カジュアル・アミーガ         本ブログの動画、写真及び文章の無断転載と使用を禁じます。

ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

気まぐれ湯たんぽ

2008年01月31日 | めんちゃん日記
偽装食品! 耐震偽装!ギソウって何?
寝る前のラジオで大きな声で言っていたよ。
中国産の冷凍食品・・・
ミートホープの田中社長は、数百万か数千万の賠償で
裁判決着して、実は莫大な金を隠し持っていて
一族悠々安泰で告発した社員やパートの人は、
寒い冬を送っているらしい・・・・・
ぼくは、そんなギソウなんてよくわからないけれど
カメラおじさんがここんとこ気に入っている
湯たんぽってぼくにとってギソウかもしれない。
それまでは、ぼくが夜中布団に入ると喜んで
おまえは、暖かいなあー
ってほかほか君だと言われていたのに
すっかり湯たんぽがほかほか君にギソウして
ちゃっかり布団に入っているよ。

ぼくが首から入っていって足のところまでくると
湯たんぽが熱くてゆっくり寝てられないんだ。
しかたないからカッパ姉ちゃんの布団に
そそくさと逃げていくと
おじさん、ぼくのことをさみしそうに見つめて
めんちゃんは、気まぐれ湯たんぽだなあと
呟いたよ。
気まぐれって言われても・・・・ショウガナイじゃないかぁ。
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マスオさん、がんばる。

2008年01月30日 | めんちゃん日記
サザエさんの町、桜新町では、
毎日八百屋でマスオさんが働いているよ。
散歩でときどき通るけど
この冬の寒さでも
半袖でがんばってる。
何か買ってやりたくなる。
野菜大好きのカメラおじさん、さっそく人参、玉ねぎと
店のおじさんにお金出して買っているよ。
ぼくは、じっと待っている間マスオさんを見上げていたら、
へえ、いらっしゃい! ダイコンに春菊、どう?
ほかほか鍋にしたら・・お坊ちゃん。
マスオさんがぼくに声かけてきたよ。
ぼく、鍋は食べられないよ。
残った鶏ガラだったら、いくらでも食べます。
じゃ、肉屋さんに行ってよ、タラちゃんがいるよ。
はあぁぁぁ・・。
マスオさん、テンション高いっ!
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ぬくもりの中へ

2008年01月29日 | めんちゃん日記
ときどき横で聞いていて
なんで? そんな夢見るの? って
思うくらいカッパ姉ちゃん、変な夢見るよ。
怪しい店の面接だったり、戦争中だったり、
吉兆とかいう料亭でジャニーズの二宮くんとなぜか働いていたり、
笑っちゃうぐらい設定も時代もめちゃくちゃなのに
出てくる人だけ現実のリアルな人が出てくるんだ。
今日会った人がその日の夜に夢に出てきてしまうんだって。
旦那のカメラおじさんは、それは夢見病の夢見さんだというよ。
ぼくは、そんな夢見さんじゃないけれど
ぽっかりとお空に
かみかみチキンなんか浮いてる夢を見ることがあるよ。
そんなとき、シアワセな気持ちになるんだ、ぼく。

ときどき、あんまりキレイな空なんかを見たとき
おぼろげな顔のお母ちゃんの夢を見るよ。
ペロペロぼくの鼻をなめてくれて
やさしい気持ちになるよ。
ぼく、いい子にしてる?
って聞かれた気がして、
なんだかぼんやりして起きるんだけど
あれは、夢だったのか?・・・
胸がキュウィーンとするんだ、そんなとき。


蔵出し写真1

3歳になったばかりのあずきちゃんへ
 お祝いに戯れていた写真をプレゼント。
 まだ1歳のころ。めんちゃんの初恋のワンちゃんでした。
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汚れた英雄

2008年01月28日 | めんちゃん日記
今日も寒かったよ。
公園で何人にもめんちゃんは服着ないの?
って聞かれたよ。
ぼくは、胸を張ってホクホク歩いてみせて、やせ我慢。
ガマンといえば
駒沢公園に雪だるまさんががんばっていたよ。
なんだかみんなに触られて泥だらけになっていたけど
一人ですっくと日が暮れても立っていたよ。
雪だるまさん、いつまでがんばれるか?
まだ春は遠いから、また明日会えるかなぁ・・

あの雪の降った日は、ここも一面の白い世界で
はしゃぎ回る子供たちの英雄だったんだものね。

 
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パッーといきましょう!

2008年01月27日 | 写真コラム
堅い文化庁が桃屋のCMをネットで流している。
べつにスポンサーになった訳でなく
昭和の食卓というテーマで1958年からの
桃屋の三木のり平まんがのCMを
系統だって載せている。
文化庁・昭和の食卓はこちら。
最近では、のり平さんが亡くなっても
ゲゲゲの鬼太郎バージョンをのり平さんの息子の声で
やっていたけど、そっくり。
時代に流行ったものや、その時代の人が共通にもっていた
ストーリーを盛り込んでいて面白い。
しかしもう三木のり平を知らない人が多いかも。
出てくるだけでおかしい喜劇役者って少ない。
のり平さんがパッーといきましょうってセリフ言うだけで
なんだかウキウキしちゃうって、
やっぱり天才です。


めん平さん。性格もときどき似ていると言われる。
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うめちゃん、退院!

2008年01月26日 | めんちゃん日記
白チワワのうめちゃんが退院したよ。
ちょうどぼくはいなくて
ねこ先生が見送ってくれたんだ。
少し淋しかったけれど
関節がよくなってよかったよ。

どうもカッパ姉ちゃんの話だと
うめちゃんを引き取りに来た飼い主って若い夫婦で
赤ちゃんをつれていたんだって。
診察日に遅れてきたことがあって理由を聞くと
成人式に出ていましたっていうから20才の子持ちの夫婦。
とてもさわやかだったんだって。
ただ若いからキャッシュで入院代がウン十万なんで
払えないだろうからってねこ先生、割引した上に
ローンでいいよ。って提案したんだって。
そしたら若い夫さんが利子はいいんですか
って心配そうに聞いて
利子は、赤ちゃんとうめちゃんに愛情であげてください。
って言ったとか・・・・
ちょうどこの日公園では梅が咲きはじめたよ。
うめちゃんは、若いさわやかな飼い主でよかったね。

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愛するココロ-45-

2008年01月25日 | 投稿連載
愛するココロ 作者 大隅 充
             45
劇場正面の広くて真っ白なスクリーンのちょうど真ん中に真四角の
画面がやや小さめに投影されている。
 画面は、埃りヒゲやキズがちらちらと泳ぎ回っているが、黒バック
からフェードインしてススキの原と紅葉した里山が映し出されると
そんなキズや埃りは、気にならなくなって、寒々しい客席で誰もが
そのコマ落ちした戦前の風景と登場人物と字幕とに息をのんで
集中した。そして映写機の回る音も何時しか聞こえなくっていた。

字幕1
ときは、戦国時代。
とある山中に一人の名高い鍛冶屋がいた。
  カンカンカンカン
  真っ赤に焼けた刀を打つ音が響く。
  老齢な鍛冶屋、全身に汗を漲らせて刀を打つ。その真剣な顔。
  ほぼ流麗な太刀の形になっている。
  水桶に浸して、じゅっと冷却音。
  藁の戸を開けて鍛冶屋、月明かりにかざす。
  その見事な太刀の輝きー。

字幕2
出来た!
紫鎖鬼丸!ムラサキマル!
  満月が煌々と夜空に。
  刀、ひたすら研ぎ石で研がれる。

字幕3
関が原の戦い。
  石田三成の軍勢に紫鎖鬼丸をもった細川の武将が馬に跨り
  敵をバッタバッタと切り倒していく。 
  みるみる不利だった形勢が一気に逆転。

字幕4
その太刀・紫鎖鬼丸をもった者は、その者の数倍の力を
発揮できる。
  髭の武将、うれしそうに太刀を見つめる。
  戦から新たな戦へ。人から新たな人へ。
  紫鎖鬼丸は、手に渡っていく。
  若侍、大井の堰で20人切りをやってのける。
  
字幕5
ただしその太刀をもった者は、人を切らずにはいられなくなる。
京の町。
  河原で幼い元服前の若者が紫鎖鬼丸を腰に月夜に照ら
  されて歩いている。
  夏の河原。夕涼みしている老人が二人、
  縁台で将棋している。
  若者、通りかかりに太刀を一瞬で抜いていた。
  川の中に倒れている老人二人。

字幕6
時代は、移って江戸の吉原遊郭。
参勤交代でお勤めの最後の夜。
  大名たちのにぎやかな宴。
  華やかな遊女が大座敷で踊っている。
  大名一向十名が酒を呑みながら、大騒ぎをしている。
  床の間に紫鎖鬼丸が錦の鞘入れに包まれて飾られいる。
  酔った家老の一人が、幼いかむろ1に手を出して
  追い掛け回す。
  かむろ1、逃げて床の間の太刀にぶつかる。
  鞘入れが解けて、紫鎖鬼丸が転がる。
  かむろ1、咄嗟にその太刀を抜く。
字幕7
 太平の江戸の町を震えさせた吉原かむろ騒動。
  座敷が血の海になっている。
  侍十人が見事に切り倒されている。
    ×     ×     ×
  奥州道中、かむろ1血だらけで歩いてくる。
  手にもった紫鎖鬼丸を川に投げ捨てる。 
  そして自分も川に身を投げる。

字幕8
数年後。
船頭が太刀を拾った。
  船を漕いでいて、櫓に何かが当たる。
  拾い上げてみると錆びた太刀である。 

字幕9
 またまた時代は、変わって幕末。
 会津は若松城を見下ろす飯盛山。
 戊辰戦争ーそして白虎隊。
  12才前後の少年兵が無残に集団自決して何十人と
  血だらけで倒れている。
  8才の少年松島五郎が錆びた太刀をもって駆けつける。

字幕10
 お兄様ー。
 ぼくも死にます。
  腹を刺して自刀した兄三郎。
  一言呟いて息絶える。
字幕11
五郎、生きろ!
  涙がとまらない五郎少年。

字幕12
清水港。
成人して五郎は、写真師となった。
  闇箱カメラを構える青年五郎。
  清水の次郎長が指揮をとって護岸工事をしている。
字幕13
お前さん。写真を撮ってクンねえか。
わしのところにワラジを脱いで行きなせい。  
  頭を下げる松島五郎。
  背中に旅行李に布に包まれた太刀。
字幕14
それでは、しばらくご厄介になります。
   青春の笑顔ー。
   榎本建一ことエノケンその人である。
「エノケン!」
 映写室で思わずゲンちゃんが叫んだ。
どこか面影がある二十代のエノケン。顔も体も細い。
キラキラと輝く眼で大げさな演技をしている。でもまだ見ぬ未来
のウキウキするような夢を胸に抱いて若々しく何の迷いもないその姿。
それは、今そこに生きているかのようだ。
ゲンちゃんは、首に巻いたタオルで額の汗を拭いて、映写機の歯車
カムをフィルムがしっかりとかき出されて正しく回っているのを眼
で確認しながら、又タオルで顔を拭いた。
どうやらそれは、汗ではなく溢れる涙をぬぐっているのだった。

字幕15
 五郎は、次郎長の富士の裾野の開拓を手伝った。
 彼が後に次郎長伝を書く男である。
  富士の裾野で開墾している五郎と次郎長一家の子分たち。
  休憩しておにぎりを頬張る五郎。

劇場の一番後ろの通路でエノケン一号は、じっと音のないその
スクリーンに映る光と影の躍動を見つめている。
そしてふたつのロボットの目玉がピンクから薄いブルーに
ゆっくり変化した。
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チャヤテテ~シーちゃんのおやつ手帖32

2008年01月25日 | 味わい探訪
おやつに付きものが、お茶です。今回は、紅茶を紹介します。
桜新町に紅茶専門のチャヤテテがあります。
マスカット・ティーの香りと味を楽しみながら、清潔な店内で
いろいろな種類の紅茶を見て回るのもいいです。

紅茶の店チャヤテテのホームページは、こちら。
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雪やこんこん

2008年01月24日 | めんちゃん日記
雪が降ったよ。
肉球が冷たいでーす。
柴犬くんは、元気に走り回っているけど
(たぶんあずき姫は絶好調なんだろうなあ)
南国生まれの身としては
寒いの苦手なんだ。
こういうときの散歩は、ついつい早くなってしまう。
おしっこもウンチも速攻。

それでも街の景色が白く変わるのって
いいなア。
なんだか気持ちがきれいになっていくカンジするよ。
こんなカンジはいつまでもとけないで
って思うけれど、ぼく、もう夕飯のスナギモのことばかり
考えているよ。
きれいな気持ちってすぐとけるんだね。
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オットセイちゃん、保護される

2008年01月23日 | めんちゃん日記
                     asahi.com.photoより
ぽっぽ通信便り。        
雪が降る、雪が降るって窓を見つめていたよ。
やっと朝になってチラチラ。
そしたらぽっぽ通信のハト爺さんがやって来て

新潟の村上市って雪の多いとこの海岸に
19日からキタオットセイちゃんが打ち上げられて
みんなの人気ものになっているんじゃ
って教えてくれたよ。
ただあんまりカラダが弱ってきたので22日に
マリンピアって水族館が保護してしもうたよ。
だって。
新潟海岸で遊ぶオットセイの動画
どうやらメスでまだ子供らしいから
親からはぐれたんじゃろ。日本海側で見つかるのは
珍しいから、これも異常気象と関係あるのかな?
というと雪の中飛んで行ったよ。
ふーん。そうなんだ。でもよかったね。
これでいっぱいお魚食べられるね。
でもお母ちゃんに会いたいよなぁ・・


あんた、何セイ?これでもオットセイのつもり。
ふん! こんな格好、おっと、誰のせい?
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大怪獣ダッテ! 現る!

2008年01月22日 | めんちゃん日記
ねこ先生の病院の待合室に
きれいな陳列棚があるよ。
先生の趣味なのかなぜか
怪獣が置いてあるんだ。
今日、いつもの病院の見張り番の
仕事をしていたら、
なんだか雰囲気が違うんだ。
しゅしゅーひゅるるるる・・・むぅしゅしゅー
気がつかなかったぼくがバカだった。
ずっとその待合室の棚に病院飼い猫のダッテがいたんだ。
ぼくは、驚いて飛んで逃げてしまったよ。
だって怪獣よりでかいネコ怪獣がいるんだもの。
びっくりした・・・
ダッテは、いつも人(犬も)驚かす、
鼻息の荒い番ネコだ。
本人は、いたって気がやさしいんだけれどね。

ただ顔は、こわい。
そういえば、ねこ先生の奥さんがいつも病院で飼うネコは
誰にも貰い手のないフビンな方がいいのよ。って言っているけど
年末亡くなったミヤケ君もそうだったね。
うーん、ダッテは、何がフビンなんだろう。
あの、こわい顔?
シーッ!
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めんちゃん、お腹すいて鎌倉でク~ラクラ~~

2008年01月21日 | めんちゃん日記
バスに乗って
電車に乗って
カメラおじさんと鎌倉へ
もう電車はだいぶ馴れたよ。
山登りもホクホクとうれしい。

ただドジなおじさん、電車の中で
ぼくの餌袋を落としてしまったよ。
ぼくは、朝めしも昼めしも食べてない。
こんな山登りしてから気づくんだもの。

明月院ってとこに出てきた時は、ふらふら。
どうしてくれるの?
あの餌ポーチには、お弁当の大好きな骨付きカルビが
入っていたんだ。うぅぅぅぅ・・


3時になってやっと北鎌倉のドッグ・カフェPoochって
とこに入って、親切な店員さんからクッキー貰ったよ。
まったくどうなるか、と思ったよ。
少しやっと生き返って、何でもいいからちょうだいって
おじさんを責めたら
帰りの電車の中でぼくにいっぱいパンを買ってくれたよ。

それにしても
今ごろ、電車でなくしたぼくのお弁当、どこを走ってるんだろう?
たぶんもうすぐ京都につくころかなぁー・・・トホホホ

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森の椅子

2008年01月20日 | 写真コラム
寒い朝。
森は、静か。
落ち葉をふむ音が
びっくりする、
くらい響く。
森は、静か。
歩いても
歩いても
行く先は、誰も知らない。
ただ今日が新しい年の何日目か
だけしかわからない。
疲れたら
椅子に腰掛け
又歩きだそう。
森は、静か。

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どうしても登ってしまう、ぼく。

2008年01月19日 | めんちゃん日記


散歩でここに来ると
どうしてもやめられない。
確かに怖いんだけれど
ついつい登ってしまうぼく。
またね、この崖の塀が登りは低く
だんだん高くなっていって
またしても怖い。
でも低いところ探してぴょーん。
いやだけどここに来ると
どうしてもやってしまう。
ぼくは、そんなワンちゃんです。
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愛するココロ-44-

2008年01月18日 | 投稿連載
    愛するココロ 作者 大隅 充   
        44   
リフォームして間もないのかアイボリーの壁紙もグレーの
リノリュウムの床張りも真新しく清潔な感じのするロビーから
小さな二階席のある劇場内へ防音扉を開けて入ると、椅子まで
は新調できなかったと見えて古い椅子の上にフェルトの白い
新しいシート・カバーをかけて並べてあった。
「どうぞ。こちらへー」
若い小柄な青年が丁寧に腰をかがめて、バリトンのホール全体
に通るキレイな声でカトキチたちを出迎えた。
「支配人の向坊と言います。中央のブルーのシート・カバーの
ついた優待席へお座りください。」
「すいません。営業時間前に無理言って・・」
カトキチの、初めて見せる丁寧な口調に由香は行きかけて
思わず振り返った。
「トンでもありません。広島の岡田さんのご紹介ですもの。」
「ココハ、昔小倉昭和館トイッタ。ムカイボウサンノ、
オトウサン、ゲンチャンノトモダチ。」
一番後ろをついて来ていたエノケン一号がひんやりしたホール
の空気の中でぽつりと発声した。
「ハイ。ここを名画座としてリフォームするのにも岡田源蔵
さんにいろいろ助けていただきました。」
トオルと由香が天奥の映写室を見上げた。
最上階の映写窓からゲンちゃんが手を振った。
「父が亡くなって東京の会社勤めを辞めて引き継いでから
まだ二年も経ちません。新米です。どうぞ。今後ともよろ
しくお立ち寄りください。」
「ハイ。ハイ。どうもこちらこそ。」
カトキチが言うと由香たちもまじめに頷いた。
エノケン一号は、通路をスルスルと一番後ろへ上って行った。
それをみんな黙って見送ってからキョロキョロを館内を見回
しながら、由香、トオル、カトキチと順番に椅子に座った。
「そろそろ始める?」
天の映写窓から渋いゲンちゃんの声が場内アナウンスに乗って
聞こえてきた。
「ちょっと待ってください。」
由香が天に叫んでカトキチの方を見た。
「もうひとり伏見さんが来るって言っていたけんがやっぱ無理かな」
「ああ。フィルムの持ち主のおばあちゃん。」
カトキチが心配そうに立ち上がって呟いたのを見上げてのん気
にトオルが言った。
もう少しだけ待ってくださいと映写室のゲンちゃんに由香が
もう一度言うと入口の方へ支配人と進んで行って防音扉を開けた。
一条の外光がトオルたちの足元まで届いた。
ちょうどそのとき、表で車の停まる音がして
「いらっしゃいました。」
向坊支配人が振り返って言った。
次の瞬間ロビー・エントランスのガラス戸が開く音がうす暗い
館内の高い天井まで響いた。
今度は、開け放たれた防音扉から春風がつむじとなって吹き
込んできた。
そして次に入ってきたのが、セーター姿の久美に支えられて
ゆっくりとした足取りで場内へ歩いてくる伏見お婆ちゃんだった。
まるでモガのようなニット帽にテン毛皮の襟付きの黒のロング
コートを纏い、髪の毛は、頬のところできれいにオカッパ・
カットされて、赤い唇を突き出してホールを見回す姿がとても
四日前まで入院患者だったとは、誰も想像できない。
伏見京子はいま八十近い孤独な老婆ではなく、初舞台を踏む
青い夢を膨らませた踊り子のようだった。
「遅れてすみません。」
久美がカトキチと由香に声をかけた。
「お姉ちゃん。病院は?」
「ちょうど夜勤明けだし、伏見さんのいる若松、小倉に出る
通り道なんよ。」
支配人が久美から伏見老女を受け取り、優待席へ案内する。
「お姉ちゃんも見るの?」
「そりゃそうでしょ。エノケン見てから寝るよお。なんたって
エノケンの最後の恋人なんだもん。ワタシ。お尻触られたー。」
「何?それ。変なの。」
と姉妹で厚い防音扉をしっかりと閉めた。
「はい、はい。どうぞこちらの真ん中の席へ座ってください。」
カトキチが自分の席を老女に譲って、ひとつづつカトキチ、
トオルと横にずれて座り直した。
「ありがとう。」
老女はコートを久美に預けて、静かに座った。
由香は、トオルの隣に、久美は、老女の隣にそれぞれ席についた。
「映画館なんて、何十年ぶりかしら・・」
「そうですか・・・」
「なんだか懐かしい匂いがするわ。」
「はい・・・・」
カトキチは、丁寧に頷くと、支配人と天奥のゲンちゃんに片手
で輪っかをつくってOKのサインを出した。
「どうぞごゆっくり!」
と支配人は後ろの離れた席に座った。
「オーケー!では、『生ける刃』第一巻の始まり始まり!」
まるで地を這うような枯れているが遠くまで透る声でゲンちゃん
が映写窓から覗いてアナウンスした。
場内がすうっと暗くなり、ベルが鳴った。
六人と一台だけの閑散とした客席が時間という水の底に溶け
込んだように静まり返った。
カラカラと映写機の廻る音が聞こえてくる。
そしてスクリーンにスタンダードサイズの映像が映し出された。
「エノケン主演第一作。『生ける刃』黎明編青雲怒涛の巻。」
の字幕。
老女は、両手を膝の上でしっかりと握った。
カラカラカラカラカラ・・・・・
映写機の回転の音だけが眠気を誘うようにしている。
カラカラカラカラカラ・・・・・・・
由香は、トオルの手を握った。
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