ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【中国、死刑囚の臓器提供中止】難波先生より

2014-12-16 09:10:04 | 修復腎移植
【中国、死刑囚の臓器提供中止】
 <中国が死刑囚の提供停止 どうなる?日本人患者の臓器移植>と12/7「日刊ゲンダイ」が報じている。当初、今年の7月から止めると発表したが、来年2015/1からにするそうだ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/155561
 中国では年間2000人以上の死刑が執行され、臓器としてはおもに、4000個以上の腎臓が移植に使われている。
 <臓器の供給がピークだった2007年ごろは日本人の患者が約1000万円をコー ディネーターに渡して移植手術を受けた。死刑囚の遺族に渡される謝礼は約30万 円。現在は中国政府が自粛を呼びかけているため提供臓器が減り、いま費用は1500万 円以上に高騰>しているという。
 日本人の渡航移植を防ぐためと称して、関西の某大学の移植学会幹部教授が「中国で腎移植を受けた患者の診療を拒否せよ」と「私的指令」を出したため、全国から腎移植難民が四国の宇和島まで来るそうだ。私も一度電話で患者から話を聞いたことがある。
 心臓移植のため1億5000万円払って(それも募金だ)、アメリカで渡航移植を受けるのは美談になり、自分で1500万円払って中国で渡航移植を受けたら犯罪者扱いされる。おかしなことだ。
 何よりもおかしいのは、日本移植学会は渡航移植に反対するだけで、対案も代案も出そうとしない、腎臓のドナープールを増やそうと努力しないことだ。すべて「臓器移植ネットワーク」に転嫁している。ひとにぎりの熱心な救命救急医(その多くは移植学会の会員ですらない)の努力が年間100個程度の腎臓供給を支えている。

 これまで中国では死刑囚由来の腎臓が、軍病院の収益を支えていた。これが中止されると、年間4000個の腎臓が入手できなくなるので、糖尿病の激増とそれに由来する糖尿病性腎不全が急増しているあの国では、日本と同様に深刻な腎臓不足が起こるだろう。臓器略取目的の犯罪も増加するだろう。
 その後、本格的な文献調査をしていないが、天津の軍病院を中核として、中国でも「修復腎移植」が実施され、これが普及して腎臓のリサイクル、つまり「もったいない」運動が移植医療においても起こることを期待したい。
 そうなると日本の厚労省も、「病腎移植」を禁止した2008/7の局長通達を撤回せざるをえなくなるだろう。
 「臓器移植ネットワーク」によると、2014年の状況11月末現在、日本の臓器移植事情は以下のようになっている。
http://www.jotnw.or.jp/

移植希望登録者数 ・・・・ 13,696人
脳死下で提供された方 ・・・・ 45人
心臓停止後に提供された方 ・・・・ 23人
移植を受けた方 ・・・・ 224人
 このうち腎臓だけの移植を必要としている軽症者(他臓器の病気がないもの)で、腎臓だけの移植を受けられた人は、たった87人だ。腎移植だけの数は、年々減っている。
 http://www.jotnw.or.jp/datafile/offer/index.html
  脳死/心臓死を合わせて、年間死亡者数123万人(2013年数値)のうちドナーになった人は、たった68人(死亡者10万人当たり5.5人)ということになる。(国際的には人口100万人当たりのドナー発生数で比較するが、これだと0.52人とスペインの40に比べて80分の1になってしまう。)
 これは<「臓器移植法」さえ制定し、脳死体からの臓器摘出を合法化し、医師が訴えられることがなくなれば欧米と同じように、ドナーは増えるだろうと考えた、厚労省と移植学会の予測が間違っていたことを意味している。
 特に、全国統一の「日本臓器移植ネットワーク」をつくり、臓器の提供と分配を中央集権的にやることにしたのが、致命的な間違いだった。あれが草の根の臓器提供意思や、現場の救命救急医のやる気を沮喪させてしまった。
 それなのに学会も厚労省も「修復腎移植」を従前通り、禁止するのであろうか?

 1930年制定の「らい予防法」は、世界の趨勢にあわなくなって、1996/4に廃止されたという歴史がある。これには京大医学部卒で、技官として厚生省に入局した元厚生省医務局長大谷藤郎の功績が大きい。日野原重明の提言を受けて、「成人病」を「生活習慣病」に名称変更させるに際にも、彼が率先して動いた。
 今の厚労省のなかにも、移植学会と厚労省のあやまちを、率先して是正することに努力する官僚がいることを私は信じたい。
 〔参考文献〕大谷藤郎:「らい予防法廃止の歴史」,勁草書房, 1996
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