2007年には実に多くの風景画スケッチを残していますが、皆様にお見せできるほどのものは恥ずかしながら何もないのです。そして風景だけでは飽き足らず街中で見かけた草花もスケッチしてみたのですが、とても鑑賞に値するものではありませんでした。そしてこれらは水彩画には数えられないペン画というものだったのです。というわけで水彩はなぜか敷居の高い画材に思われました。日本に帰国してからたくさんの水彩画に接し、皆さん上手に水彩を操っておられるのが妬ましく思われもしました。最も洗練された水彩画家の個展に赴いた時には、その作品のすばらしさにポストカード一式を購入したくらいでした。そしてその原画は8万円の値がついていたのですが、画家が言うにはどれも5分で描けるのだそうでした。5分で描いた絵が8万円で売れる、僕は何か気分が悪くのを禁じえませんでした。油絵ではそのような効率の良い仕事は想像だに及ばないからです。だから恨みにも思うのでした。