“たがいに助け合い、完全な小市民を目指そう”
かつて“知恵働き”と称する推理活動により苦い経験をした小鳩くんは、清く慎ましい小市民を目指そうと決意していた。同じ志を立てた同級生の小佐内さんとたがいに助け合う“互恵(ごけい)関係”を密かに結び、小市民としての高校デビューを飾り平穏な日々を送るつもりでいたのだ。ところがふたりの学園生活に、なぜか不可解な事件や災難が次々と舞い込んでくる。はたして小鳩くんと小佐内さんは、小市民としての穏やかな日々を手に入れることができるのだろうか。
Ⓒ米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会
少しややこしいようで、しかし、とても見やすい。そりゃそうでしょ!推理小説なのだから。むしろ「待ってましたー!」という期待感の方が遥かに勝ります。あの「氷菓」の小説家・米澤穂信先生原作の作品なのですから。
『いちごタルト?』
「そう。この前言ってた春期限定の」
「アリスってお店でね、いちごがいっぱいなの」
『へぇ~それは楽しみだね』
「今日までなの。小鳩くん一緒に行ってくれる?」
『つまりお一人様1個限定なんだね』
「うん。早く行かないと売り切れちゃう。去年の4時半頃に行ったら最後の1個だったの」
『ここから何分くらい?』
「歩いて20分?」
『多分間に合うね』
〈ブブブ〉
『あっ健吾。ああ帰るところだけど…手を貸す?どのくらい?』
『30分か』
「もし売り切れたら来年の春まで食べられない…」
『でも…』
「でも?」
『知り合いからの頼みを断って波風を立てるような真似はしない。それがすなわち…』
「待つよ」
淡々と物語りが進んで、サラリと問題解決。何とも凹凸感の少ないアニメのような気がします。でも、それが自分としてはお気に入り。本格推理ミステリーとは違うお手軽感、距離感が視聴者の視線を釘付けにするのでしょうか。
“ぼくが思うに、これは〇〇で片がつく”___
この決め台詞もよいですね。実に小鳩くんらしい。
小佐内さんもまるで小動物のように可愛いですね。ただ、第4話までは、そんな彼女が何故、小市民を目指しているのか解らなかったです。放送前までは小鳩くんと同様に推理力に長けているのかな?とも思っていたのですが…
第4話で≪いちごタルト事件≫の犯人を追う小佐内さんの眼が獲物を追い詰める狼のように豹変していたのが印象的でした。なるほど!彼女が小市民を目指す原因は、そこですか!
CVには「僕ヤバ」の山田杏奈を演じた羊宮妃那さん。小佐内さんの役もぴったりです。
「今日はいい日だったな。テストも終わったしケーキも食べたし…」
「サカガミ!」
『駄目だ小佐内さん!』
『もう追いつけないよ。帰ろう小佐内さん』
時に堂島健吾の姉・知里はまだ、出番はあるのでしょうか?彼女は一体、何者?と思えるような「氷菓」よろしく、姉の存在が物語を進展させる重要なキーパーソンだと思いたい自分です。CVは伊藤未来さんかな?と思いきや、何と!我等が安済知佳さん。
OPテーマはペパーミントが香るようなメロディが素敵な楽曲。思わずBUNP OF CHIKENさんを起草してしまいました。
EDテーマは、主役ふたりにフィーチャーしたような楽曲。3次元と2次元を混ぜ込んだ背景がいい感じに仕上がっています。
キャラクターデザインは「ラブライブ!スーパースター!!」や「ひろがるスカイ!プリキュア」などのキャラデザを担った斎藤敦史氏。それだけでも妙に嬉しくなる自分ですが、斎藤敦史氏と言えば、実は大学卒業後、最初に就職したのが京都アニメーション。中途退職しているものの、「聲の形」で制作に関与するなど、京アニとの関係は良好の様です。好きなアニメたちがこんな感じで繋がっていくのが、とても嬉しく感じます。
物語りは≪トロピカルパフェ事件≫へと続くのですが、小鳩くんの小気味よい推理が楽しみであるのと同時に、小佐内さんのちょっと甘ったるいお喋りも堪能したいと思います。
自分も小佐内さんとスィーツ食べに行きたいです!