初恋

　ぼくは、ここの軟禁状態にやっとなれふたりの主人がぼく
を愛してくれるということがなんとなくわかった。隙を見て
逃げてやろうなんて魂胆も薄れている。
　ただこのところ困ったことに夜布団の中でふと
♪夏の想い出♪が甦ってくるこどがあるんだよ。
あずきちゃんと遊んだ日々。メスのくせに体が大きくて生意
気な奴と思っていたが、
何ヶ月も会わないと会いたいなと思う。
桜の花が散るように、一瞬にして胸をしめつける、
甘くるしいこの気持ち。
これは、初恋なのだろうか・・・・・
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サクラ咲く

鎌倉までお出かけ

　　バッグに入れられ東横線と東海道線を乗り継いで

　　その日初めて外に出たところが大船駅。やれやれと

　　思って本屋の前でうんちしているとすぐにバスに乗せられ

　　鎌倉湖の墓地へ。あんまり寂しいので墓守のおじさんに

　　吠えちゃった。カメラおじさんのお父さんの墓だそうで

　　お参りすると北鎌倉のドッグカフェへ連れて行ってくれた。

　　帰りは、鳩サブレと一緒に又バッグに入って帰ってきた。

　　疲れたけど、面白かった。ぼくは、旅ができる！

　　又大人になった気がした。

嫁ぐ日まで

一週間前、夕方おじさんが長い緑道を歩いていそいそと行く
のでどこ行くのかなと思って坂を上って降りてみると、
そこは「Cafe6丁目」。
　あはーん!昼からぼくを寝かしつけてカッパ姉ちゃんの姿が
なかったのはここに一人で行っていたのかと思ってると、
なんと姉ちゃんの席に女の人がふたりもいるんだ。
ハッセーとタナちゃんとか言っていた。
　この三人の上には、なんだか強い輪っかが回っているのが
見えたんだ。
女学校時代からの友情とか、後でおじさんが帰り道言ってい
たが、それは、あれかなあ、ぼくが三ヶ月の頃から駒沢公園
でいつも遊んでいた柴犬の子のあずきちゃんなんかと久々に
会うときに心の中に感じるうれしさの輪っかみたいなもん
なのかなあ。
帰り道またこんなことも言っていたなあ。
「ハッセーもついに結婚するんだねえ・・・」
「花嫁の父じゃあるまいし・・・・」
結婚かあ・・・ぼくは、いつ恋ができるんだろう。。。うむ。

Ｙ字路の不思議

横尾忠則の最近のテーマがＹ字路だそうだけど
下北沢にも不思議なＹ字路があります。
　普通Ｙ字路といえば、この先二つに別れる人生
選択の迷い道か分かれ道、を連想するけど
わたしは、いつも知らない同士が向こうから其々
来てバッタリ顔を会わせる出会い道を連想して
ドキドキします。

人はなぜお茶を飲むのか

春風が激しく砧公園の写真展の帰り、カメラおじさんが♪お引っ越しのお見舞い返しは~~♪とキャンディーズとやらの
鼻歌を歌っていたが、これってかっぱ姉ちゃん(ご主人様のことだけど、カッパに似てるからこれからこう言わせてもらう)に言わせると懐メロっていうんだってさあ。なんだか懐かしい気分になりたいときに歌うんだって・・・
　ぼくが好きな懐メロは、自由が丘行きの帰りに入る「Cafe6丁目」という古道具やとカフェがいっしょになったお店かな。
やっちゃんとフミさんというやさしいオーナーがやってるんだ。料理とコーヒーのいい匂いのする中いつも長くいると
トロトロといい気持ちにマドロんでしまうんだ。おかあちゃんのお腹の下でおっぱいをちゅうちゅうやってたときの
しあわせな記憶が甦ってくるような気がして・・・・懐かしいなあと思う。懐メロなんだなあ。
　そういえばあざみ野のダックスのムック老師がため息混じりに「人生、立ち止まって一休みすることも大切じゃ」って
言っていたが懐メロな気分ってまさにこういうことか・・・うむ。
　じゃお茶でもするかって人間たちが言うのもこれのひとつかもしれないなあ。