ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評など】増田寛也(編著)「地方消滅」/難波先生より

2015-05-12 15:00:41 | 難波紘二先生
【書評など】
1)「買いたい新書」書評No.268に増田寛也(編著)「地方消滅」をとりあげました。
 副題が「東京一極集中化が招く人口集中」とある。著者は元岩手県知事で、総務大臣経験者でもある。「東京一極集中」とその弊害といわれても、東京に住んだことがない評者にはピンと来ない。おそらくずっと東京圏に住んでいる、日本人の約2割にとってもそうであろう。

 先日、広島県竹原市の史跡観光をする機会があった。ここは頼山陽の一族旧跡とNHK朝のテレビ小説「マッさん」で有名になったニッカウィスキーの竹鶴酒造がある町だ。ガイドは80歳をすぎた元気な地元の老女だったが、史跡保存地区に住んでいたのは、老人ばかりだった。「空き家率・無住率」がやたら高いのが目立った。
 「どうして空き家が目立つのですか?」と件の老女に聞いてみた。三原弁でなく、ちゃんとした都市言葉で返事があった。「地元の高校を出た若い者は、みな東広島市の会社に就職します。そこに土地を買って家を建てるから、戻っては来ません」という。三原市の人口は1980年が最大の3万6,895人で、2010年には2万8,655人と8,240人(22.3%)も減っている。
 1975年、誕生したばかりの東広島市の人口は10万8,219人だったが、2010年に19万0,043人に急増した。75.6%の増加である。市の年齢階層別の人口分布(2005)を全国のものと比較すると、60歳代直前に「団塊の世代」のピークがあるのは共通しているが、「20代前半」に東広島市に特徴的な、とてつもないピークがある。この約4万人に達するピークは、広島大を初めとする大学生と地元企業で働く若者から成り立っている。つまり総合大学があり、空港があり新幹線が止まり、山陽自動車道の西条インターがあるこの市は、巨大なサイフォンとなって周辺都市から若者人口を吸引しているのだ、と理解できた。
 換言すると、東広島市のスケールは小さいが「一極集中」のモデル都市なのである。

 同じことが東京では1970年代からもっと大規模に起きた。地方から若者を吸い寄せた結果、高齢化が一足早く進行した地方では、過疎で自治体が消滅しようとしている。逆に東京圏ではかつての若者が高齢化して、対応する福祉や医療がパンクしそうになっている。
 以下はここでお読み願いたい。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1430982150
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