【買いたい新書】の書評をいま、196本書いた。これは12月23日アップ分までで、来年の1月18日に200本目がアップされる予定だ。手持ち本と大学生協でまとめ買いした50冊の中から、よい本を4冊選ぶ予定だ。
先週の新聞広告で、講談社ブルーバックスから「血液型で分かる なりやすい病気、なりにくい病気」という新書が出たことを知り、西高屋のショッピング・モールにある「広文舘」という本屋に行った。ここは売り場面積の半分をレンタル・DVD売場が占めていて、後はガキ用の本が主体だ。それでもブルーバックスはあるだろうと思ったが、紙が黄ばんだ返品不能本が4冊あるだけ。もちろん目当ての新刊本はない。
だから岩波文庫も岩波新書もない。
JR西高屋駅脇にある、レンタルDVD兼の本屋が最近潰れたが、いまや書籍の販売不況は個人店舗だけでなく、大型チェーン店舗にも及んでいるようだ。
店の責任者に、何でブルーバックスがないのか問いただすと、「うちのような実績では、初めから配本されないのです」という。潰れるタイプの個人商店と同じ発想で商売をしている。
出版情報誌に目を通して、「売れそうな本、固定客が買いに来そうな本」に予約注文を出しておけばよいではないか。売場に平積みにして、売れなければ6ヶ月後に返品すればよい。
再販制度と指定価格制度は、小売店主の利益を擁護するためにあると、少なくとも出版業者はいっているのだから、それを逆手にとればよいのである。
雇われ店長だから、そういうことができないのかもしれない。だとするなら、この店舗の先行きは暗い。何しろ行く度に店員が変わっている。
問題の本、永田宏「血液型で分かる なりやすい病気、なりにくい病気:がん、胃潰瘍、脳梗塞から感染症まで」、講談社ブルーバックス、2013/11/20, ¥800, 190頁は大学生協の書店にあった。
著者は筑波大学の工学部を出て、かのiPS細胞臨床試験の森口先生や降圧剤のデータ捏造で有名な東京医科歯科大学で「医学博士」号(医師免許ではない)をもらっている。いま「長浜バイオ大学」の教授だそうだ。
これがまたひどい本で、1頁に1箇所の間違いがある。全体では150ヶ所以上あるだろう。
まともに参考にした本は、ダグラス・スターの「血液の歴史」、河出書房新社、2009くらいで、あとの引用文献は、なんとほとんど英語論文だが、著者名がなく論文タイトルと雑誌名、巻号、頁と年度が書いてある。こんなデタラメな文献引用をはじめて見た。
私は今書いている血液型本の原稿で、この著者を完膚無きまでに、「エセ科学者」として批判する予定だが、こういう本を出した出版社も放置しておけないと思う。
このメルマガを読んでいる「血液病理学」の同志にお願いする。
ぜひこの本を入手して、内容的に検討してもらいたい。
「血液型と性格」のブームは1970年代の第2次ブームの際に、医学者がまともに相手にしなかったために、かえってまん延し、現在の「血液型占い」の第3次ブームにつながり、講談社のような大手の出版社までも「貧すれば貪す」で、こんなトンデモ本を売って儲けようとしている。
いやしくも「血液病理学者」を標榜する以上、その社会的責任のなかには、このようなインチキ本を批判する義務が含まれると考える。黙認は肯定につながる恐れがある。
諸君、至急にご検討下さい。お願いいたします。(別途、個別メールを送ります。)
佐高信・佐藤優「世界と闘う<読書術>:思想を鍛える1000冊」、集英社新書, 2013/11, 780円, 258頁に目を通して、これもあきれてしまった。
文系中心の選書ばかりで、原発問題、TPP問題、世界経済、国連、集団安全保障、軍備と兵器、地球温暖化と寒冷化、長寿社会と少子化の問題、世界の食糧問題、福祉社会と長寿高齢化の問題、生活保護と貧困、科学の進歩とその危険性。こういった問題を考える書物は一切取り上げてない。だいたい右派の佐藤とサヨクの佐高が組んだ本だから、両者の「最小公倍数」を取るとこんな内容になるだろう。ウソだと思ったら買って読んでみて下さい。
佐高信はもう「賞味期限切れ」だが、「佐藤優」現象が続いているのは、出版界やメディアの人間があまりにも無知だから、佐藤優程度が「まぶしく」見えるだけのことだ。
この本は「世界と闘うために<読んでもムダな1000冊>」である。
きょう日、自然科学と医学の基本的知識を身につけないで、「世界と闘う」などおこがましい。
もうイデオロギーの時代は終わったのだ。
先週の新聞広告で、講談社ブルーバックスから「血液型で分かる なりやすい病気、なりにくい病気」という新書が出たことを知り、西高屋のショッピング・モールにある「広文舘」という本屋に行った。ここは売り場面積の半分をレンタル・DVD売場が占めていて、後はガキ用の本が主体だ。それでもブルーバックスはあるだろうと思ったが、紙が黄ばんだ返品不能本が4冊あるだけ。もちろん目当ての新刊本はない。
だから岩波文庫も岩波新書もない。
JR西高屋駅脇にある、レンタルDVD兼の本屋が最近潰れたが、いまや書籍の販売不況は個人店舗だけでなく、大型チェーン店舗にも及んでいるようだ。
店の責任者に、何でブルーバックスがないのか問いただすと、「うちのような実績では、初めから配本されないのです」という。潰れるタイプの個人商店と同じ発想で商売をしている。
出版情報誌に目を通して、「売れそうな本、固定客が買いに来そうな本」に予約注文を出しておけばよいではないか。売場に平積みにして、売れなければ6ヶ月後に返品すればよい。
再販制度と指定価格制度は、小売店主の利益を擁護するためにあると、少なくとも出版業者はいっているのだから、それを逆手にとればよいのである。
雇われ店長だから、そういうことができないのかもしれない。だとするなら、この店舗の先行きは暗い。何しろ行く度に店員が変わっている。
問題の本、永田宏「血液型で分かる なりやすい病気、なりにくい病気:がん、胃潰瘍、脳梗塞から感染症まで」、講談社ブルーバックス、2013/11/20, ¥800, 190頁は大学生協の書店にあった。
著者は筑波大学の工学部を出て、かのiPS細胞臨床試験の森口先生や降圧剤のデータ捏造で有名な東京医科歯科大学で「医学博士」号(医師免許ではない)をもらっている。いま「長浜バイオ大学」の教授だそうだ。
これがまたひどい本で、1頁に1箇所の間違いがある。全体では150ヶ所以上あるだろう。
まともに参考にした本は、ダグラス・スターの「血液の歴史」、河出書房新社、2009くらいで、あとの引用文献は、なんとほとんど英語論文だが、著者名がなく論文タイトルと雑誌名、巻号、頁と年度が書いてある。こんなデタラメな文献引用をはじめて見た。
私は今書いている血液型本の原稿で、この著者を完膚無きまでに、「エセ科学者」として批判する予定だが、こういう本を出した出版社も放置しておけないと思う。
このメルマガを読んでいる「血液病理学」の同志にお願いする。
ぜひこの本を入手して、内容的に検討してもらいたい。
「血液型と性格」のブームは1970年代の第2次ブームの際に、医学者がまともに相手にしなかったために、かえってまん延し、現在の「血液型占い」の第3次ブームにつながり、講談社のような大手の出版社までも「貧すれば貪す」で、こんなトンデモ本を売って儲けようとしている。
いやしくも「血液病理学者」を標榜する以上、その社会的責任のなかには、このようなインチキ本を批判する義務が含まれると考える。黙認は肯定につながる恐れがある。
諸君、至急にご検討下さい。お願いいたします。(別途、個別メールを送ります。)
佐高信・佐藤優「世界と闘う<読書術>:思想を鍛える1000冊」、集英社新書, 2013/11, 780円, 258頁に目を通して、これもあきれてしまった。
文系中心の選書ばかりで、原発問題、TPP問題、世界経済、国連、集団安全保障、軍備と兵器、地球温暖化と寒冷化、長寿社会と少子化の問題、世界の食糧問題、福祉社会と長寿高齢化の問題、生活保護と貧困、科学の進歩とその危険性。こういった問題を考える書物は一切取り上げてない。だいたい右派の佐藤とサヨクの佐高が組んだ本だから、両者の「最小公倍数」を取るとこんな内容になるだろう。ウソだと思ったら買って読んでみて下さい。
佐高信はもう「賞味期限切れ」だが、「佐藤優」現象が続いているのは、出版界やメディアの人間があまりにも無知だから、佐藤優程度が「まぶしく」見えるだけのことだ。
この本は「世界と闘うために<読んでもムダな1000冊>」である。
きょう日、自然科学と医学の基本的知識を身につけないで、「世界と闘う」などおこがましい。
もうイデオロギーの時代は終わったのだ。
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