷ミスか?」と別の本をかざしてもやはり動かない。結局、レジの機械が45冊までしか受け付けないようにプログラムされているとわかった。45冊分を一旦勘定をし、ついで残り4冊に入ったらちゃんと動いた。つまり「1回に買う冊数は45冊以上の人はいない」というコンセプトで設計されているのである。これは全国の大学生協共通であろう。
買い物を終えて、生協と図書館の間で一服していて、中型のジョロウグモが網を張っているのを見つけた。西条キャンパスは拙宅より100mほど低いが、海抜300mあり、ここ数日の気温は零下になったと思うが、まだ生き延びている。(添付1)
西日が当たって体温が上昇していると見え、カメラを近づけたら、「こしき」から逃げ出した。少し威嚇するように巣をゆすった。
11/30日の朝は大霜で、裏庭の葉にはこんなふうに霜が降りていた。(添付2)
霜は葉の辺縁部と葉が上に反り返ったところをみると、葉の裏側につよく付着している。
不思議に思い「植物形態学」という本で、葉における気孔の分布密度を調べてみると、圧倒的に葉の下面に多い。植物も呼吸をしているから、酸素を用いて糖分を分解し、水と炭酸ガスに変えている。気孔から排出される空気は、水分を多く含むから大気温が氷点下になればすぐに凍る。だから霜は葉の裏に多くつくのだとわかった。
同じ朝、例の勝手口のジョロウグモをみたら、なんと身体に霜が降りていた。(添付3)
節足動物クモ類では、2種の呼吸器官がある。「書肺」と「気管」である。
書肺は哺乳類の肺の原型ともいうべきもので、和本の頁を重ねたような構造をしていて、胸部前端に左右一対あり、胸節下面にスリット状の開口部があって、そこから和本の綴じ代にそうとうする部分につながっている。閉じたページの袋部分に空気が行き、紙に相当する部分の内部を走っている毛細血管とガス交換をする。
もうひとつは植物と同じ気孔が腹部の両側面に多数開口していて、そこから小さな気管が始まり、分岐しつつ毛細血管の近くで終わる。
植物も動物も霜が付く原理は同じだから、撮った写真をよくみると、腹部の両脇に点状に霜の結晶が認められた。これは逆光で撮影すると非常によくわかる。(添付4)
いつもはこの位置では腹を見せているのに、どういうわけかこの朝は背中を見せている。
「おかしいな…」と思い、横から撮影すると、頭を上にして、腹を上に向けて静止していた。これは書肺の開口部から排出される湿った空気がすぐに拡散するので、霜による開口部の凍結を防ぐには合理的な姿勢である。ここには霜がなかった。
ジョロウグモは日中は頭を下にした状態で「こしき」にいるが、この夜は頭を上にした状態で過ごしたのであろう。1回の観察なので一般化できないが、こうして霜害を防ぐのかもしれない。書肺による呼吸はヒトの肺呼吸に相当し、管状気管による呼吸はヒトの皮膚呼吸に相当する。クモは外骨格動物なので、キチン質の外殻にはガス交換機能がない。
こうなると、このクモがもっと長生きしてくれて、観察の機会が増えることを祈りたい。
もともとキャンパスの移転にあたっては「開かれた大学」を看板にしていて、門も垣根も設けなかった。図書館も一般市民に開放している。
有人ゲートができたのは、キャンパス内に外から痴漢が侵入した事件が起こったからだ。移転当初は野犬が横行していて、餌をやっていて噛まれた学生もいた。
ICカードの構内通行証をもつ学生や職員は、無人ゲートが開くが、持たない外部の人にとっては不便でたまらない。
このように、物事は時代を重ねると、本来の精神が忘れられ、官僚的な保守主義が横行することになる。この分では人が乗り越えられる植え込みのある土手も、やがて鉄の高いフェンスに変わるだろう。この辺の小集落がイノシシ除けのフェンスで閉ざされているのと同様だ。
生協に行って、文庫、新書を50冊ばかり買った。たまたま組合員には、「15%引きセール」をやっていたので、34,000円で済んだ。クレジット・カードの有効期限が8月で切れ、信販会社は7月に新カードを郵送したというのだが、見あたらない。そこで当分カードなしで行くことにしたので、AMAZONに注文ができず、積ん読本を主に読んでいる。
文庫・新書にしたのは、ハード・カバー本がほとんどないからだ。たぶん売れないのだろう。表紙ばかり厚くて、中味が薄いハードカバーなどくそくらえだ。あれは「本棚のふさぎ虫」だ。二重買いを防ぐために、奥付の発行年月日を確かめて買った。今年の5月以後の新刊ならまず二重買いのおそれはない。
あと、引用文献があるか、索引がついているかも確かめたが、そこまで良心的な本はいまも少ない。
面白かったのは、レジに運んで計算する時、バーコードを自動読み取り機に店員がかざすのだが、45冊目で機械が動かなくなったことだ。店員が「バーコードの印刷ミスか?」と別の本をかざしてもやはり動かない。結局、レジの機械が45冊までしか受け付けないようにプログラムされているとわかった。45冊分を一旦勘定をし、ついで残り4冊に入ったらちゃんと動いた。つまり「1回に買う冊数は45冊以上の人はいない」というコンセプトで設計されているのである。これは全国の大学生協共通であろう。
買い物を終えて、生協と図書館の間で一服していて、中型のジョロウグモが網を張っているのを見つけた。西条キャンパスは拙宅より100mほど低いが、海抜300mあり、ここ数日の気温は零下になったと思うが、まだ生き延びている。(添付1)
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西日が当たって体温が上昇していると見え、カメラを近づけたら、「こしき」から逃げ出した。少し威嚇するように巣をゆすった。
11/30日の朝は大霜で、裏庭の葉にはこんなふうに霜が降りていた。(添付2)
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霜は葉の辺縁部と葉が上に反り返ったところをみると、葉の裏側につよく付着している。
不思議に思い「植物形態学」という本で、葉における気孔の分布密度を調べてみると、圧倒的に葉の下面に多い。植物も呼吸をしているから、酸素を用いて糖分を分解し、水と炭酸ガスに変えている。気孔から排出される空気は、水分を多く含むから大気温が氷点下になればすぐに凍る。だから霜は葉の裏に多くつくのだとわかった。
同じ朝、例の勝手口のジョロウグモをみたら、なんと身体に霜が降りていた。(添付3)
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節足動物クモ類では、2種の呼吸器官がある。「書肺」と「気管」である。
書肺は哺乳類の肺の原型ともいうべきもので、和本の頁を重ねたような構造をしていて、胸部前端に左右一対あり、胸節下面にスリット状の開口部があって、そこから和本の綴じ代にそうとうする部分につながっている。閉じたページの袋部分に空気が行き、紙に相当する部分の内部を走っている毛細血管とガス交換をする。
もうひとつは植物と同じ気孔が腹部の両側面に多数開口していて、そこから小さな気管が始まり、分岐しつつ毛細血管の近くで終わる。
植物も動物も霜が付く原理は同じだから、撮った写真をよくみると、腹部の両脇に点状に霜の結晶が認められた。これは逆光で撮影すると非常によくわかる。(添付4)
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いつもはこの位置では腹を見せているのに、どういうわけかこの朝は背中を見せている。
「おかしいな…」と思い、横から撮影すると、頭を上にして、腹を上に向けて静止していた。これは書肺の開口部から排出される湿った空気がすぐに拡散するので、霜による開口部の凍結を防ぐには合理的な姿勢である。ここには霜がなかった。
ジョロウグモは日中は頭を下にした状態で「こしき」にいるが、この夜は頭を上にした状態で過ごしたのであろう。1回の観察なので一般化できないが、こうして霜害を防ぐのかもしれない。書肺による呼吸はヒトの肺呼吸に相当し、管状気管による呼吸はヒトの皮膚呼吸に相当する。クモは外骨格動物なので、キチン質の外殻にはガス交換機能がない。
こうなると、このクモがもっと長生きしてくれて、観察の機会が増えることを祈りたい。
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