『聖女とは人々を守る存在だ。守ってくれる存在は我々もまた守ってこそ成り立つ』
『いいかローレンス。もし聖女様と出会うことがあればそれを忘れてはいけないぞ。お前は他より少し特別なんだからな』
この恋は無自覚に育まれていく___
とある教会。そこには可愛いけどだらけグセのある聖女さまと、真面目で過保護で料理上手な牧師さまが住んでいました。穏やかな日々の中で、密かに恋する聖女と超鈍感な牧師が繰り広げる、"無自覚いちゃラブコメ"。
もどかしい二人の関係が行きつく先は――!?
教会にやってくる人々を優しく導く聖女・セシリア。しかしいつも街の人が帰った途端、聖女らしさが消えた素の姿でだらけてしまう。そんなセシリアをつい過保護に甘やかしてしまう牧師のローレンスは色恋沙汰には超鈍感で、セシリアが密かに寄せる想いに気づく気配すらない。ローレンスと街へ向かう日は、二人でのお出かけにウキウキと上機嫌のセシリア。ところが、行く先々で待ち受けるハプニングの数々にセシリアの恋心は振り回されて……!?
『聖女様!』
『はい』
『何かご相談ですか?』
『ぐでー』
『先程の調子と今の格好ではあまりにもかけ離れてはいませんか?』
『いいじゃないですか~。今はローレンしかいませんし』
『ええ~…』
『大丈夫ですローレン。誰か来たらすぐ正しますから~』
『いえ…そういう問題じゃ…』
「牧師様ー!聖女様にお渡ししたいものが」
『ああ!ちょっと待って…』
ローレンス(なぜか聖女様は俺の前でだけだらける…)
『だらー』
『だから聖女様…どうしてそうなるのですか?』
『もう誰もいらっしゃらないので』
『ですからそういう問題ではないと…』
「聖女様ー!」
『!』
『えっ』
セシリア『皆さんこんにちは』
ローレンス(なんで俺の前でだけだらけるんだろう…)
「ばいばーい!聖女様!牧師様!」
『ぐだー』
『聖女様!』
だらけた聖女様の姿がクローズアップされるのは、物語りの最初数話だけ。以降はセシリアのローレンスに向けられた恋心を主題に描かれています。それだけだと途中、見飽きてしまいそうなのですが、中だるみする事無く、最終話まで安定感のあるストーリーに構成されていると感じました。
制作は、日常系には定評のある動画工房さん。ファンタジー世界を描いたこの作品でも、ふわりとした優しい世界観は流石、安心・安定の動画工房さんらしいですね。
登場人物も少なめで解りやすいです。
『…アベルは意地悪ですね』
『じゃあお詫びにこれあげます』
『それは?』
『さっきローレンスがセシリア様の名前を書いた紙です』
『いただきます!』
(悪い人ではないのかもしれません)
『よくちょろいって言われません?』
『余程大切な人ですのね』
『ええ。大事な同居人です』
『同居人?』
『そうですよ?』
『あ~…』(何かを悟る)
全12話の尺が余るかなと思いきや、逆に足りないくらい。
ちょっと気になる“ローレンスの少し特別”な体質と、“大聖女様”の存在。一応、物語りの筋としては語られていたのですが、その実態や御姿は不詳のまま。妖精や天使などを呼び寄せてしまう特異な体質に対する対処法や大聖女様の成り立ちなど、視聴者の喉の奥にお茶の葉が引っ掛かったままのような終わり方が気になります。
OPテーマは、ClariSの「コイセカイ」。女の子の恋心を元気に歌い上げてくれていて、セシリアのイメージにピタリですね。
EDテーマは、ササノマリイさんの「トコシエスタ」。夜、眠りに就く前の静かな時間。好きな人の事を想いながら聴きたい楽曲です。
『聖女様がだらけた』
『聖女様がだらけた!聖女様がだらけた!』
『…うう。限界です』
『ははっ…』
攻撃魔法や魔族とか争いごととは程遠い…流石、安心安定の作品です。
あまりにも可愛すぎる聖女様と恋に鈍感な牧師様の、街中がつい見守りたくなる恋の行方は、はたして___
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