今回はグロスマンの国(都市)シリーズのシールを使って、カードを作ってみました。
このシリーズは建物のデザインがとても細かくて、ため息が出る程きれいです☆
スペインやパリの他にロンドン、ローマ、オーストラリア、ハワイ、ニューヨーク、
サンフランシスコ、ラスベガス、フロリダ、そして日本などがあります。
今回使用したシールは、西荻窪にあるレッドハートストアーで購入しました。
こちらはグロスマン・ステッカーの専門店で、400種類以上の品揃えを誇ります。
貴重な廃版シールも出来る限り定価で販売していて、とても良心的!
シール以外の小物(カードやノートなど)も店長さんが選りすぐった可愛いグッズ
ばかりで、何もかも欲しくなってしまいます♪小さいですが素敵なお店なので、
一度訪れてみる価値はあると思います!
レッドハートストアーのホームページはこちら→レッドハートストアー
このシリーズは建物のデザインがとても細かくて、ため息が出る程きれいです☆
スペインやパリの他にロンドン、ローマ、オーストラリア、ハワイ、ニューヨーク、
サンフランシスコ、ラスベガス、フロリダ、そして日本などがあります。
今回使用したシールは、西荻窪にあるレッドハートストアーで購入しました。
こちらはグロスマン・ステッカーの専門店で、400種類以上の品揃えを誇ります。
貴重な廃版シールも出来る限り定価で販売していて、とても良心的!
シール以外の小物(カードやノートなど)も店長さんが選りすぐった可愛いグッズ
ばかりで、何もかも欲しくなってしまいます♪小さいですが素敵なお店なので、
一度訪れてみる価値はあると思います!
レッドハートストアーのホームページはこちら→レッドハートストアー
午後の散歩の帰り道。
ときどき銭湯の店開きに会うことがあるよ。
いつもお掃除している親切なおばちゃんが
ぼくに同じひとこと言うよ。
坊や、温泉入っていく?
ぼくは、ぶるぶるるるっと
首をふって早足に通り過ぎるんだ。
すると、ケラケラケラおばさん笑うよ。
ぼくがお風呂嫌いなこと知ってるのかなあ。
タライの中でシャンプーするだけで
心臓がキュッとなるのに
あんな大きなお風呂じゃ走り回るか、失神するよ。
ふううっ。
ときどき銭湯の店開きに会うことがあるよ。
いつもお掃除している親切なおばちゃんが
ぼくに同じひとこと言うよ。
坊や、温泉入っていく?
ぼくは、ぶるぶるるるっと
首をふって早足に通り過ぎるんだ。
すると、ケラケラケラおばさん笑うよ。
ぼくがお風呂嫌いなこと知ってるのかなあ。
タライの中でシャンプーするだけで
心臓がキュッとなるのに
あんな大きなお風呂じゃ走り回るか、失神するよ。
ふううっ。
こちら、自由が丘ペット探偵局 作者 古海めくみ
7
迷子犬の手配ポスターがキャノンのプリンターから
吐き出されてきた。そこにはスナップ写真を引き伸ば
した中型犬の全身像が印刷されていた。
ナナ。6か月。茶褐色。きわめて気が強い。
仔犬と言っても立派な柴犬ぐらいの大きさの雑種の犬だった。
「もう出来たんですか。」
その試し刷りのポスターを手にとって黒ぶちメガネの
田村良弘は、財布の中のナナの写真とポスターの写真と
を見比べながら感心して云った。
「迷子さがしは、速さが勝負なんですよ。1時間で数キロ
は移動してしまうので、最初の半日が勝負で日を追うごと
に発見が難しくなるんです。」
プリンターに用紙をセットしながら、窓のブラインドを
開けて犬飼健太は、そう説明すると田村と向かい合わせ
にテーブルについた。
「それでも猫に比べれば犬の発見率は高くて賢い飼い犬だ
と何週間もして家にひょっこり帰ってくることだってあるから・・」
「ナナは、まだうちに来て一週間しかたってないんです。」
「そうですか。お宅は確か杉並ですね。」
「荻窪です。」
「多摩川には、初めて連れて来た?」
「はい。河原が広いって人に言われて・・」
「うーん。多摩川は緑のベルト地帯と言われて、よく迷子犬
や野犬が紛れ込むんです。いろんな匂いが交雑してるから川
を上ってれば見つかりやすい。」
「はいっ。」
田村は、身を乗り出した。
健太は、プレハブの事務所の窓を開けて、風を入れた。
自由が丘駅に発着する電車の騒音が入り込んで薄い壁の部屋
全体に共鳴してホームにいるような雰囲気になった。
「ただし、川に平行して走っている環八を超えると、住宅街
で行き先は一気に広範になってしまう。目撃情報が集めが
カギになる。」
「もし見つからなかったら・・・・」
「とりあえず根気よく捜すことですよ。このポスターを近隣
の動物病院や保健所に配り公園や緑道の電柱にも貼っていく。」
「はい・・・・・」
涙ぐんでる田村に健太は、うんざりして依頼書を引き出し
から取り出すとテーブルの上を田村の方へすべらせて置いた。
「1日の捜索五時間で一万五千円です。発見しますと別途
手数料と発見協力者に謝礼が発生します。もし捜査を打ち
切る場合は、すぐに言ってください。その時点で終了します。
よければ、その捜査依頼書にサインしてください。」
田村は、健太の事務的な説明を聞いていたのかそれとも
夢の世界へひとりで漂っていたのか、なんの質問もなく
物理的に依頼書に淡々とサインした。
「前金が2万円になります。」
「はい・・・」
田村は、札束で膨らんだ財布から二枚の万札をテーブルに置いた。
「実は、この夏ぼくたち結婚するんです。ナナは彼女が気に
入って買った子犬なんです。・・・逃がしちってどう彼女に
説明したらいいか・・・」
又泣き出した。
「はい。はい。犬と新郎と同じバランスってわけね。」
「・・・・・」
マトイのど真ん中に弓矢が突き刺さった。
田村の顔色が見事に血の気を無くしていった。
「つらいとこ・・だね。まあ、信頼してください。捜しますよ。
がんばります。」
「お願いします。」
「じゃまず、僕は多摩川を捜索に行きますから、田村さんは、
世田谷の保健所にこのポスターをもって行って下さい。」
プリンターから刷り終わった迷子犬ポスター
を百枚、田村と半分づつに分けて健太は、プレハブ事務所
の外へ出た。
そしてピーっと口笛を吹くと、健太の目の前の物干し台に
一羽のカラスが飛んできてとまった。
「セイコちゃん。又よろしく頼むよ。」
そう健太が言うと、セイコちゃんと言われたカラスは
ポスターの犬の写真をじっと見つめて、健太の手から十枚
ぐらいのポスターをひょいと咥えて飛んでいった。
屋上犬飼ペット探偵事務所から出てきた田村が気の弱い鳩の
ように首をかしげてカラスの飛んで行く自由が丘の空を見上げた。
「セイコちゃんは、ああ見えも優秀な助手でね。ポスターを
公園で空からばら撒いてくれるし、ハグれたワン公を見つける
と襲って、人ごみに追い込む。で、犬を見つけた人が騒ぐ。
通報がくる。ってわけです。」
「へーえ。カラスにそんなことができるんですか・・・」
呆れた田村に健太はちょっとむっとした。
「カラスの脳は、猫より大きいんです。何よりここの屋上で
親代わりに育てたんね。彼女はアホな学生バイトより働く。」
「いや、この探偵事務所はすごいですね。」
「それより保健所が閉まらないうちに行かないと、捕まって
一週間で迷い犬はガス室だから。」
「はあ、わかりました。」
胸にポスターを抱えて田村は階段へ急いだ。
7
迷子犬の手配ポスターがキャノンのプリンターから
吐き出されてきた。そこにはスナップ写真を引き伸ば
した中型犬の全身像が印刷されていた。
ナナ。6か月。茶褐色。きわめて気が強い。
仔犬と言っても立派な柴犬ぐらいの大きさの雑種の犬だった。
「もう出来たんですか。」
その試し刷りのポスターを手にとって黒ぶちメガネの
田村良弘は、財布の中のナナの写真とポスターの写真と
を見比べながら感心して云った。
「迷子さがしは、速さが勝負なんですよ。1時間で数キロ
は移動してしまうので、最初の半日が勝負で日を追うごと
に発見が難しくなるんです。」
プリンターに用紙をセットしながら、窓のブラインドを
開けて犬飼健太は、そう説明すると田村と向かい合わせ
にテーブルについた。
「それでも猫に比べれば犬の発見率は高くて賢い飼い犬だ
と何週間もして家にひょっこり帰ってくることだってあるから・・」
「ナナは、まだうちに来て一週間しかたってないんです。」
「そうですか。お宅は確か杉並ですね。」
「荻窪です。」
「多摩川には、初めて連れて来た?」
「はい。河原が広いって人に言われて・・」
「うーん。多摩川は緑のベルト地帯と言われて、よく迷子犬
や野犬が紛れ込むんです。いろんな匂いが交雑してるから川
を上ってれば見つかりやすい。」
「はいっ。」
田村は、身を乗り出した。
健太は、プレハブの事務所の窓を開けて、風を入れた。
自由が丘駅に発着する電車の騒音が入り込んで薄い壁の部屋
全体に共鳴してホームにいるような雰囲気になった。
「ただし、川に平行して走っている環八を超えると、住宅街
で行き先は一気に広範になってしまう。目撃情報が集めが
カギになる。」
「もし見つからなかったら・・・・」
「とりあえず根気よく捜すことですよ。このポスターを近隣
の動物病院や保健所に配り公園や緑道の電柱にも貼っていく。」
「はい・・・・・」
涙ぐんでる田村に健太は、うんざりして依頼書を引き出し
から取り出すとテーブルの上を田村の方へすべらせて置いた。
「1日の捜索五時間で一万五千円です。発見しますと別途
手数料と発見協力者に謝礼が発生します。もし捜査を打ち
切る場合は、すぐに言ってください。その時点で終了します。
よければ、その捜査依頼書にサインしてください。」
田村は、健太の事務的な説明を聞いていたのかそれとも
夢の世界へひとりで漂っていたのか、なんの質問もなく
物理的に依頼書に淡々とサインした。
「前金が2万円になります。」
「はい・・・」
田村は、札束で膨らんだ財布から二枚の万札をテーブルに置いた。
「実は、この夏ぼくたち結婚するんです。ナナは彼女が気に
入って買った子犬なんです。・・・逃がしちってどう彼女に
説明したらいいか・・・」
又泣き出した。
「はい。はい。犬と新郎と同じバランスってわけね。」
「・・・・・」
マトイのど真ん中に弓矢が突き刺さった。
田村の顔色が見事に血の気を無くしていった。
「つらいとこ・・だね。まあ、信頼してください。捜しますよ。
がんばります。」
「お願いします。」
「じゃまず、僕は多摩川を捜索に行きますから、田村さんは、
世田谷の保健所にこのポスターをもって行って下さい。」
プリンターから刷り終わった迷子犬ポスター
を百枚、田村と半分づつに分けて健太は、プレハブ事務所
の外へ出た。
そしてピーっと口笛を吹くと、健太の目の前の物干し台に
一羽のカラスが飛んできてとまった。
「セイコちゃん。又よろしく頼むよ。」
そう健太が言うと、セイコちゃんと言われたカラスは
ポスターの犬の写真をじっと見つめて、健太の手から十枚
ぐらいのポスターをひょいと咥えて飛んでいった。
屋上犬飼ペット探偵事務所から出てきた田村が気の弱い鳩の
ように首をかしげてカラスの飛んで行く自由が丘の空を見上げた。
「セイコちゃんは、ああ見えも優秀な助手でね。ポスターを
公園で空からばら撒いてくれるし、ハグれたワン公を見つける
と襲って、人ごみに追い込む。で、犬を見つけた人が騒ぐ。
通報がくる。ってわけです。」
「へーえ。カラスにそんなことができるんですか・・・」
呆れた田村に健太はちょっとむっとした。
「カラスの脳は、猫より大きいんです。何よりここの屋上で
親代わりに育てたんね。彼女はアホな学生バイトより働く。」
「いや、この探偵事務所はすごいですね。」
「それより保健所が閉まらないうちに行かないと、捕まって
一週間で迷い犬はガス室だから。」
「はあ、わかりました。」
胸にポスターを抱えて田村は階段へ急いだ。
作文 ぼくら
1年さくら組 明太子のめんちゃん
夜さんぽに行きながら、おもいました。
月曜日にムックさんが亡くなって、
公園や道でワンちゃんやねこちゃんを見てて
つくづくぼくら、ペットは、にんげんと深い
つながりがあるんだなあ、とかんがえました。
にんげんは、ペットを飼って世話をします。
なでて、抱いて、えさをやって、遊んでやり
うんちの世話をして、寝かしてやります。
手をかけて、時に怒ったり可愛がったりして
にんげんはペットを飼っているといいます。
でも
ぼくら、からすると、なでさせて抱かれてやり
えさをうれしそうに食べてみせ、元気なうんちを
見せてよろこばせ、いっしよに運動してやってるのです。
また
時ににんげんがかなしそうにしていると寄りそってやり、
泣き言やぐちをきいてやります。
にんげんがうれしそうにしているといっしょに
ぴょんぴょん飛んであげます。
どうしてそんなめんどうなことをするのかというと
むかしからぼくらは、そんなつきあいをしてきたからです。
これはぽっぽ通信のハト爺さんからおそわったことだけど
にんげんは男も女も手に触れるともだちをいつもほしがる
生きものだからだそうです。
ぼくは、ムックさんのいなくなったおじいちゃんとおばあちゃんが
心配で今度遊びに行って抱かれてやろうと思います。
1年さくら組 明太子のめんちゃん
夜さんぽに行きながら、おもいました。
月曜日にムックさんが亡くなって、
公園や道でワンちゃんやねこちゃんを見てて
つくづくぼくら、ペットは、にんげんと深い
つながりがあるんだなあ、とかんがえました。
にんげんは、ペットを飼って世話をします。
なでて、抱いて、えさをやって、遊んでやり
うんちの世話をして、寝かしてやります。
手をかけて、時に怒ったり可愛がったりして
にんげんはペットを飼っているといいます。
でも
ぼくら、からすると、なでさせて抱かれてやり
えさをうれしそうに食べてみせ、元気なうんちを
見せてよろこばせ、いっしよに運動してやってるのです。
また
時ににんげんがかなしそうにしていると寄りそってやり、
泣き言やぐちをきいてやります。
にんげんがうれしそうにしているといっしょに
ぴょんぴょん飛んであげます。
どうしてそんなめんどうなことをするのかというと
むかしからぼくらは、そんなつきあいをしてきたからです。
これはぽっぽ通信のハト爺さんからおそわったことだけど
にんげんは男も女も手に触れるともだちをいつもほしがる
生きものだからだそうです。
ぼくは、ムックさんのいなくなったおじいちゃんとおばあちゃんが
心配で今度遊びに行って抱かれてやろうと思います。
在りし日のムックMuck in his boyhood
昨日のお昼。
ムック老師が亡くなったよ。
ぼくの大好きなおじいちゃん家のわんちゃんだった。
日曜日カッパ姉ちゃんが見舞いに行ったとき
苦しそうだったらしい。
心臓病で13才だったよ。
カッパ姉ちゃんは、結婚するまで
ずっといっしょに寝起きしていたんだって。
ぼくなんかよりお利口で温和しい
先輩ワンちゃんだったんだ。
でも虫の知らせか、カッパ姉ちゃんが会った次の日に
病院へつれていく車の中でゆっくり息をひきとったんだ。
姉ちゃん、なぜかムックに会いたいとそのとき思ったんだって。
きっとムックさんが呼んだんだね。
「ぼくは、もう向こうに行くから会いに来て!」って。
ムックさん、お疲れ様でした。
冥福を祈ります。
ぼくといつも一緒に遊んでくれて、ありがとう。
ぼくは、あなたのことずっと忘れないよ。
階段が苦手でよく落っこちていたムックさん、
天国の階段ですべったら、こっちに落ちてきて
またいっしよにあそぼ。
ゆっくりお休みなさい。ムック老師。
ムックさんとの思い出ー
1ムックさんとお留守番
2ムックさん、病にふせる
昨日のお昼。
ムック老師が亡くなったよ。
ぼくの大好きなおじいちゃん家のわんちゃんだった。
日曜日カッパ姉ちゃんが見舞いに行ったとき
苦しそうだったらしい。
心臓病で13才だったよ。
カッパ姉ちゃんは、結婚するまで
ずっといっしょに寝起きしていたんだって。
ぼくなんかよりお利口で温和しい
先輩ワンちゃんだったんだ。
でも虫の知らせか、カッパ姉ちゃんが会った次の日に
病院へつれていく車の中でゆっくり息をひきとったんだ。
姉ちゃん、なぜかムックに会いたいとそのとき思ったんだって。
きっとムックさんが呼んだんだね。
「ぼくは、もう向こうに行くから会いに来て!」って。
ムックさん、お疲れ様でした。
冥福を祈ります。
ぼくといつも一緒に遊んでくれて、ありがとう。
ぼくは、あなたのことずっと忘れないよ。
階段が苦手でよく落っこちていたムックさん、
天国の階段ですべったら、こっちに落ちてきて
またいっしよにあそぼ。
ゆっくりお休みなさい。ムック老師。
ムックさんとの思い出ー
1ムックさんとお留守番
2ムックさん、病にふせる
今回は、ネット通販で購入したグロスマンのシールで
農場の風景を作ってみました~。
右下に居るかかし、とてもキュートでお気に入りです☆
グロスマンを扱っている通販サイトはいくつかありますが、
今回利用したのは「ステッカー・ラバーズ」です。
グロスマンのシールの専門店なので品揃えが良く、新商品
はもちろんですが、廃版になった貴重なシールも販売している
ところがポイント高いです。
少しお値段の設定が高めなものもあるけれど、商品発送時に
サービス品を同封してくれたりするので許せてしまいます(笑)。
オマケやサービス品には滅法弱い私です…(笑)。
農場の風景を作ってみました~。
右下に居るかかし、とてもキュートでお気に入りです☆
グロスマンを扱っている通販サイトはいくつかありますが、
今回利用したのは「ステッカー・ラバーズ」です。
グロスマンのシールの専門店なので品揃えが良く、新商品
はもちろんですが、廃版になった貴重なシールも販売している
ところがポイント高いです。
少しお値段の設定が高めなものもあるけれど、商品発送時に
サービス品を同封してくれたりするので許せてしまいます(笑)。
オマケやサービス品には滅法弱い私です…(笑)。
ひとりでいいもの、食べようなんて
ズルイよ。
ぼくには、タコライスの匂いが
しっかりと届いているんだもの。
かみかみチキンじゃなくても
いいから何かちょうだいっ!
食べたいということは、ぼくが健康だってこと。
この二日少し体調をくずしたけど
もう元気になったって証拠だい!
ズルイよ。
ぼくには、タコライスの匂いが
しっかりと届いているんだもの。
かみかみチキンじゃなくても
いいから何かちょうだいっ!
食べたいということは、ぼくが健康だってこと。
この二日少し体調をくずしたけど
もう元気になったって証拠だい!
こちら、自由が丘ペット探偵局 作者 古海めぐみ
6
「はい。こちら、自由が丘ペット探偵局!」
と健太はケイタイを開いてショウバイ声色で答えた。
「あの、子犬を探して欲しいんです。」
電話の主は、若い男みたいだがほとんど涙声で糸電話みたいに
細くて遠い曇った響きを伴って健太の耳に届いてきた。
「逃げたんですか。」
「多摩川の河原でついリードを落した隙に。
ぼくが・・・悪いんです・・・」
「はい。はい。落ち着いて。泣かないで。今どこですか。」
「多摩川水門の近くです。」
「判りました。あのー、お名前は?」
「田村といいます。」
「田村さん。お話を伺います。捜索資料を作りますので
自由が丘駅についたら又連絡ください。」
「二十分ぐらいで行きます。」
随分長い間多摩川の河原を探し回ったのか、田村という
若い男のその「行きます」という言葉の語尾が喘ぐ息に
呑まれて聞き取れなかった。
*
陽はすっかり傾いて、多摩川の水面が草地に這う大蛇の
ようにSの字を描いてキラキラとやさしく輝いていた。
丸子橋から上流に水門を越えるには、多摩川台公園の下を
走る歩道が片側しかない崖っぷちのバス通りに一旦出ない
と野球グランドの広がる多摩川緑地の河川敷には、行けな
いのだけどこの日は、水門の水量が渇水気味で水門の管理
事務棟の脇から川際へ下りるとバス通り下の崖の水際が
その川底の岩肌を露呈して、緑地のある上流へ川沿いに
歩いて行けた。
その赤土のゴツゴツした崖下のわずかな河川敷をぴょん
ぴょんと跳ねて行くものがいた。
それは、シバ犬ぐらいの大きさの野犬だった。
まだ幼い毛に覆われ子犬に見えるがその肢の筋肉は、隆々
としていてまるでカモシカのようで、又身のこなしは
イタチのように敏捷だった。
ところがその野犬の後を転びそうになりながら追いかけ
ている人間がいた。
泥だらけのテニスウェアを着た上田祐二だった。
ピピピピピピ・・・
祐二は、口笛を吹きながら、必死で犬を呼びとめようと
注意を喚起して岩肌を四つん這いで前進していた。
こっち、こっち、ほらほら、ピピピピピ・・
野犬は、ピタっと突き出した岩の上で止まってビニール袋
を咥えたまま祐二の方を見た。
そう。そうだよ。いい子だね。じっとして!
その袋返してね・・・ハンバーガーはあげるから・・・
野犬は、きれいな鼻筋を祐二の斜め45度に向けて祐二の
視線を外して川に吹く風に身をまかしていた。
祐二は、ゆっくりと傾斜のある崖の水際を大股に近づいて
行った。
お利巧だから、その袋の中に僕の財布があるんだよ・・・
それだけ返してくれれば・・・
もうほとんど野犬の目の前まで来た。
野犬のいる岩は、川に張り出しているがその先が一度細く
括れて崖際に五メートルは這いつくばって行かないと
先へ進めない。
祐二は、やった!追い詰めた、と心の中で呟いた。
財布だけ返してね。アメックスのゴールドカードが入って
るんだよ・・・きみには、必要ないでしょ・・・
ときれいなオスワリの姿勢でじっとしている野犬の鼻先に
右手を伸ばした。
野犬の袋を咥えた鼻がかすかに膨らんでうっううと唸った。
祐二がその財布の入ったコンビニ袋を掴んだと思った瞬間、
ものすごい跳躍力で野犬は、飛んだ。そして一度崖の斜面
を蹴って、五メートル先の岩場に着地した。
祐二は、するりと袋を取り損なった。
風が空を駆けていったのを目にした。次の瞬間音が無くな
っていた。それから自分は魚になったと勘違いした。
ドボン!
祐二は、川に落ちていた。
野犬は、ビニール袋を脚もとに置くと水に消えた祐二を見た。
その口の開いた姿がいかにも笑っているように見えた。
くそ!バカ犬!
祐二が水面に浮き上がって、岩場に泳ぎついて掴まったとき、
もうどこにも野犬の姿がなかった。
野犬のいた岩場の先に広がる青々とした河川敷の草むらが
そよそよと風になびいていた。
6
「はい。こちら、自由が丘ペット探偵局!」
と健太はケイタイを開いてショウバイ声色で答えた。
「あの、子犬を探して欲しいんです。」
電話の主は、若い男みたいだがほとんど涙声で糸電話みたいに
細くて遠い曇った響きを伴って健太の耳に届いてきた。
「逃げたんですか。」
「多摩川の河原でついリードを落した隙に。
ぼくが・・・悪いんです・・・」
「はい。はい。落ち着いて。泣かないで。今どこですか。」
「多摩川水門の近くです。」
「判りました。あのー、お名前は?」
「田村といいます。」
「田村さん。お話を伺います。捜索資料を作りますので
自由が丘駅についたら又連絡ください。」
「二十分ぐらいで行きます。」
随分長い間多摩川の河原を探し回ったのか、田村という
若い男のその「行きます」という言葉の語尾が喘ぐ息に
呑まれて聞き取れなかった。
*
陽はすっかり傾いて、多摩川の水面が草地に這う大蛇の
ようにSの字を描いてキラキラとやさしく輝いていた。
丸子橋から上流に水門を越えるには、多摩川台公園の下を
走る歩道が片側しかない崖っぷちのバス通りに一旦出ない
と野球グランドの広がる多摩川緑地の河川敷には、行けな
いのだけどこの日は、水門の水量が渇水気味で水門の管理
事務棟の脇から川際へ下りるとバス通り下の崖の水際が
その川底の岩肌を露呈して、緑地のある上流へ川沿いに
歩いて行けた。
その赤土のゴツゴツした崖下のわずかな河川敷をぴょん
ぴょんと跳ねて行くものがいた。
それは、シバ犬ぐらいの大きさの野犬だった。
まだ幼い毛に覆われ子犬に見えるがその肢の筋肉は、隆々
としていてまるでカモシカのようで、又身のこなしは
イタチのように敏捷だった。
ところがその野犬の後を転びそうになりながら追いかけ
ている人間がいた。
泥だらけのテニスウェアを着た上田祐二だった。
ピピピピピピ・・・
祐二は、口笛を吹きながら、必死で犬を呼びとめようと
注意を喚起して岩肌を四つん這いで前進していた。
こっち、こっち、ほらほら、ピピピピピ・・
野犬は、ピタっと突き出した岩の上で止まってビニール袋
を咥えたまま祐二の方を見た。
そう。そうだよ。いい子だね。じっとして!
その袋返してね・・・ハンバーガーはあげるから・・・
野犬は、きれいな鼻筋を祐二の斜め45度に向けて祐二の
視線を外して川に吹く風に身をまかしていた。
祐二は、ゆっくりと傾斜のある崖の水際を大股に近づいて
行った。
お利巧だから、その袋の中に僕の財布があるんだよ・・・
それだけ返してくれれば・・・
もうほとんど野犬の目の前まで来た。
野犬のいる岩は、川に張り出しているがその先が一度細く
括れて崖際に五メートルは這いつくばって行かないと
先へ進めない。
祐二は、やった!追い詰めた、と心の中で呟いた。
財布だけ返してね。アメックスのゴールドカードが入って
るんだよ・・・きみには、必要ないでしょ・・・
ときれいなオスワリの姿勢でじっとしている野犬の鼻先に
右手を伸ばした。
野犬の袋を咥えた鼻がかすかに膨らんでうっううと唸った。
祐二がその財布の入ったコンビニ袋を掴んだと思った瞬間、
ものすごい跳躍力で野犬は、飛んだ。そして一度崖の斜面
を蹴って、五メートル先の岩場に着地した。
祐二は、するりと袋を取り損なった。
風が空を駆けていったのを目にした。次の瞬間音が無くな
っていた。それから自分は魚になったと勘違いした。
ドボン!
祐二は、川に落ちていた。
野犬は、ビニール袋を脚もとに置くと水に消えた祐二を見た。
その口の開いた姿がいかにも笑っているように見えた。
くそ!バカ犬!
祐二が水面に浮き上がって、岩場に泳ぎついて掴まったとき、
もうどこにも野犬の姿がなかった。
野犬のいた岩場の先に広がる青々とした河川敷の草むらが
そよそよと風になびいていた。