ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【献本など】難波先生より

2014-12-03 18:26:52 | 難波紘二先生
【献本など】
 「医薬経済」12/1号のご恵送を頂いた。お礼申し上げます。
 巻頭の「OBSERVER」というインタビュー記事で「公務員が昇進したがらなくなった。有能なのに管理職試験を受けようとしない」と首都大学東京の桑田耕太郎教授(「都市教養学部教授」)の発言が印象的だった。若者の思考回路が変わりつつあると思う。
 「深層」欄の「薬学教育:<学生の質低下>は自明。乱立で地盤沈下し、6年制がトドメ」という記事には衝撃を受けた。下位5校の国試合格率は13〜35%という低さ。
 02年の6年制以降以来、薬学部の新設ラッシュが続いたが、志願者総数は04年をピークとして急激に減少。学生の入学定員を削減した大学も多いが、人気の長期低落とそれに伴う学生の質低下が生じている。これは由々しき問題につながる。
 すでに調剤薬局でも、スーパーの薬局でも、店員からは「先生」と呼ばれながら薬剤師に薬物学や薬理学の知識が乏しくなっているのには気づいていたが、今後はもっと深刻になるだろう。利用者の自衛が必要だ。
 鍛冶孝雄「読む医療」の記事も面白かった。「沖縄26ショック」という言葉をはじめて知った。80年に沖縄は男女とも長寿日本一だったが、以後徐々に低下し、2000年には男性が26位、10年には男30位、女3位に転落したのだそうだ。「長寿県沖縄」というイメージは消えた。
 これは沖縄県の平均寿命の話で、戦後生まれの世代に多い「肥満」に起因する諸病が、平均値を押し下げているので、70歳以上の余命は非常に長いそうだ。20〜60歳代男性にBMI 25以上の人が占める割合は、全国平均の30.4%に対して沖縄では45.2%と明らかに高いそうだ。たぶん糖尿病、高血圧、虚血性の心疾患、脳障害が増えているのだと思う。豊かになればこういう病気が増える。
 「話題の焦点」では、中国で糖尿病が激増していることが取り上げられている。80年の成人の糖尿病有病率は0.9%だったが、2010年にはこれが11.6%に、境界型が50.1%に増えたという。中国の新規患者のBMIは平均23.7というから「やせた糖尿」が多いのが特徴だ。人口14億人だから3/4が成人だとすると、成人の糖尿病患者数はほぼ日本の総人口に匹敵する。
 これが中国の未来におよぼす衝撃は絶大だろう。日本のメディアもPM 2.5ばかり取り上げないで、ちゃんとした調査報道をしてほしいものだ。
 MRICという「医療ガバナンス学会」のメルマガに「ボストン通信」を投稿しているハーバードの大西睦子さんが『カロリーゼロにだまされるな:本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社, 1013)という著書を出したのを知った。パルスイートを愛用しているので、さっそく買って読んでみたい。AMAZONでのレビュー評価は2極に分かれている。
 この人も女子医卒で、血液内科なので東大医科研の上昌弘さんとは知り合いだろう。血液学の領域は多士済々だなあ。
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