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Darth Sidious

2023-12-12 12:44:22 | 🇺🇸TV

◆エピソードⅡとⅢの間(クローン戦争)

最高議長としての務めを果たす都合もあってか、あまり大々的には動かず基本的にはドゥークーやガンレイに裏から指示を出すことがメイン。
時には表の顔である最高議長として拉致されかけた上で、救出に来たアナキンが暗黒面の力の片鱗を覗かせるのを見てほくそ笑む、ドゥークーにパワハラしながら若干の焦燥を見せつつも的確に計画の修正・ジェダイ側の打つ手を潰すなど暗躍に徹している。

一方で、復活し以前以上の戦闘力と権力を付け始めたモール&サヴァージ兄弟率いるシャドウ・コレクティブやその裏にいるタルジンなど、
計画の障害になり、なおかつドゥークーだけでは簡単には対処できないであろう相手に対しては自ら出向いて始末をつけている。(そしてそのたびに圧倒的な戦闘力で視聴者を興奮させる)

かつての同盟相手にしてヨーダに次ぐ銀河支配の壁と見做していたタルジンの排除はシディアス自身にとっても正念場であったようで、モールをわざわざ生け捕りにしてタルジンをおびき寄せた上で、タルジンとモールの親子を一人で相手取ることはせずにグリーヴァス将軍を同伴させた。
最終的には人質にされていたドゥークーを奪還しつつグリーヴァス将軍も交えた3人がかりでタルジンを仕留めることに成功し、モールを取り逃がしこそしたものの目下の脅威であったシャドウ・コレクティブを壊滅させている。

またそれ以前には、上述の通りドゥークーの愛弟子であり、目覚ましい成長ぶりとまだ残る伸びしろに加えて師父への忠誠心を抱き、ナイトシスターに協力を仰げる出自でもあるアサージ・ヴェントレスの存在を危惧していた。
シディアスにとってもヴェントレスは便利な人材ではあったものの、ドゥークーが弟子への情が深いこともあり、より強固に結束し力を蓄え続けた2人ばかりかナイトシスターまで従えて反旗を翻す事態になる可能性は無視出来なかった。
そのため、摘める芽は早々に摘もうと、ドゥークー自身にアサージを抹殺させて未練を断ち切らせるという非道な命令も発していた。
しかしドゥークーにとってこれはあまりにも辛い命令であり、以後彼はシディアスへの謀反を口にするほどになった*10

戦争末期には、偶然ヨーダがシスの宮殿を行く機会を逃さず、元弟子であるということでヨーダとの繋がりのあるドゥークーと共にシスの儀式を行うことで幻影による攻撃をヨーダに仕掛けたが、幻影の中での激しい戦いの末ヨーダに攻撃を跳ね除けられる。
これによって銀河系支配における最大の壁であるヨーダの強さを再確認し、ジェダイを滅ぼすにはまだ時間がかかると判断している。


エピソードⅢ シスの復讐

戦争が続く中で、パルパティーンは戦争の早期終結を名目に、任期満了後も最高議長の座に居座り続け、再三に渡る法改正によってさらに多くの権力を手中に収めた。緊急事態が収束すれば手放すと言う口約束と共に。

かつては共和国最後の良心派として、ジェダイ・オーダーや良心的元老院議員を含めて誰もが信頼していたが、
「パルパティーンの独裁化への一歩を推し進める権限を、彼自身が望まないにも関わらず、“周囲”が無理矢理押し付け、やむなく引き受ける」
という事例があまりにも多く積み重なり続けた結果、徐々に不信を買うようになっていった。

元老院が議長への権力集中を危惧する中、ドゥークー伯爵と独立星系連合のグリーヴァス将軍によって共和国の首都コルサントが襲撃され、パルパティーンは誘拐されてしまう。
パルパティーンはグリーヴァス将軍の旗艦、インヴィジブルハンドに捕えられるが、
オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーの2人のジェダイが救助のために乗り込んでくる。

ドゥークーはオビ=ワンを倒したものの、暗黒面の力を解放したアナキンには敵わず、両手を切り落とされて敗北する。
かねてよりドゥークーよりも若く才能あふれるアナキンを弟子にしたいと考えていたパルパティーンは、アナキンを暗黒面に引き込むためにそのままドゥークーを殺害させる。
ドゥークーはと言えば、「アナキンを生け捕れるならそれでよし、負けてもアナキンが暗黒面の片鱗に触れて、その力に感銘を覚えれば、パルパティーンが止めに入って助ける」と信じ込まされていた。
が、完璧なシスの後継者としてアナキンを見守ってきたパルパティーンは、アナキンをシスにするための生贄としてドゥークーを利用したのだ。
そのことにドゥークーが気付いたのは、アナキンに首を切り落とされる瞬間である。

この時、自分がオビ=ワンを看病するからとアナキンひとりにグリーヴァスを逮捕に行かせ、その隙にオビ=ワンを始末するのがベストだとも考えていたが、
アナキンは自制心を発揮して功名心を抑え、オビ=ワンとパルパティーンを危険に晒すことを拒否したので、この試みは失敗した。

その後3人は脱出しようとするが捕えられ、グリーヴァス将軍と交戦。
結局グリーヴァスには逃げられてしまうのだが、グリーヴァスはパルパティーンがシディアスの正体であると知らなかったため、
「覚悟しろジジィ!」と手加減無しに襲われ、
乗っている戦艦のブリッジの窓を割られ空気と一緒に生身で宇宙空間に吸い出されそうになったうえ、直後に船体が真っ二つになって大気圏突入するというガチで死にかねない目に遭っている。
フォースで自分が死ぬことはないと予知していた可能性もあるが、それにしたって体張りすぎだろう……
もしかしたら「この程度で死ぬならどのみち大望は果たせん!」ぐらいの気持ちだったかもしれない。
一部資料では「本当に危なかった。シディアスはあの場面では本気でアナキンに助けを求めていた」というものもあったり。


その後もパルパティーンは暗躍を続ける。
妻が死ぬ悪夢に心を乱すアナキンに、「ジェダイの論ずる善性や暗黒面の悪性が本当か」ということへの疑問を投げかけて価値観を揺るがしつつ、
あえてジェダイ評議会に冷遇される・板挟みにされる任務を与えることで、ジェダイへの不信感を着実に植え付けていった。
また、ジェダイがあえて自分に敵対心を抱くように仕向けることで、「ジェダイが共和国に反乱を起こそうとした」というジェダイ粛清の口実を作り出した。

グリーヴァスがオビ=ワンに倒されると同時に、パルパティーンはアナキンに暗黒卿としての正体を明かす。
そして、アナキンからの知らせを受けたメイス・ウィンドゥらと交戦。後を追ってきたアナキンを巧みな命乞いで完全に暗黒面に引き込むことに成功しこれを撃退する。

小説版では、暗黒面のフォースによって、アナキンの精神状態は無論、自分を討伐に来るジェダイたちの詳細な居場所すら完璧に把握しており、
「か弱い議員である自分が悪のジェダイによって暗殺されかけた音声記録」
を残しつつ、追い詰められたフリをしてアナキンに同胞のジェダイを殺させる…その全てが彼の計画通りだったと明かされている。
そもそも、メイスたちの逮捕劇はジェダイの特権による強制逮捕であり、かなりアウト寄りのグレーゾーンな行為であった*11
なにしろ、シディアスが最高議長パルパティーンとして用いた権力掌握の手段は、根回しこそ周到ながらも全て合法なのである。
ダース・シディアスとしての暗躍は露呈しておらず、アナキンの証言以外に一切証拠はなかった。
さらにその証言でさえ、彼がシスの暗黒卿だと露見するのみで「シスの暗黒卿として行ってきた数々の悪事」に関する物的証拠は何一つ掴めていない。
そのため、「ジェダイとは異なる宗教を信仰しているが、それ自体は何の問題も無い。共和国憲法で信仰の自由が保障されているのだから。むしろ何の罪も無いパルパティーンを武力で排除しようするジェダイの越権行為の方が問題である」と元老院が認識するだけ。
はっきり言って詰んでいる。*12

しかし、剣術においてはヨーダさえ超えると言われていたメイスには、さしものパルパティーンも苦戦を強いられ、
途中で(まだ余力を残しているにも関わらず)わざと打ち負かされて無力な人物の演技をアナキンに信じ込ませたまではよかったものの、
自身のフォース・ライトニングを反射された結果ナイスミドルだった顔がヨボヨボになってしまった。(もっとも当人は「これもこれで似つかわしい」と割とノリノリであった上に、皇帝就任にあたり『ジェダイによって醜くされた』と同情を買うのに利用する始末である)
この時点でパルパティーンの地盤はかなり固まっており、アナキンの裏切りも限りなく想定通りのことではあったが、万が一失敗すれば自身が最も忌み嫌うジェダイに殺されるという最悪の結果になる状況に違いはない。
そんなこともあってか、実際にアナキンがメイスを裏切った際には見本のような邪悪な笑みを浮かべたと思った次の瞬間、
先程までの弱りきった態度を豹変させ

パワーーーーPOWERRRRRRRRR!!!! 無限の、パワーを、食らえーーーーUN-LI-MI-TI-VE…PO-WERRRRRRRRRRRRR!!!!」

と、6部作中最高のハイテンションで狂喜の笑みを浮かべながらメイスを葬った。
どう見ても無力とは程遠いその姿に視聴者にはシリアスな笑いをアナキンは後戻り出来なくなった事をようやく悟り、コルサントの上空に吹き飛んで行くメイスの身体を茫然と見ているしかできなくなったのは言うまでもない。

かくしてメイス・ウィンドゥを打ち破りアナキンを完全に屈服させたシディアスは、暗黒卿としてアナキンにダース・ヴェイダーの名を与え、まずは聖堂に残ったジェダイを、その候補である幼子たちを含め皆殺しにさせる。
続いて、裏の協力者だったヌート・ガンレイら独立星系連合の残存勢力の暗殺を命じ、『クローン戦争を勝利に導く』という結果を収めた。
それと同時に、自身は元老院議会の場でジェダイの裏切りをでっち上げると同時に銀河帝国の設立を宣言。
その場にいた殆どの議員から万雷の拍手を以てそれを歓迎される光景は、6部作中でも名シーンの一つとしてあまりにも名高い。
さらにクローンコマンダーたちに向けて、ジェダイ抹殺用のプログラム『オーダー66』を発動し、各地で戦っていたジェダイのほとんどが死滅する結果となった。

クローン戦争は、パルパティーンがアナキンを手に入れ、元老院議長としての権限を高めるための方策でもあったが、同時にジェダイ全滅のための周到な罠でもあったのだ。

  • 軍を持たない共和国は惑星間紛争が起こった場合にはジェダイに解決を依頼するしかなく、一度戦争になれば既成の戦力に頼らざるを得ない。
  • ジェダイの用いるフォースは正の感情に起因するので、戦場のように負の感情に満ち溢れた場ではジェダイ達の殺気等への感知能力などといったライトサイドのフォース自体の力も弱まる。
    対して暗黒面のフォースはより冴え渡り、シスなど使い手の能力向上に繋がる。
  • クローン兵は、あらゆる命令を遵守するよう遺伝子レベルで設計されているので、敵と認識したものを殺す時に正負一切の感情も持つことがなく、殺気や害意を殆ど発さない。そのクローン兵の指揮権を「オーダー66」で奪う。

こうした苦境にジェダイを叩き込むことで、指揮官として分散せざるを得ないジェダイ達は、
数々の激戦をともに潜り抜けて信頼を寄せるようになったクローンたちが繰り出す“生理現象のように他意の無い攻撃”に突如晒され、あっさり殺された*13
終始彼に翻弄されたジェダイたちの大半は、最後の最後までダース・シディアスの正体はおろか、その企みに思い至ることすらできなかった。
ジェダイ騎士団も銀河共和国も戦う前から負けていたのである。さらに言えば、こうした状況に容易に陥る旧共和国とジェダイの体制自体がすでに限界に達しており、来るべくして来た末路だった。
実はクワイ=ガン・ジンやサイフォ=ディアス、そしてジェダイマスター時代のドゥークーなど一部の人間は、シスが表舞台に台頭する前から、こうした硬直化した共和国やジェダイを批判し改革を主張していたが、大多数のジェダイはそれらを受け入れることができなかった。
数百年続いてきた平和・体制を否定することはジェダイを含む大多数の共和国民には容易ではなかったのである。


歯向かう敵も殆どが消え失せて銀河帝国初代皇帝の座に就いたシディアスは、最後にして最大の壁、ジェダイのグランドマスター・ヨーダと対決。
ライトセーバーで激しく打ち合い、もはや用済みとなった元老院議席をフォースで縦横無尽に投げ合う凄まじい激闘を繰り広げる。
お互いに焦燥の表情を幾度も浮かべる死闘の果てに、シディアスはついに最強のジェダイ・マスターさえも打倒した。


なお映画版ではカットされてはいるが、EP3小説版の作戦会議にて仔細を語られており、
オビワンとヨーダの2人がかりでシディアスかヴェイダーのいずれかを倒す、という選択肢を敢えて採らなかったのは、
どちらが相手であれ、万全な状態の暗黒卿に真正面から挑めば、2対1でも返り討ちに遭う危険性が大だったからである。

シディアスとまともに交戦した場合、騎士団の中でも最高峰と讃えられた4人を単身で退けた相手に対しては、2人がかりでも勝機は無い。キット・フィストーとオビワンの間に大きな実力差は無いのだから結果は火を見るより明らかである。
ヴェイダーを相手にするにしても、ヨーダが視界に入って冷徹な怒りを更に膨らませれば、ヨーダでさえ梃子摺るドゥークーを赤子扱いする彼の力は更に増してしまい、二人まとめて残酷なまでに容易くに斬り捨てられるであろう。
そのためヨーダは
「まだ不安定なヴェイダーが唯一、冷徹に戦えない天敵・オビワンとの戦いを強いる」と同時に「大成する弟子を失う予期せぬ不安をシディアスに押し付ける」
という状況を生み出し、両方の動揺と焦燥を誘ってその力を削ぐことで勝機を作る、という作戦に出た次第である。


映画版では、上述の焦りの影響もあってか、見た目には双方の間で絶対的な力量差は見られない。
初手のヨーダからのフォースプッシュで愕然として逃げ腰になったり*14、投げつけた元老議員席を投げ返されて慌てて飛びのいたり、同時にヨーダも見失ったり、渾身のフォースライトニングをヨーダに押し返されかけて驚愕したりと、全体を通してほぼ互角と言える。
最終的に、フォースで押し合ったエネルギーが飽和して発生した衝撃波*15によって、体重の軽さ故かヨーダはより強く弾き飛ばされ、対してシディアスは比較的手摺に近い位置に居たお陰もあってか、無事 チノ=リ 地の利を味方につけて ブラ=サガリ ぶら下がりつつの辛勝という結果であった。
しかし、ブラ=サガリに失敗して 墜落して全身を打ち付けたヨーダにも最早勝機は無く、逃げるしか手はなかった。

小説版では、ヨーダはこの本当の暗黒面の使い手との戦いで、
「極力人間の感情に触れないように育てる従来の教育方針では、暗黒面のフォースの流れを理解できない。
暗い洞窟から外の世界を見ることは出来るのに対してその逆は一切出来ないように、自分のようなジェダイではこの敵には打ち勝てない」
とジェダイそのものの限界を悟ったという。
この中で重要な点として…
「真の暗黒面の使い手は、戦いの中で生じる憎悪を糧にして持久戦を展開しながら、より強くなり続けることが可能であること」
フォースを極めたヨーダであれば延々と粘り続けることは可能であれど、そこから先の打開策が見つからない。
待っているのは、ジリ貧の末に先に限界を迎える形での敗北である。

映画においては尺の都合でカットはしたが、ヨーダは上述と同様の悔恨の念をクワイガンに打ち明けるシーン自体は撮影されていた。
旧共和国時代のヨーダや彼の育成論の下で育ったジェダイでは、真の暗黒面の使い手達を打倒するのは不可能だとヨーダが痛感したことは、いずれにせよ変わらない模様。

とはいえ、その小説版EP3でも、ヨーダ撃退直後のシディアスは気力を使い果たして年齢相応の老人にまで弱り、内心でヨーダを「怪物め」と毒づきながら荒い息で手すりにしがみつくほど消耗しており、ヨーダの側の認識とは別に、シディアスにとっても紙一重の厳しい戦いではあった模様。


なにはともあれ、ヨーダの撃退には成功したのだが、フォースの乱れから弟子の生命の危機を感じたシディアスはナブーで過ごした少年時代以来の全力疾走*16で救出に向かう。
するとヴェイダーは辛うじて生存はしていたものの、四肢切断に全身火傷…
歴代最強のシスとなり得た弟子の、本来の素質を永遠に失う事態に落胆した。が「それはそれでよし」と欠陥構造やパーツを使って、わざと粗末な工程で改造を施す。
これは自分以上の力を持つ自分の後継者に相応しい完成されたシスになる道を断たれた弟子が、将来自分に逆らえないようにするための策でもあるが、
同時にデザインにも気を配り、帝国軍の象徴たる髑髏の死神のような意匠にした。
こうして、ヴェイダーを後継者としては認めなかったが、シスの力を誇示して皇帝の意に沿う処刑を断行する傀儡へと作り変えたのである。

負傷による能力の劣化とシディアスの陰謀に手遅れになってから気付いた深い絶望、なにより愛する者を喪い完全に悪に染まったことによって、アナキンは完全に彼に屈服。

◆エピソードⅢとⅣの間(帝国初期)
帝国の実際の支配体制が描かれる。
ヴェイダーをシスとして鍛えたり*17、ジェダイの残党狩りやオーダー66の最中に消息を絶ったモールの捜索のために尋問官を動員したりと、共和国時代の遺恨を消すための根回しに力を注いでいる。
なお『クローン・ウォーズ』でのシディアスのような「隔絶した力を持つ悪の化身」「真打登場」とでもいうべき役回りはヴェイダーがやるようになったこともあって、戦闘シーンが描かれることは大きく減った。

また、政治面や軍事面でもウィルハフ・ターキンという有力な右腕を見出しており、これまた『クローン・ウォーズ』でよく見られた「ホログラムで裏から指示を出す」ようなシーンもかなり減っている。
政策としてはエイリアン種排斥を推進しており、帝国軍人にもその傾向は当然ながら見られる。
しかしシディアス当人が人間種至上主義と言うよりは、帝国支配において人種分断政策が便利だから施行しているきらいがあり、エイリアン種だろうと際立って有能な人材であれば躊躇なく要職に取り立てる。
大尋問官や、レジェンズからカノンに逆輸入されたスローン提督はその典型例だった。

その更に数年後を描くアニメ『反乱者たち』でも時折命令を下す程度であまり大々的に出てくることは無いが、終盤のロザルの壁画を巡るエピソードには顔を出している。
この時期にはクローン戦争(エピソードⅢ)途中から彼を危険視していた議員たちが中心となって帝国への反乱軍が組織されるようになっており、それを鎮圧すべく軍事面での帝国の強化を推し進めている。

Ⅳ直前を描いた『ローグ・ワン』でも言及のみでの登場。
デス・スター開発主任のクレニック長官は兵器の出来栄えをもってアピールし、シディアスに気に入られようと画策していたが、かく言うシディアスはデス・スターの完成の遅れに苛立っていた上に、クレニック自身も惑星スカリフにて殉職しており、結局兵器の完成はターキン総督の手柄になった模様。

いずれのスピンオフでも、絶対的な強者として君臨するヴェイダーに各作品の人物達はほとんど抵抗すらできず蹂躙されており、それより更に上にいるシディアスに至っては詳細をつかめないまま顔すら見ることなく敗走する場合がほとんどであり、シディアスの出番の少なさは裏を返せばシディアスがわざわざ出向くことなど無くなるほどに帝国の支配があまりにも盤石であったことの証左と言えるだろう。

エピソードⅣ 新たなる希望

名前のみ登場。

共和国時代での信頼厚き議長の姿はどこへ行ってしまったのか、皇帝として君臨するようになってからは人間種を優遇することをはじめ様々な反発を招いている。
パルパティーンも帝国元老院の反発に対してデス・スター完成と同時に元老院永久解散という強硬手段に出ている。
反乱軍を侮らないカシオ・タッグ将軍はどう行政を維持するのか不安がったが、ターキンは「旧共和国の最後の遺物が一掃された」「統治は各領域の総督が担当宙域を直接行う。デス・スターの恐怖とともに」と歯牙にもかけなかっ

ちなみに、シディアスが内心抱いていたこの方針を、まったく独自に提案したのが、そのウィルハフ・ターキンなのである。
ターキンがグランドモフという重職にいたのは、彼がシディアスの統治を理解していたため、「政治家パルパティーン」としての右腕たりえたからとされる。

「新しい軍隊を不法侵害する邪魔者としてではなく、法の番人と考えていただきたい。平和で豊かな銀河を実現するという皇帝陛下のビジョンを支えるための軍隊なのだ」

他方、ヴェイダーを「シスの奥義を研究する手駒」と見ていた。
フォースの研究を行うには「研究する者」と「実践する者」を分けねばならない。フォースの秘術は失敗すると強力な「反作用」が炸裂する。
ヴェイダーは実践といざ反作用が起きた時の対処役、シディアスは理論研究役と観測役、とのこと。
弟子の扱いが相変わらずひどいが、実践は得難い修業だし成功すれば直接の体験にもなるし、シスの教育的にはいいのだろう。力の大半を失っても野心によって行動力は健在なヴェイダーを「手足」としては不足はないと見込んでもいるようである。

デス・スター破壊後は、デス・スターの脆弱性や反乱軍の脅威度を正しく評価していたタッグ将軍を昇進させ、破壊された責任としてダース・ヴェイダーをタッグ将軍の部下にしている。

また銀河帝国設立による独占支配を確立した後も、極一部を除いて引き続き自分がシスであることは隠していたと考えられる。
デス・スター設計図盗難会議の最中、モッティ提督がヴェイダーのことを「フォースとか言う曲芸で皇帝に取り入った怪しい宗教家」とみなして絞め殺されかけてたり、エピソードⅤにて反乱軍に入ってそれなりに長いルークがヨーダから聞くまで「皇帝はヴェイダーよりさらに強い」と知らなかったことから伺える。

エピソードⅤ 帝国の逆襲

実質的な帝国No.2として「死の小艦隊」を率いて反乱軍を追うダース・ヴェイダーとの通信会談で登場。
映画の製作順では初登場となった。

フォースの大きな乱れを感じ、デス・スターを破壊した反乱軍兵が「アナキン・スカイウォーカーの息子」であると確信したことをヴェイダーに通達。
ヴェイダーに彼をジェダイにさせないよう殺すか、もしくは(ヴェイダーの提案により)味方に引き込むよう伝えた。

エピソードⅥ ジェダイの帰還

デス・スターⅡを建造途中。もしかして大艦巨砲主義。
ヴェイダー「惑星を破壊できる力とてフォースの前には取るに足らん存在です。エライ人にはそれが分からんのです」
描写こそされてはいないが未だ完成していないことに対し憤慨しているのは示唆されており、
息子と出会った影響で少しだけ丸くなったヴェイダーも建造責任者のティアン・ジャージャロッド総督に「皇帝はわしほど寛大ではない」と忠告している。
ヴェイダーに未完成について反論していたジャージャロッド総督も、皇帝の名前を出された途端顔色を変えていたことから、皇帝の不興を買うことは非常に恐れられているようで、見てくれは脆弱な老人と見られていてもその実の冷酷さは有名な模様。

ジャージャロッド総督にとって幸いなことに、パルパティーンの目下の関心は、デス・スターⅡではなくルーク・スカイウォーカーの存在であった。
デス・スターIIを訪れたパルパティーンは、ヴェイダーを通じてルークと対面。
ルークに対し、自分やヴェイダーへの怒りをあおり、アナキンと同じように彼を暗黒面へ導こうとするが…。



後の新三部作制作まで、本格的な登場はこのエピソード6のみながら、ルークを暗黒面にひきづり込もうとする狡猾さと彼を追い込む残虐さ(初登場にして代名詞のフォース・ライトニング)、その醜悪で邪悪な容姿、ヴェイダーをも支配下に置いていた黒幕であることから観客に強い印象を残し、後のレジェンズ作品でも強い存在感を発揮した。

◆エピソードⅨ スカイウォーカーの夜明け


前々作『エピソードⅦ/フォースの覚醒』、前作『エピソードⅧ/最後のジェダイ』にはほぼ影も形も見せず、気配すら感じさせなかった状態から衝撃の復活を果たす。
オープニング・クロールで言及された「死者の口が開いた」内容は、タイアップしたゲーム『フォートナイト』でマクダーミド御大が直々に収録したものが聞ける。

エンドアの戦いをどうやってか生き延び、今まで身を潜めていたエクセゴルにやってきたベイダーの孫カイロ・レンに向けて、
これまで彼の師として活動したスノークはシディアスが創り出した幻であり、彼の闇堕ちを誘導していた脳内の声(スノークやベイダー)もシディアスの騙りであったことが、映画開始早々5分で明かされる。

スノークすらも裏から操っていたシディアスに言わせればファースト・オーダーも「ほんの手始め」であり、一度目の死から31年の間にその兵力を優にしのぐ規模の銀河史上類をみない大艦隊ファイナル・オーダーを用意していた。
レンにその艦隊を操る新たなる皇帝の座と引き換えに、ジェダイ最後の希望であるレイの抹殺指令を下す。

各種スピンオフで語られるⅥ以降の動向


『EP9』終盤付近で自身の孫娘レイとの邂逅時に「お前を殺すつもりなどない」「女帝パルパティーンよ、お前はこの王座を継ぐのだ」と発言した後、彼女に自分を殺してシスとして王座を継ぐよう迫っている。
「余を殺せば、余の魂“spirit”は、余に宿るシス卿と一緒にお前に継承される。お前は女帝となり、我らは一つとなる」という発言、レイが見た「シスの王座に就く自分」が目が真っ白でありシディアスと同一であった事、前述の自身の帝国を誰かに譲る気はないという考えを考慮すると、
シディアスは今度はレイの身体を乗っ取ろうとしていたと見るのが妥当だろう。
レイを精神的に追い詰めることで自身の殺害一歩手前までこぎつけるが、寸前のところでベン・ソロが介入したことで精神的に弱った小娘の身体を乗っ取る計画は失敗。
圧倒的なフォースの力量差で2人をねじ伏せて無力化したところ、彼らがシス・エターナルにあるフォースの一対である事に気づき、
計画変更で彼らの生命エネルギーを吸い上げる事で自身のボロボロだった肉体を完全に治癒させることに成功する。

衣装もシスの伝統的な赤と黒のツートンの外套に変えて煙幕の中から登場した際、アリーナの如く自分を取り巻くシス・エターナルの軍勢に向けて手を掲げてその存在を振りまく彼の姿はかつて銀河帝国を樹立した際に万雷の拍手を受けた様を彷彿させる。
この時生命エネルギーを吸い取られてなお立ち上がるベン・ソロを地面の亀裂に投げ捨てて排除すると、シス卿にして皇帝は「シスの復活を妨げるものなど無い!」と高らかに宣言し、両手でフォース・ライトニングを撃ち上げる。
その威力は過去作で見せたものをはるかに凌駕しており、恐らく自軍から区別して敵軍の機体のみに反応する電撃で一時は敵軍全体を無力化した。

しかし、先人のジェダイたちの声援を受けて立ち上がったレイがライトセーバーを構えるのを見ると、上に向けていたライトニングを目の前の女性1人に集中させる。
シスの全てである自分の前にゴミ漁りの小娘などなんでもないとライトニングを打ち出し続けるが、「なら私は……ジェダイの全て」と言うと同時にルークとレイアのライトセーバーを×の字に構えたレイが反撃に出る。
Ⅲのメイス戦でライトニングをライトセーバーで反射された際のように、レイが接近してくるにつれ彼の顔面がまたもや自身の電撃で焼かれ始める。
2本の青いライトセーバーは一定量ライトニングを吸収していたためか、電撃の放射を止めても自身に対する電撃は止まず、数えきれないほどの人間を弄び、苦しめ、殺してきた悪の権化シーヴ・パルパティーンは断末魔の叫びをあげながらその肉体をライトニングで焼き尽くされた後、跡形もなく吹き飛んだ。



◆レジェンズ

ディズニーへ権利が移譲した際に非正史とされたスピンオフ作品群。

ディズニーによる買収前から執筆されており、買収に前後して発表された「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」にて、エピソード3で得意満面で話した「賢人ダース・プレイガスの悲劇」が詳細に描かれた。
同作ではナブーの王家の一つ(ナブーは君主を選挙で選出するが、その君主を輩出する王家は複数ある)パルパティーン家に生まれたシーヴがムウンの大富豪ヒーゴ・ダマスクことシス卿ダース・プレイガスに見いだされてシスになったこと、表の顔として政治家になったこと、シスとしての任務や修行、そしてプレイガスの暗殺まで丁寧に描かれた。
が、買収前に執筆されたためこれもレジェンズに降格されており、基本的にパルパティーンの名前以外はほとんどが「なかったこと」になっている。
今のところ正史のエピソード1以前の経歴は「ナブー出身の人間でダース・プレイガス(種族不明)に師事した」というだけである。
もっとも、本作に登場したプレイガスの助手ドロイド「11-4D」や、プレイガスの指導内容などがカノン小説「ターキン」で軽く登場しており、なんだかんだ忘れられてはいないらしい。


エピソード6以降を描いた作品でも、故人ながら強い存在感を発揮。
魂が乗り移る術を心得ていてクローンに乗り移って復活したりと色々忙しい。一時はルークをシスの弟子にもしている。
アナキンやその子孫を自分の次の肉体にするために引き込もうとしていたとする物語もある。

エピソード6で描かれた残虐さも強調されており、例として、デス・スター設計者に対し、初代デス・スター破壊後にはその責任として残虐な処刑をしてはクローンとして蘇らせてまた処刑をするという嬲り殺しをしていたという。

レジェンズでは破壊活動によって大量に用意していたスペアのクローンボディが劣化していき、最後は全身サイボーグのジェダイ騎士エンパトジェイオス・ブランドの自己犠牲によりフォースの冥界に引きずり込まれ、完全に現世からは消滅した。

なお出展がジュニアノベルなのでレジェンズ降格前も正史であったのかは微妙なところではあるが、トライクロップスという息子がいる。
彼は善良な平和主義者ながら、睡眠中に超兵器を設計し寝言で断片的に口走る(後に帝国のプローブドロイドに情報を自動送信する装置を埋め込まれた)という体質を持っており、それが帝国の兵器開発に利用されていた。
なお後頭部に覚醒作用がある第三の目を持っていたが、「皇帝の息子は三つ目」という情報だけが出回っていたため、額に催眠作用がある第三の目を持つペテン師トライオクユーラスが皇帝の息子に成りすまし、大きな権力を握った事がある。
そしてトライクロップスの息子、つまりパルパティーンの孫が「ジェダイの王子」ケンである。
トライクロップスもケンも、彼らがメインのジュニアノベルシリーズ以外では一切言及されないため、その後の動向は不明。そもそもディズニー買収前の正史に含まれたのかも不明。(ノン・カノンとされることが多かった)

ちなみにレジェンズでは正史のエピソード9に見られた、エピソード3やエピソード6と同じ失敗を繰り返し、同じ方法で倒されるという明らかな痴呆の症状は出ていなかった。

【余談】

  • 演者
シディアスを演じるのは、シェイクスピア俳優として高い評価を得たイアン・マクダーミド。
といっても最初からシディアスを演じたわけではなかった。

元々、エピソードⅤのホログラムはイアンとは別人の老婆*20が演じ、クライヴ・レヴィルが声を当てていた(スタッフロールで皇帝役とされるのは彼)。
その後ⅤのDVD版ではイアンの映像に差し替えられ、時期が開いて制作されたエピソードⅠ~ⅢはⅥから参加したイアンが続投した。
そのⅥも当初はシディアスの設定年齢に近い俳優が予定されていたが降板、イアンに役がまわってきたがⅥの時はまだ若かったので相当なメイクを駆使している。

なお当初からⅠ~Ⅲでのシデイアス役はイアン続投が決まっていたわけではなく、制作前にルーカスが英国を訪れた際にそれを聞いたイアンがルーカスと面会。
ルーカスから「パルパティーンに適任な人いない?」と聞かれ、イアンが「目の前にいる奴がそうじゃないか?」と答えたことで続投が決定。
こうして同一のキャラを実年齢が若い頃に年配の役を演じ、20年以上経ち年配になって若い頃を演じるという世界でも稀なケースが誕生することとなった。
イアンとしても相当愛着があるようで他の人にはやってほしくないとまで語っている。

ジョージ・ルーカスが関わっていたⅠ~Ⅵを見ればわかる通り全ての黒幕として常にシーヴ・パルパティーンが存在していたために一つの物語として完成しており、ディズニーが20世紀フォックスから買収して政策を決定したⅦ~Ⅸ中におけるラスボスも二転三転していたことがうかがわれる。

結果的にⅦ,Ⅸを監督することになったJJエイブラムスはⅦ時に既に三部作通しての大まかな草稿を書いていたが、JJ監督はⅧを監督したライアン・ジョンソンのスノークが退場する脚本を読んで笑った……と後にRJ監督は語る。
ルーカスフィルム社長キャスリーンケネディやJJ監督は「パルパティーン復活の案はいつから考えられていたのか」と質問されると「長い事あった」と答えるなどしてある程度ぼかしてはいるものの、
Ⅸ映像特典で脚本のクリス・テリオが製作初期段階にパルパティーン復活はどうかと提案して30秒で決まったと回想している事から、
あくまで案の一つとしてパルパティーン登場という展開はいつでもあり得たが、肉体をもって本格的な復活はⅨになってからというのが妥当なところだろう。
マクダーミド氏は2019年のⅨのセットにおけるインタビューで「1年ほど前にJJからそろそろ皇帝を復活させようと思っている」とEメールが来た、ジョージ・ルーカスからは皇帝は死んだと言われた、という発言もこれを裏付ける。

旧三部作ではまだ比較的若い中メイクと演技で老人を演じ、新三部作では壮年になったためにそのままキャラクターの過去を演じ、続三部作ではキャラクターの肉体年齢に追い付いたために多少のメイクも施しつつもそのまま演じる……という中の人にとってもなかなか数奇な経緯となった。

結果的にルーカスフィルムがスカイウォーカー・サーガと呼称する一連の映画群Ⅰ~Ⅸは、三世代にわたるスカイウォーカー家の物語とシーヴ・パルパティーンという1人の悪の帝王との戦いだったという図式に落ち着いている。


  • 容姿
かーなーり不敬な話だが…

項目頭にもあるが、このダース・シディアスは前ローマ法王ヴェネディクト16世に外見がめっちゃ似てる。
しかもシディアスのメイクをした後の外見に、である。

その酷似っぷりは、あまりに似ているためニューヨークの週刊誌に書かれてしまうほどである。

ネットでは当然ネタにされ、ヴェネディクト16世の画像に指先からフォースの電撃を出してたり、シスの赤いライトセーバーを持ってるコラが大量生産されている。

しかし、だからといってあまりやりすぎるとイスカリオテの神父さんに見的必殺されるので気を付けよう。

  • 裏設定
非常に利己的でありながらシスの教義には極めて忠実な人間であるシディアスは、
仮にヴェイダーが機械化による劣化を経ず、当初の目論み通り無敵のシスとして下剋上を果たしたならば、それも吝かではない…といった節もあったり、意外な所もある。
周知の通りルーカス当人やルーカスフィルム監修のノベライズにおいては、
ようやく得られた理想の弟子が唯一不覚を取る恐れのあったオビワンとの戦いの結末により{、彼が想定外の形で傷つき大成せずに終わってしまうことを酷く危惧し}て、ヨーダとの決着の後には全力疾走でムスタファーに向かう一幕もあった。

  • 古代のシス
スピンオフでは彼をも上回るレベルの古代シスが何人も登場しているが、その大半がレジェンズとして非正史扱いされている。
名前だけカノン入りした一方でそれ以上の設定が確定されないため、補足としてレジェンズ情報も用いると正史におけるシス卿は古い順に

  • サドウ
  • エグザ・キューン
  • ダース・レヴァン
  • シスは二人一組という掟を作ったダース・ベイン(クローンウォーズに登場。古代シスで唯一レジェンズ落ちを回避)
  • ダース・テネブラス
  • 先述のダース・プレイガス
  • この項目のダース・シディアス
  • 弟子その1ダース・モール
  • 弟子その2ダース・ティラナスことドゥークー伯爵
  • 弟子その3ダース・ヴェイダー
となる。
ただし、カイロ・レンのライトセーバーは古代の設計図によるものとされるため、まだ何人かレジェンズから復刻したりするのかもしれない。

  • 『皇帝の後継者』シリーズ
スピンオフのジュニア向け小説(「帝国の復活」「ジェダイの遺産」「ゾルバの復讐」など)の中には息子がいたと設定されているものがある。
「突然変異で三つ目を持つ」「皇帝が恐れ幽閉している」など断片的な情報が語られ、
序盤は額に第3の目を持つ男が手から放電するサイボーグ手術を受けてその名を騙り帝国残党をまとめ上げるが、
本物の息子は後頭部に第3の目を持つ非常にまともな男で、その才能とダークサイドにあるまじき性格のため皇帝から危険視されていた。
作品も絶版となり、他の評価の高いスピンオフとも整合しないためほぼ黒歴史扱いされている。

…のだが、ひょっとすると彼こそがレイやその父親の元ネタなのかもしれない。

  • ロボットチキン:スター・ウォーズ
クレイアニメ番組群ロボットチキンは、一言で言えば各映画などのギャグパロである。
なので映画での威厳ある悪役っぷりはどこへやら他のキャラの例に漏れずキャラ崩壊を起こしている。
長いエスカレーターに乗り反対側から次々とやってきて自分に挨拶するストームトルーパーにイライラしたり、会議室で部下と談笑してる最中にダース・ヴェイダーから電話でデス・スター爆破の報告を受けてガチギレしたり、第二デス・スター舞台裏の工事現場にいるおっちゃんにビビったりetc…

「いやいやいやシスの暗黒卿なら守れると思ってた、幅がたった2メートルしかない排熱口くらいはな!しかもまだ支払いが残ってる!これで私の信用もガタ落ちだコノヤロー!」

ちなみに日本語版で声を担当しているのは新3部作以降吹き替え版でC-3POの声を担当している岩崎ひろし氏である。

  • モデル
設定上のモチーフはローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス。
アウグストゥスも政治腐敗と内乱で弱体化した元老院を掌握することで、共和制だったローマ帝国を合法的に帝政へと移行させている。


追記・修正はシスに転向して師匠を殺してからお願いします。


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悪の美学  闇堕ち
Star Wars  Darth Vader

Darth Sidious

2023-12-12 12:38:26 | 🇺🇸TV

ダース・シディアス

「ダース」の検索結果
ダース・シディアス」 から 次の単語がハイライトされています :

 


登録日:2012/05/30 Wed 17:39:27
更新日:2023/12/08 Fri 23:24:21
所要時間:約 14 分で読めます

 



 

もしかして→ローマ法王





「……事はすべて余の予測通りに進んでおる……」



ダース・シディアスDarth Sidiousとは、スターウォーズシリーズの登場人物。
銀河帝国の初代皇帝であり、シスの暗黒卿の一人。
シリーズ全体のラスボスである。
エピソードⅤにてホログラム越しに、エピソードⅥで建造中のデス・スターⅡ視察の際にその全容を見せた。

 

  • 演:イアン・マグダーミド Ⅵ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ(DVD版)、Ⅲ)
  • 吹き替え:坂口芳貞(Ⅰ)小林勝彦(Ⅰ、Ⅱ)稲垣隆史(Ⅲ、クローンウォーズシリーズ)岩崎ひろし(日本語版ロボットチキン)



●目次



【概要】

ダース・ベインの死後、千年ぶりに表舞台に現れたシス卿の一人。
弟子であるダース・モールダース・ティラナスダース・ヴェイダーの三人もいずれも強力なシス卿であったが、「師匠越え」を一人前の証とするシスの教えにあって、最後まで弟子たちが単独では越えられない壁として君臨し続けた*1

 

ライトセーバーを持たなくとも、指先から放つフォース・ライトニングの電撃だけでライトセーバーを掌中からもぎ取るばかりか、精鋭とされるジェダイマスターをほとんど斬り結ぶ事なく仕留め、スターファイター等を容易く撃墜し、グランドマスターとも互角以上の戦いを繰り広げる*2

 

アニメ・クローンウォーズでは、復活を遂げたダース・モールその弟を意図的に徹底した舐めプ余裕っぷりで軽々と蹴散らしてのけた。



そして彼の最も恐るべき本領は、巧みな話術や人心掌握術、権謀術数など、頭脳・策謀面におけるシスの力にある。
深謀遠慮の計略を進行中に、フォースの予知でもカバーし切れない不測の事態に遭遇しようとも、臨機応変に軌道修正。

 

自身の安寧とジェダイ殲滅及び帝国勃興計画の妨げになる組織力を伴って成長し得る障害*3は早々に摘み取るようリスクヘッジを徹底。
ヴェイダーにしても、あえて粗悪な改良を施して自身への反逆を防ぐ枷にしつつ、暫定的な手駒として抑圧することで憎悪を煽り暗黒面の習熟の助けにもすると、使い潰すことばかり意図したものではない。

 

在位中に銀河で起きたあらゆる事象を、ことごとく自分の懐中に収めて、シスによる銀河支配の贄としてまとめ上げたのである。

 

冒頭のセリフ「……事はすべて余の予測通りに進んでおる……」はシディアスの持つ真の恐ろしさを端的にかつ的確に、そして明快に表現している。



ただし、シディアス本人は自身の能力について、限界があることも認めている。
例えば『ダース・プレイガス』で「陰謀は達成したはずだが、違和感が拭えない」と悩んだり、カノン小説『ターキン』では「まだ暗黒面について修行が足りん」と物思いに耽っていたりしている。
レジェンズ小説『悪の迷宮』ではティラナスから「読み間違えたり驚いたりすることもあるが、臨機応変に対処し、最終的に自分の利益に還元する術に優れている」と評されている。
しかし、そうした不足な部分がありながらも、持ち前の極めて高い計画修正力と並外れた忍耐で修行に打ち込むからこそ彼は優れたシスマスターとして在位できたのだろう。



唯一の欠点は慢心と、大きな隙。

 

絶大すぎる権勢を手に入れて気が緩んだ帝国建立後は、シスの研究に熱心になるあまりプリクエル時の思慮深い一面は失われ、政治はほぼターキン、軍事ではベイダーを初めとする優秀な指揮官たちに丸投げしすぎて大なり小なりの災難*4に見舞われている。



ちなみにカノン小説『ターキン』によると、シディアス本人が欲しいのはフォースを極めた先の、フォースの財産のみ。
彼が「皇帝」という地位ゆえに所有している数々の財産(住居・地位・芸術品・食事・部下)は確かに最高級品でそろえているが、それは周囲が「皇帝ならそういうものを持つものだ」と意識しているのを反映しているだけで、シディアス自身は世俗的な快楽に興味がないという、ストイックな一面もある。
シスの正装という意味もあるのだろうが、衣類については終生、飾り気のない黒いローブのままだった。
例外はシスの権威を象徴するような遺産や工芸品・美術品。その類の物品を手に入れると本気で喜んだり、シス好みの伝統的な「冷徹の美」を手放しで絶賛し、EPⅢ小説版によれば、髑髏を思わせるヴェイダーの意匠は趣味だったりしている。



【来歴】

◆過去

彼がシスの道に入った詳しい経緯は不明だが、本人曰くダース・プレイガスという暗黒卿に師事していたらしい。
プレイガスはミディ・クロリアンを操ることで生命を創り出したり、ついには死から逃れる術をも修めたという。
しかし、彼は修めた知識の保全を重視し、弟子であるシディアスに自身が得たシスの知識の全てを教えてしまう。
そのため、必要な知識は得た為に「師はもう用済み」と判断したシディアスに寝込みを襲われ殺害されてしまう。

 

ただし、シディアスの過去に関しては不明な点が数多くあり、上記の出来事は全てシディアス自身の口から語られたものにすぎない。(即ち、アナキンを誘惑するために誇張している、もしくは全て真っ赤な偽りである可能性も否定できない。)













以下ネタバレ













俗名はシーヴ・パルパティーン(Sheev Palpatine)。惑星ナブー代表の銀河共和国元老院議員にして、後の銀河共和国最後の元老院最高議長である。
彼は元老院議員パルパティーンとして活動する裏で、暗黒卿ダース・シディアスとして銀河系支配のために策をめぐらしていた。

 

旧三部作当時から「元老院議員パルパティーンだった」とは裏設定で定められていた(一部小説作品でも触れられることがあった)が、
皇帝となる以前が描かれたのは新三部作で、かつパルパティーン=シディアス卿と確定するのはEP3後半だった。
しかし一部の読者は新三部作初期から察していたようである。
というかエピソードⅠのパンフレットが「後に銀河皇帝となる」とネタバレしていた。



◆エピソードⅠ以前

 

今ではレジェンズとなっている小説「ダース・プレイガス」においては、17歳の少年期にプレイガスに見出された、という設定である。

 

代々惑星ナブーの政治家だったパルパティーン家に生まれた彼は、幼い頃から非常に知性が高いだけでなく強大なフォースの力が自分の内にあると自覚していた。年に不相応な程に知的で力を秘めた彼は、広い世界で自分の力を発揮することを渇望する開国主義者になり、その野心は「銀河を支配出来るか試したい」と願う程に大きく育った。

 

しかし、当時のナブーは鎖国状態。鉱脈に膨大なプラズマ資源を秘めていたが、保守派の政治家達は他の惑星や共同体に搾取されることを警戒しており、パルパティーンの父であるコシンガもその一人だった。
政治一家の息子としてフォースの力を隠すだけでなく、自分の欲求と異なる鎖国主義の国で生きることにパルパティーンは強い欲求不満を抱き、それが噴出して非行に走り補導される。そんな事態もしばしば起こった。
コシンガはそんな息子の政治的思想の対立だけでなく、特殊な力とそれが由来の優越意識と野心から来る暴力性にも気付いており、息子を矯正しようとして隔離的な教育環境に身を置かせていた。
だが、それは自由主義のパルパティーンに対しては逆効果。
自分の家族はパルパティーン家として成すべきことを成していないばかりか自分を束縛してくる、という不平不満は憎悪にまで育ってしまった。
プレイガスと出会ったのはその頃である。

 

プレイガスが表向きの立場である投資家ヒーゴ・ダマスクとして、プラズマ資源利権獲得の為にナブーの開国派と協議する目的でナブーを訪れた際に、プレイガスとパルパティーンは出会った。
プレイガスは当初、鎖国派議員の息子をスパイとして利用出来るか判断するべくパルパティーンに接触したが、自分が暗黒卿の弟子に求める資質をパルパティーンが備えていることを見抜いて魅入られた。

 

プレイガスは火に油を注ぐように、パルパティーンに対して目的を成す上で暴力の有用さについて説き、同時にプレイガスを警戒したコシンガが息子に対する束縛を更に強めるように誘導。
プレイガスが狙った通り、我慢の限界を超える抑圧によってパルパティーンは己がフォースと破壊衝動を思うままに発揮。勢いに任せて自分の家族を皆殺しにしてしまった。

 

聡いパルパティーンはすぐにプレイガスに仕向けられたと気付いたが、復讐心は湧かなかった*5
むしろ、望むままに己の力を振るい支配者となれるか挑戦したいと願い、プレイガスに師事することを決意した。
こうして彼はシディアスという真の名を賜った。

 

その後は、家族を惨殺した本性と所業の隠蔽に専念して、家族を事故で亡くした悲劇の少年として遺産を全て相続。
家族を失った喪失感から放蕩癖がついたと見せかけて偶に辺境へとシスの修行に出かける傍ら、故郷ナブーではパルパティーン家の当主としての地盤を固める活動に奔走する二重生活が始まった。





プレイガスを殺害しシス・マスターとなったシディアスは、具体的な時期はハッキリしないが*6、シス・アプレンティス……すなわち弟子探しに着手した。
初めの弟子候補として、暗黒面のフォースに関する独自の技術体系を持つナイトシスターの長であるマザー・タルジンに接触。
両者は知恵と力を提供し合う関係にあり、ダソミアの魔術やシスの技術を共有することで暗黒面への知見を深めていった。いずれはタルジンを弟子にしてシスのより深い領域の知見も与えるという約束であったが、タルジンの長男であるモールの方が弟子とするのに好都合と目星をつけたシディアスは約束を破ってモールを誘拐しタルジンの元から去った。
以後ダース・モールを弟子として育て上げる傍ら、銀河系支配に向けての綿密な計画を進め始める。

 

なお、計画の破綻(=ジェダイにシスの生存が露呈すること)を防ぐためモールはジェダイとの接触を禁止されており、シディアスは力を振るえないことに不満を募らせるモールの血の気の多さを抑える為に頭を悩ませることもあった。
そのためモールのガス抜きと政敵の排除を兼ねて、犯罪勢力およびそこに生け捕りにされオークションに出されたジェダイを始末させるなど、水面下で確実に計画を進めていた。



エピソードⅠ ファントム・メナス

まず、通商連合のヌート・ガンレイ総督を操り、貿易関税を口実として自らが代表を務める惑星ナブーを武力によって封鎖、制圧させる。
そして、ナブーの君主であるアミダラ女王に元老院の政治腐敗*7を直視させ、
通商連合を打倒しナブーの民と文化を守るためには官僚の傀儡となっている現在の最高議長フィニウス・ヴァローラムを廃し、清廉で力のある人物を最高議長の座に就かせるべきだと説いた。

 

パルパティーンの思惑通り、最高議長ヴァローラムはアミダラが提出した不信任案によって失脚。
彼の失脚の原因となった親族による彼への不正献金疑惑も、もちろんパルパティーンが裏で手をまわした工作によって仕向けられ露呈したものである。
パルパティーンは、周囲にはヴァローラムの良き友人であり支持者であったが裏切られたのだという顔を崩さずあくまで謙虚な態度のまま、ヴァローラムに関する不信を撒いて自分へ票が集まるように巧みに工作を重ねていた。
その後、パルパティーンは次期最高議長候補として自ら選挙に出馬し(無論多くの人々からの推薦を受けたという体裁で)、
ナブー閉鎖やヴァローラムの件に対する同情票を集める形で最高議長の座に就任する。

 

ただEP1作中ではよく読みを外している。
冒頭でいきなり「最高議長がジェダイを特使に派遣するとは予想外だった」と驚いたのをはじめ、脱出したアミダラ捜索に出したモールが護衛のジェダイに振り切られたり、アミダラのナブー帰還後の動向の意図が読めなかったり、彼女がグンガンと同盟したことを正面決戦の構えと早合点して「全滅させろ」とガンレイ総督に総攻撃命令を出して陽動にかかったり、「ジェダイなど敵ではない」と確信していたモールを倒されたりと、意外と策略がうまく行っていない。
のちにモールが復活した際も「あれで生きているとは思わなかった」とこぼしており、EP1の彼は「すべて思い通りに運んだ」わけではなかったようである*8



エピソードⅡ クローンの攻撃

最高議長に就任し、共和国の最高権力を手にしたパルパティーンの次なる目的は、この権力をさらに強めることであった。
概ね計画通りに事が進んでいたものの、彼が1人前のシスに成長したと太鼓判を押したダース・モールが予想外の死を迎えたため、計画にいくらか修正が必要になった。

 

そのために、まずは戦死した とシディアスも誤認していたダース・モールに代わる新たな駒として、かつて高名なジェダイの騎士であったドゥークー伯爵と接触する。
ドゥークーは政治腐敗が進む共和国と、従来の戒律に縛られるあまりそれに迎合・静観するジェダイに失望してジェダイ騎士団を去っており、ジェダイへのこだわりがない状態であった。
また、彼は昔からの因縁でフォースの暗黒面に関しても独自の研究を行っており、その意味でもシスに転向させるのは容易だった。

 

それにドゥークーはフォースの技術もライトセーバーの剣術も卓絶しており、加えて人当たりの良さと品格、ジェダイ時代の人脈を活かして交渉術にも長けており、高い戦略的な能力を持っていた。
そうした性格や個人レベルの能力に加えて、故郷の惑星セレノーの伯爵になった彼は豊富な財力まで備えており、パルパティーンにとってあらゆる点で利用価値がある存在だった。その時点では。

 

かくしてシディアスは「長い付き合いの政治家」としてではなく「シスの暗黒卿」としてドゥークーと接触、長い議論の果て、ついにドゥークーをシスの弟子となることに合意させる。
パルパティーンは彼にダース・ティラナスの法名を与え、腐敗した共和国からの脱退を訴える分離主義運動の盟主となることを指示。
ドゥークーは自身が持つカリスマや財産、人脈や交渉術を活用して多くの惑星や大企業に共和国からの脱退を表明させ、独立星系連合を結成。
一方でドゥークーのかつての友人であったジェダイの騎士、サイフォ=ディアスを唆し、ジェダイ評議会や共和国には秘密裏にクローン兵による軍隊を発注させる。

 

さらにその後、パルパティーンはクローン軍団の発注プロジェクトを乗っ取り、かつドゥークーの忠誠心を試すべく彼にサイフォ=ディアスを殺害させる。

 

ドゥークーの先導によって分離主義運動が活発化し、共和国内に危機感が満ちた時を狙って、パルパティーンはジェダイがクローン軍団の存在を知るように仕向ける。
独立星系連合に対抗するにはクローン軍団を使わざるを得ない状況を作り出し、
さらにアミダラの代議員だったジャー・ジャー・ビンクスの人の好さを利用して*9、クローン軍団を即座に使えるよう、最高議長に非常時大権を与える動議を提出させる。
動議は満場一致で可決、パルパティーンはさらなる権力を手に入れることに成功する。
パルパティーンは手にした非常時大権をさっそく行使し、共和国の正規軍に組込まれたクローン軍団はドゥークー伯爵が潜伏する惑星ジオノーシスに進軍。
この戦いを皮切りに、銀河共和国と独立星系連合によるクローン戦争が幕を開けた。

 

しかし、銀河系の歴史に残るこの壮大な大戦も、全ては邪悪な暗黒卿の掌の出来事、それも通過点にすぎなかった。
 
悪の美学  闇堕ち
Star Wars  Darth Vader

ヤング ブラック・ジャック

2023-11-24 04:36:55 | 薬学
登録日:2017/01/09 Mon 10:46:37
更新日:2022/10/24 Mon 18:29:22
所要時間:約 14 分で読めます

 






彼はなぜ闇医者へと堕ちたのか――――




『ヤング ブラック・ジャック』は、ヤングチャンピオンにて連載されていた漫画作品。
2011年の同名のテレビドラマが放送されているが、内容的には無関係である。
単行本は全16巻。

 

原作:手塚治虫
脚本:田畑由秋
作画:大熊ゆうご
医療監修:後藤伸正
協力:手塚プロダクション

 

以降「原作」と示した場合は原則、手塚治虫氏の『ブラック・ジャック』を指すこととする。



概要

タイトルからわかるとおり、ブラックジャックこと間黒男のヤング時代を描いた物語。
主に彼が医学生であったころが中心であるが、高校生~免許剥奪後すぐのあたりの話も入っている。
数話完結方式で時系列は掲載順に一致しないため、単行本では時系列が巻末にまとめられている。



物語の中心は1968年であり、当時の情勢と絡んだ要素が多い。
当時は高度経済成長の真っ只中でありながらも、米ソ冷戦構造の影響下にあり、安保闘争などが燻っていた時代である。
特にベトナム戦争や東大紛争、学生運動などはこの作品のストーリーとは切り離せない。

 

作画担当の絵柄が個性的であり、単刀直入に言ってしまえば 腐女子向けの絵柄 である。
細めで筋肉質な男性もよく登場し、黒男のサービスシーンやBLを想起させるシーンも多い。
題材が不朽の名作であることもあり、絵柄だけで作品を判断し、駄作扱いする人々がいるのも事実である。

 

しかしストーリーはオリジナル要素をいれつつも、原作の要素も多く取り入れている。
手塚作品におけるスター・システムも取り入れており、 登場人物はすべて何らかの手塚作品にモデルがいる
単行本の巻末にはそのモデルの紹介と解説も乗っており、ブラックジャックだけでない手塚作品への愛も見て取れる。
絵柄は確かに賛否あるが、決して腐人気だけでここまで継続してきたわけではないと断言しておく。
確かな欠点を挙げるなら、医学生前後の話のため ピノコの活躍は絶望的である ことは大きいだろうか。
…と思ったら11巻でついに登場した。




2015年秋にTVアニメが放送された。
作画スタッフにOVA版や03~06年放送の『ブラック・ジャック』に参加した面々が多数おり、
キャラクターデザインは大熊ゆうご氏の絵柄を基にしつつもそちらに近くなっている。
話数や尺の都合で漫画版の要素が大幅にカット、改編された話も存在する。(11、12話の後半部が医学生時代であるなど)
その点の賛否は原作のTVアニメでもちらほら聞かれたため、ある程度は仕方ないだろう。

 

ナレーションや次回予告は、原作アニメのブラックジャック役で知られる大塚明夫氏が担当した。
このことは物語が ブラックジャックの回想 という形で締められることになり、視聴者からの評判は上々であった。
EDも、2枚のトランプが回転しながら登場人物とそのルーツ元を次々と比較してゆく演出が好評であった。

 

……しかし、一番話題になったのは「 ギリギリマンボウチャンス 」などに代表されるOP「I am Just Feeling Alive」の空耳の数々だったり。
またOPのラストカットが 刀を構える百鬼丸似の男とメスを構える間黒男が対峙する というものであり、
到底医者の漫画とは思えないカットに、原作1話をもじって 医者はどこだ!? と言われたりもした。
ついたあだ名は「人切り執刀斉」「見境なき医師団」「るろうに検診」など
こうしたシリアスな笑いどころも、ネタ化に一役買っていたのかもしれない。



■あらすじ

時代は1968年。東大紛争が勃発し、学生運動が激しさを増す中、とある大学の医学部に1人の奇妙な男が在籍していた。
半白の髪、全身に残る無数の傷、傷跡を境に皮膚の色が違う顔面。医師免許を取得するため、勉強に励むその青年の名は、間黒男(はざま くろお)。
その天才的な手腕によって、数々の奇跡を起こすことになる彼は、後にブラック・ジャックと呼ばれる。
恩師の本間丈太郎に憧れ、まっとうな医師になることを志していた間黒男が、無免許医となり莫大な医療費を要求するようになった経緯がここに明かされる。



▲登場人物

 

CV.梅原裕一郎
主人公。ブラックジャックの若かりし時代であり、三流大学である本越大学(通称ポン骨大学)に通う医学生。
かつて爆発事故により重傷を負い、母と自分の治療費のために闇金に手を出し、3億円もの借金を背負っている苦学生。
本間丈太郎に憧れ修行を続けたため、医学生ながらその知識や技術力は非常に高く、時に違法な治療をして金稼ぎもしている。
それでもまだ全うな医者にあこがれている点や、医学生ゆえに立場が弱いのが原作との大きな相違。
精神的に未熟な面も含め、ブラックジャック時代なら一蹴しそうな問題でも大きく心を悩ませる。
しかし数々の経験を経て、徐々にブラックジャックに近くなっていく……。

 

医学以外の知識はからっきしで、そんなものは医学にいらないと強がったが「患者とのコミュニケーションに必要」と論破された。
原作も割とそうだが、若さゆえか表情豊か。時には顔芸も見せる。

 

自身が母の治療のために覚悟をして大金を借りたこともあり、その覚悟が彼の価値観の根幹にある。
このことが、彼が高額請求をして患者の覚悟を試すという行為につながっている。
そのため、決して自身の借金を踏み倒そうとはしないし、
治療費を値切る患者には「治療にはいくら払ってもいいという覚悟は嘘だったのか」と憤慨していた。

 

また、作風ゆえかやたらと脱ぐ。扉絵では特に顕著で、服だけではなくときには皮や肉まで脱ぐこともある。



CV.大塚明夫
間黒男と同一人物だが便宜上別に記載。若いころより眉が太くなり、貫禄がついている。
原作どおり医師免許を剥奪された後は、ボロボロになりながらアメリカをふらついている様子。
あるマフィアのボスの手術を請け負ったらしいが、断片的には語られているもののいまだ全容は明らかではない。
一時は死ぬことも考えたが、自身は母や本間先生に助けられた身であり、自分ひとりで生死は決定できないと悟る。
その後の動向は不明だが、1972年に原作で知られる海のよく見える家を買ったとのこと。

 

アニメでは冒頭や終わり、次回予告をナレーションとして努めた。
戦争の話題がよく出ることもあり、某むせるアニメやステルスアクションゲームを思い出した人も多いんだとか。
「どうしてあの男を助けたのだろうか。間黒男は自問したが、答えは出なかった」
「医療行為に正解などないことを、このときの間は知らなかった」



  • 岡本舞子
CV.伊藤静
黒男の先輩で研修医の女性。第1話で黒男にヘルプを求め、その圧倒的な技術を見たことから親しくなる。
自信家なのか美人を自称しているが、作中でそう他称されたことはない。
黒男の医師としての力量には尊敬や嫉妬を抱いているが、天狗になりそうな面は心配して指摘している。
特に無免許ながら違法手術を行うことには反対しており、同時に自身がそのきっかけになったことに責任を感じている。
最初は彼の性格に振り回されるも、最近は彼を騙して通訳にしたり論破して世間一般の知識をつけさせるなど扱いがうまくなっている。
今のところ彼に恋愛感情を抱くシーンはなく、サービスシーンもないなどヒロイン力はいまいち。
アニメでは所々登場回数が増えている。それでもヒロインとして認知されたかは非常に怪しい。

 

モデルは原作「BJ入院す」に登場する新宿南外科の女医(本名不明)。右腕を骨折したBJの入院先で働き、彼に恋をする。
……なのだがなぜか単行本のキャラクター紹介でモデルがかかれていない。上記はアニメEDにて発覚している。

 

同姓同名の芸能人がいるが一切関係はない。



  • 藪正人
CV.遊佐浩二
近所に病院を構える壮年の医師。学生のため表立って医療行為ができない黒男がよく病院を利用している。
年齢は不明だが24年前に太平洋戦争のニューギニア戦線に新米軍医として同行したので、少なくとも40代以上である。
戦地での体験がトラウマになり、血を見ると失神してしまう上に覚せい剤常用者となり借金もこさえていた。
しかし、ある出来事で黒男が生死に真剣に向き合おうとする姿を見て改心する。
自身を鍛えなおすため薬をやめ、戦争真っ只中のベトナムへ向かった。その後も黒男とは度々再会する。

 

黒男の気持ちをよく理解しているうえに小柄で表情豊かかつリアクション豊富で、舞子があまりヒロインっぽくないこともあって
読者からヒロイン扱いされることもしばしば。ヤク中であったことから メインヘロイン とも呼ばれたりする。
彼が中毒になったのはドラッグではなく覚せい剤のため、''メインヒロポン''が正しいのだが
アニメでももちろん登場。藪の安否を気にしてベトナムまで危険を冒して来た黒男を心配するシーンは、ヒロインの貫禄十分であった。
しかし8話を最後に登場せず、一部のファンを絶望させた。

 

モデルは原作「きたるべきチャンス」で登場する綿引博士。特に病気でやつれた顔はヒロポン中毒時の藪そっくり。



  • 立入灯郎
CV.東地宏樹
借金の取立屋。黒男や藪の債権を握っており、度々借金返済を迫る。
金がないなら黒男の母親の生命維持装置を切れといったり、生命保険による自殺を示唆するなど容赦のない性格。
しかし情が全くない訳でもなく、アニメ最終話ではすっかり考え方の変わった黒男をみて驚いていた。
黒男がブラックジャックになった後は、彼に裏社会のボスの手術を要請するも失敗し、追われる身となっている。
なお、彼を追った人物は原作の「指」に登場する間久部縁郎である。

 

外見は手塚諸作品に度々登場するアセチレン・ランプ。



  • 軍医キリー
CV.諏訪部順一
「ベトナムにて」で初登場。短髪のアメリカ軍軍医。
患者の命を救うことに情熱を燃やし、そのためなら自らの危険も省みない。
患者に対しては敵味方の区別もせず、どんな重症でも最後まで諦めないなどまるで原作のブラックジャックのようである。
経験則から独自の医療品を作成するなど、その技術力も高い。
黒男のことはまだ免許もない若造と馬鹿にするも、後に意気投合して、絨毯爆撃寸前の危険な場所で手術を共に行った。



本名はキリコ。お察しだろうがあのドクター・キリコの若かりし時代である。
安楽死というある意味「諦め」の手段を用いる原作の彼とは大幅に性格が違い、読者を驚かせた。
ただし、笑い方はそっくりである。

 

黒男が帰国した後もベトナムで軍医を続け、「ホアの日記」で再登場。
ベトナム人の女医ホアと意気投合するも、紆余曲折の末に彼女は大量の放射線を被爆してしまう。
対処法もなく日々弱っていく彼女を見て、キリーはとうとう……




▲複数の話に登場する人物



  • レイモンド
CV.井上倫宏
「拉致」に登場したフィリピン人男性。白血病を患う娘の治療費のために日本に密入国していた。
移植直前に患者が死亡するが、黒男が整形手術でレイモンドを患者そっくりに整形したことで(原作1話「医者はどこだ!」と同じ案件)
以降金山として生きていくことになり、時折黒男に金銭援助を行う。

 

モデルは原作「裏目」で登場した黒人サミー。こちらでも陰謀にまきこまれ大怪我を追っている。



  • 青山
CV.豊口めぐみ
脱走兵」で初登場した女性。べ由連(ベトナムに自由を市民連合)の新左翼であり、ベトナム脱走兵を支援していた。
脱走兵のスミスが脳浮腫に陥るが、脱走がばれるため公共の病院が使えず、学生である黒男に治療を依頼する。
自分の目的のためなら他人の都合を省みない高圧的で傲慢な発言を繰り返し、黒男を激怒させた。
その後もより過激な革命運動へ身を投じ「狂騒の季節」で再登場。顔に傷を負いながらブラックジャックに今上エリの治療を依頼した。
これらの経験より、黒男は「手術は前金制にする」「安易に引き受けず、慈善事業はしない」ことを学んだ。

 

モデルは『バンパイヤ』の岩根山ルリ子。原作ではU-18の製作者ワットマン博士として登場した。



  • CIAの男/ヒューゴ
CV.武内駿輔
「脱走兵」で初登場。CIAに所属する強面で眼鏡をかけた男性。
CIAの職務に忠実で冷徹だが、全く情がないわけではない。
ある事情で黒男に仲間を助けられたため、無免許医療行為で捕まった彼を釈放し、犯罪記録を抹消した。
同時に医学生の身で優れた技術力を見せた黒男に興味を持つ。
「苦痛なき革命」で再登場。アメリカの闇を知る後述のリーゼンバーグ教授に、発覚したら始末すると警告をした。
「囚われの間に」でも登場。裏社会でも身を追われたブラックジャックの才能を惜しみまだやりなおせると声をかけるも、
失意のそこにいたブラックジャックは耳を貸さず、路地裏へと消えていった。

 

モデルは『人間昆虫記』の釜石桐郎。
アニメのCVが当時アイドルPとして名を上げた人物であったため、彼の裏家業の姿と言われたりもした。



  • 今上エリ
CV.悠木碧
「狂騒の季節」で初登場。学生運動に身を投じる女性で、集団の中にいても反対を貫ける芯の通った面を持つ。
顔の傷を黒男が治療したことで親しくなり、彼に恋心を抱くが、次第に彼とのすれ違いが多くなる。
後にあるシーンをみたことで失恋し、折り悪く学生運動時のリーダーに誘われたことで統合赤軍の活動に身を投じてしまう。
そこで「反省」という名のリンチをうけた青山をかばったため、自身もリンチを受け虫の息に。
ブラックジャックが駆けつけるも治療の甲斐なく死亡。この一件は彼の心に深い傷を残した。
黒男がボンカレー好きになった話でも登場する。彼に笑顔を向けるが、彼女の結末を知る読者は悲しい気分になったとか。

 

アニメでは最終話に登場。尺の都合で彼女の心理描写がばっさりカットされている。
そのためアニメのみの視聴者には、好奇心で社会運動に乗っかった軽い女性と思われがちでもある。

 

モデルは『リボンの騎士』のサファイヤ。



  • 百樹丸雄
CV.宮野真守
「無残帳」で初登場。本越大学にやってきた講師。
以前は帝都大学で働く優秀な外科医だったが、交通事故で四肢を失って職を追われている。
黒男の恩師である本間丈太郎や、黒男とは旧知の仲であり彼のリハビリも見てきた。
特殊な義肢を開発し外科医として再起を図るも、それをよく思わない帝都大学の面々の陰謀により失敗し、失意の底に陥る。
後に彼が四肢を失った事故も彼らが原因と知り、残酷な復讐に走ってしまう。
丸雄自身は権力に興味はなかったが、彼が医学部の権力争いの闇に飲まれて狂った姿をみたことが、黒男が権力を嫌う一因になった。
アニメでは書かれなかったが、黒男の事故の原因となった復讐相手5人のことを知っており、彼に復讐の道を歩ませる最後の後押しをした。

 

モデルは『どろろ』の百鬼丸。そのほか「無残帳」には『どろろ』をモデルにするキャラクターが大勢登場する。
義肢に様々なギミックを仕込み、相手の四肢を奪って自身に移植しようとする姿はまさにモデルそのもの。
なお、原作にも百鬼丸がモデルのスターシステムのキャラは出ているが、彼らとは無関係である。



▲ほかの作品に登場する人物

 

  • リーゼンバーグ教授
CV.山野井仁
「苦痛なき革命」で登場。黒男がアメリカ滞在中に師事した脳医学の権威。
その大きな鼻がどうやってマスクに隠れてたんだという突っ込みはなしで。
脳医学の権威だが骨折の手術も一流で、また精神医学についての論文も書いている。

 

誠意ある人物だが、かつては「ドクター・リンゲ」の名でナチスの化学兵器実験に関っており、その課程で人体実験もしていた。
その被験者である無痛症のジョニーが現れ、彼によって人体実験の秘密発覚を恐れたCIAによりジョニー共々狙われるも、
彼の無痛症を治療することで証拠がなくなり、彼の命を救って見せた。
黒男はリーゼンバーグの技術に近づくため医学生という立場を隠して手術に協力しており、
その技術のためなら法を意に介さない倫理観を、かつて人体実験に明け暮れた自分と同じで危険なものだと危惧した。

 

スターシステムによる登場ではなく、『ミッドナイト』に登場するリーゼンバーグ教授その人である*1
そちらでは後に被験者が病院に押しかけ、彼ともみあいになり道連れになってしまった。



  • トマス・ウィリアムズ
CV.高橋英則
「苦痛なき革命」に登場するベトナム戦争帰還兵。戦地での原因が元でPTSDとなり、藪とともにリーゼンバーグの元を訪れる。
そこで黒男や舞子とも知り合い、ジョニーについての情報を提供した。
後にPTSD克服には人生を掛けるほどの強い目的が必要と知り、役者業を目指すことになる。

 

『七色いんこ』の「ピエロのトミー」であり、その生き様は同作主人公の七色いんこに受け継がれていった。
アニメではPTSDで苦しむ際に藪と同じベッドで寝ていたため、視聴者からは 現地妻 浮気相手 などと呼ばれてしまった。



▲その他

 

  • 本間丈太郎
「傷だらけの17歳」で登場。皆ご存知であろうブラックジャックの執刀医で彼の恩師。
黒男が手術の後遺症で背骨に異常をきたしたと知り、海外から駆けつける。
独自開発の人工骨を用いて無事に手術を成功させるも、最後の段階で助手たちに全員外に出るよう指示する。
意図のつかめないまま全員出て行き、オペ室に一人残った丈太郎が黒男から取り出したのは……。

 

  • 如月めぐみ
研修医時代のブラックジャックの恋人。セリフなどはないが、彼女の存在は決して無視されていない。
あるシーンを今上エリがこっそり見ており、彼女が失恋から破滅に向かうきっかけになってしまった……。

 

  • ピノコ
おなじみ奇形嚢腫から生まれた自称ちぇんちぇーのおくたん。11巻でついに登場。
雪山へある人物を探しに行くブラックジャックの後を勝手についてきた。独特なピノコ語の再現度はあんまり
目的の人物が女性とわかると怒ってつっかかるなど、嫉妬深い性格は変わらない模様。

 

  • 手塚治虫
作者その人。原作でもちょくちょく登場し、締め切りに追われる「シメキリ病」を発症したり、テロ犯人と疑われているさなか警察署で漫画を書かされたりしていた。
短編「ヤバい男」で登場し、病院にてベッドで横になりながら漫画を書き続けていた。
漫画に対してはどんな状況でも死ぬまで書き続けるという強い信念を持ち、その姿勢はある問題に直面していた黒男を勇気づけた。
ちなみに書いていたのは「やけっぱちのマリア」。
ハレンチ学園のブームに乗ったエログロナンセンスな描写の多いアバンギャルドな作品であり、週刊少年チャンピオン創刊時の作品である。



ほかにはゲラ、山田野教授、辰巳先生などが回想や台詞、チョイ役などで登場している。
同期の友人の手塚などは未登場。




余談

  • 単行本巻末の年表では、黒男は1946年生まれとなっている。
    1965年に医大に入学し、漫画1話の1968年では彼は4年生である。
    これは1973年の原作連載にあわせたためであるが、単行本5巻で時系列に間違いが出てしまっている。
    (1970年に研修医となった黒男をエリが見かけるとあるが、この地点で彼はまだ6年生(医学生)のはずである)
    そのことに作者側も気づいたのか、12巻の年表ではエリが研修医となった黒男を見かけたのは1971年に変更されていた。
    辻褄こそ合うようになったが、同年7月には免許をはく奪されたうえでの行動を起こしているため、彼が正式な医療行為を行えた期間は わずか4か月もない ということに…。

 

  • アニメ11話のエンドカードを手塚治虫風の絵柄で知られる田中圭一氏が担当した。
    彼は、同時期爆発的人気であり無断パロディで知られる『おそ松さん』風のイラストを描いたため大変な反響があった。
    この反響は公式でも予想していたのか、事前にもTwitterにて含みのあるコメントがされていたが、
    治虫氏の娘である手塚るみ子氏から「 元祖無断パロディ作家の意地を見せたな 」という皮肉をこめた賛辞を送られたことにより、
    公式Twitterにて改めて謝罪をするに至った。




「俺が、手を貸す」

 

「君は追記修正免許をもっていないだろう?」

 

「それがどうした!」

白い死神

2023-11-23 09:21:14 | 事件

 

登録日:2022/02/24 Thu 00:33:00
更新日:2023/11/22 Wed 03:16:44
所要時間:約 10 分で読めます

 






生きものは死ぬときには自然に死ぬもんだ……

それを人間だけが……無理に生きさせようとする

どっちが正しいかねブラック・ジャック




ドクター・キリコとは、漫画ブラック・ジャック』の登場人物である。

 

CV山路和弘(OVA版)、速水奨(TVアニメ版)、鹿賀丈史(劇場版)、若本規夫(劇場版予告)、田中秀幸(インターネットアニメ)、清水紘治(ラジオドラマ)、諏訪部順一(『ヤング ブラック・ジャック』)
演:草刈正雄(ビデオ版)、森本レオ(本木雅弘版)、小澤征悦(『ヤング ブラック・ジャック』)



■概要

本作の準レギュラーキャラクター。
「ドクター・キリコ」は通称で本名は不明。長髪と左目の眼帯、およびこけた頬が特徴的な、不気味な雰囲気を漂わせる男性。年齢は不明だが少なくとも30代以上か。
一人称は原作では「おれ(俺)」だが、媒体や加筆によって異なる場合もある。

 

回復の見込みのない患者の安楽死を請け負う異端の医師で、「死に神の化身」の異名を持つ。
どんな命も救おうとするブラック・ジャック(以下「BJ」)とは対極の存在で、「医師の使命とは何なのか」「患者を延命させることが本当に幸福なのか」という本作品のテーマを、BJとは違う形で体現したキャラクターである。

 

200話以上あるエピソードの中でわずか9回しか登場しない*1が、安楽死に反対するBJとは対になる存在で人気は高く、キリコを主役に据えたスピンオフ作品『Dr.キリコ~白い死神~』も作られている。

 

 

親族には「ユリ」という名の美人のがいる。父もいたが……(後述)
また、山本賢治によるリメイク版ではピノコにあたるような幼女の助手を連れている。
ちなみに『99.9%の水』を原作とするエピソードでは妹も助手もBJによって全裸にされる。



■人物

元々は歴とした軍医として活動していた*2
しかし、満足に医薬品も用意できないような戦場でキリコが見たのは、手足がもがれ胸や喉が潰されるような重傷を負いながら、なお死ぬことができず苦しむ兵士達の姿だった。
もはや助かる見込みは無いからと、兵士達を毒薬で安楽死させたが、彼らは恨むどころか「ありがとう」と心から感謝しながら死んでいき、他の瀕死の兵も次から次へと彼に「救い」を求めてくる……。
この経験から「助かる見込みの無い患者を下手に苦しませ続けるのなら、安らかに息を引き取らせるべき」という信念を持つに至り、法律にふれないように安楽死を請け負うようになった。

 

安楽死に使うのは薬物から特殊な超音波を発する機械など様々で、使える物は何であれ積極的に取り入れる。
これらを調達する資金に充てるためか報酬も取るが、その金額については「いかに気持ちよく死ねるか」で上下するらしく、ある寝たきりの女性に依頼された際は100万円を要求していた。

 

BJからは「殺し屋」と侮蔑され、死神という異名から、一見安楽死させるのを楽しんでいるように思われる。
が、キリコは決して殺人に快楽を抱く殺人鬼や自らの行為を正しく認識できないサイコパスなどではなく、むしろ医師としての責任感・倫理観はしっかり持ち合わせている*3
キリコにとっての安楽死とは「本人が生き続けようとする意志を持たず、かつ、医学的にも手の施しようの無い患者に対する最終手段」で、事実、作中で彼が安楽死させようとしたのは、BJでもなければ手に負えない末期患者のみ。
ただBJにとっては「まだ助かる見込みがある相手」であるため、彼からの批判も間違ってはいない*4

 

では本来のまっとうな医療技術についてはどうなのか、というと腕はむしろ良い方。後述のキリコの父親の件では、BJも
「キリコの腕前であればありとあらゆる方法で治療を試みた筈であり、この患者の治療するのは並大抵のことではない」
と覚悟していたことからしても、彼程の医師もキリコの腕前には一目置いていることが窺える。

 

そもそも、キリコ本人も「治せる患者は治す」としっかり明言している。
『死への一時間』では、誤って安楽死用の薬を服用してしまった患者を助けるために尽力し、救命後にBJから「どうだい大将 殺すのと助けるのと気分はどっちがいい?」と皮肉られた時には、



ふざけるな おれも医者のはしくれだ

 

いのちが助かるにこしたことはないさ……



と答えており、BJとは確かに思想的には相容れないながらも、本質は彼と同じく命を尊ぶ医療人なのだ。
『浦島太郎』では55年間肉体の老化が止まったまま昏睡していた患者を巡って、意地を張り合うような形でBJ→キリコの順で処置をすることになった際も、患者の訃報を聞いて*5驚いた様子を見せている。結果的に二人とも患者のことを考え切れていなかったことを突きつけられ、「おれたちはばかだっ」と叫ぶBJと共に落胆することとなった。

 

なお安易な自殺の幇助は絶対にしない。
「普段やっている事も結局はそうじゃないか」と思いがちだが、キリコにとっての安楽死とは、先述のようにたとえ延命したとしても物理的に苦痛以外に有り得ない絶望的な人間に対する「救済」で、健康な人間の一時の落ち込みなどからの「逃避」とは別物。
実際『小うるさい自殺者』にて、中二病を拗らせた甘ったれた動機で自殺したがる少年をBJが当て付けのように寄越してきた際、キリコは「おれの仕事は神聖なんだ!」と激怒し拒絶した。*6
少なくとも「学校でクラス中からいじめられてもう生きるのが嫌」「これ以上頑張っても極貧生活から抜け出せそうにないから」程度の理由では、どれだけ懇願されようと金を積まれようと引き受けはしない。

 

一方で「安楽死させるかどうか」の線引きはしっかり行うものの、一度そうするべきと判断した場合は「少しでも早く楽に」という考えから、迅速に安楽死を強行しようとする悪癖がある。*7
『弁があった!』にて、自身の父親が縦隔気胸で苦しんでいた際も、5年に渡って最善を尽くすも原因が特定できず安楽死を決意。
実行前に妹のユリの依頼でBJが執刀し、今まで誰にも分からなかった気胸の原因をなんとか見つけ出し、後は治すのみだった。
……が、立ち会っていたキリコは原因を見つける直前に見切りをつけて毒薬を注射してしまうという大失態を犯していた。
異変に気付いたBJによる懸命の処置も虚しく父親は死亡。成功を確信して嬉し涙まで流していたユリは違う涙で泣き崩れ、助けられたはずの患者を殺されたBJは「命をなんだと思ってやがるんだ!!」と激昂してキリコを張り飛ばし、彼もこの時ばかりは自身の行いを後悔し項垂れるしかなかった。
しかし根本的なスタンスは変えず、『99.9%の水』では自分自身が奇病で死の淵に立たされた際も拡散を防ぐために自ら安楽死する気だった*8

 

ちなみに、初登場エピソードである『死に神の化身』初掲載時は「なおして役に立ちそうな病人はかならずなおす そのかわり なおしても役に立たんやつはえんりょなく殺す!」「自殺したがっている奴も殺した」などと、今のキャラクターとは大分かけ離れた発言をしている。
このエピソードは単行本化された際に『恐怖菌』と名前を変え内容も大幅に変わったが、その際に前者のセリフは「俺だって殺してばかりはいやしない なおせる相手ならなおすよ やせてもかれても一応は医者だからな」と改変され、また後者のセリフはカットされた。



■OVA版

出崎統が監督を務めたOVAシリーズでは、カルテⅣ『拒食、ふたりの黒い医者』にて登場した。
原作と違い、常に敬語で話す落ち着いた印象の人物になっている。自分で作曲したり名前を求められたりした時に「モーツァルト」と名乗って「…良いじゃないですか、それで」と捨て台詞を置いて立ち去るなど気障な所も。

 

このエピソードでは、冒頭で登場した際こそ、BJが受け持っていた大富豪を翌日に手術する予定があったにも関わらず安楽死させたものの*9、原因不明の拒食症に苦しむ女優・ミシェール・ロシャスを助けるため、いち早く原因を突き止めその情報をBJに提供し彼の手術の手助けをする、ミシェールから苦しみのあまり(当人と知らず)安楽死を請け負う医者を教えて欲しいと尋ねられた際に「お金がかかるんでしょう?(=BJに手術費を払うので自分に払う分は残らない)」と遠まわしにそれを断るなど、「治せる患者は治す」スタンスが特に強調されている。
中盤でミシェールが単独で外出するも衰弱のあまり事故を起こした際は、彼女を介抱し点滴で応急処置をしたり朝食を勧めたりと世話焼きな面も見せており、その中で彼女の身体に出来ていた特徴的な斑点で彼女の拒食症の原因に勘づいて資料を読み漁り、それが大戦中に開発された生物兵器の生き残りであることを特定。
「毒物のプロ」としてこの情報を提供しなければ、BJ単独ではどう足掻いても彼女を救う事は出来なかった。
その為かBJとも原作ほど険悪な関係ではない。



■TVアニメ版

アニメ本編にはOPに映っていたにもかかわらず未登場だったが、映画『ふたりの黒い医者』ではBJと共に主役を務める。
TVアニメ2期『ブラック・ジャック21』にもユリ(CV:久川綾)と共に登場。父親が永遠の命を求める「ノワール・プロジェクト」の関係者になるなど設定が追加されている。



■実写版

ビデオとしてリリースされた単発ドラマシリーズの3作目『ブラック・ジャック3 ふたりの黒い医者』に登場。
「人間は死には勝てない」と絶望から理想主義を捨てた経緯を語るなど、退廃的な雰囲気を漂わせる。
原作の『浦島太郎』を元にしたエピソードでは、BJと共に絶望した原作とは一転、患者を結果的に死に追いやった彼を嘲る。
しかし、BJが医者としての決して譲らない信念を示すと穏やかな表情で再会を誓うなど、かつての自分と違い理想を追い続ける彼に対する敬意の一面も覗かせた。
BJもキリコに対して、原作での敵意むき出しの態度とは異なり最後まで真摯な態度で応じていることから彼を認めている節が伺え、原作以上に複雑な関係として描かれている。

 

TVドラマの本木雅弘が主役を務めた単発ドラマシリーズでは、カルテⅢ『悲劇の天才料理人』にて登場。
BJの手術に立ち会って煽ったり、手術の成功後にかつての患者が死んだことを伝えたりするなどライバル心をむき出しにしている。
最終的にBJに対して敗北を認めるが、「生きることが辛い患者に対しては俺の方が上だ」と語り最後までブレないライバルキャラを貫いた。

 

岡田将生主演のTVドラマ『ヤング ブラック・ジャック』にも登場。
しかし、こちらはもはや完全に別物となっており、原作の面影はほとんどない。



ところで……この記事はだれが追記・修正してくれるのかな ずーっとたどってみるとどうもおまえさんらしいな

 

ばか せっかくの気分をぶちこわすな!!
 
 
 

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登録日:2022/03/06 Sun 22:01:00
更新日:2023/03/09 Thu 22:26:25
所要時間:約 6 分で読めます

 



 

『Dr.キリコ~白い死神』(原作:手塚治虫 脚本:藤澤勇希 漫画:sanorin)とは、手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』のスピンオフ作品。
同作に登場する安楽死専門医ドクター・キリコを主役にした1話完結型の医療漫画。全5巻。

 

概要

安楽死専門医が主役の医療漫画という事もあり、人の生死を巡る人間ドラマが展開されることが多い。原作のエピソードが回想として語られるシーンはあるが、世界観は現代社会がベースになっているためノートパソコンやスマートフォンも普通に登場する。
また、幽霊や精霊などのオカルトが度々登場するが、実は原作からして心霊手術などそういう存在は登場していたりする。
なお、本作にブラック・ジャックはほとんど登場しない。



登場人物

「よく勘違いをされるんだが…確かに私は金次第で安楽死を請け負う”死神”などと呼ばれていますがね……。俺は死神ではあっても殺し屋じゃない。人に頼まれて他人の命を奪うなんてなぁ、医者のやる事じゃありませんや…」

ドクター・キリコ

主人公。手の施しようのない患者を救済する方法の一つとして安楽死を請け負う元軍医。
日本だけでなく世界中にその名は広まっており、日本の田舎町から海外の戦場まで幅広く活動している。

 

安楽死を請け負ってはいるものの本質的には患者を救いたい医師であり、治せる見込みのある患者であれば治すという原作のキャラクターはしっかりと踏襲されている。
本作ではキリコが依頼を受ける条件として
①助かる見込みがないこと
②生きているのが苦痛であること
③本人自らが死を望んでいること
が設定されていて、特に重い病気というわけではない相手に自分の安楽死を依頼されたり、患者の関係者に本人に無断で安楽死を依頼されても上記台詞のように断るシーンが多い。
一応全く融通が利かないというわけではなく、相手の状況次第では上記の条件に当てはまっていなくても引き受けることはあるが、非常に稀。

 

眼帯の下に義眼代わりに高性能カメラを仕込んでおり、それを使って密かに撮影した映像を武器に窮地を脱することがある。



「父ちゃんを殺したのはキリコだろ?」

白河郁馬

ピノコ枠その1。貧乏な父子家庭に育った小学4年生。
郁馬が幼い頃に母が病に倒れ、その治療費と葬儀代で預金は消滅。父も体を壊してしまい日雇い仕事しかできないという家庭で育ったために家事が得意で勉強が苦手。
初登場時に虫垂炎と腹膜炎を併発していたところをキリコに手術されて回復した。

 

しかしその治療代130万円を払うために頑張っていた父が糖尿病性腎炎に倒れ、保険に入っていなかった彼は大病院に治療代として2520万円を請求されてしまう。
ひとまずキリコが立て替えることになったが、郁馬にこれ以上苦労を掛けたくなかった父は密かにキリコに自分の安楽死を依頼。
キリコは病院側のミスに見せかけて依頼を遂行したため、病院は医療ミスの発覚を恐れて3000万円の口止め料を郁馬に渡すことになる。

 

実はキリコと父の会話を郁馬は聞いていた。
父の遺志を尊重してキリコを憎むことはせず安楽死の料金を払おうとしたが、キリコはバレにくさを重視して安らかに死なせなかったとして料金を請求しなかった。
その後はキリコの家に押しかけて同居を認めさせ、家事を担当することになる。



「死んでない!約束したんだから!あたしが医者になって絶対母さん治すって!!それまで絶対生きてるって!!」

存尾美亜

ピノコ枠その2。郁馬が転入した小学校のクラスメート。
貧乏な母子家庭に育ち、その貧乏さを理由にクラス内で避けられていた。彼女の苗字は「ありお」と読むが、同級生たちには「ゾンビ」と呼ばれている。
本人は気にするそぶりも見せていなかったものの、長期間そうされてきたためか人間不信なところがある。

 

2年前に母親がALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を発症。闘病の甲斐なく3ケ月ほど前に帰らぬ人となってしまう。
しかし美亜は母の死を受け入れることができずにその後も遺体と一緒に住み続け、その死臭が身体に染みついたことでクラス内での扱いがさらに悪化。
父親を失ったばかりで人の死に敏感になっていた郁馬はその臭いによって美亜の母が死んでいることに薄々勘付き、キリコにそれを相談。
キリコが大病院に押しかけてカルテを見た上で美亜を「お母さんは自分のせいで娘に辛い思いをさせている事に苦しんでいる」と説得し、遺体に注射することで『安楽死を施して安らかに死なせてやった』という形にして弔った。
その後は転校したのか、郁馬と共にフリースクールに通う傍らでキリコ宅に入り浸るようになる。

 

実は彼女の母は資産家の娘であり、結婚を反対されたために家を出たという過去があった。
叔父たちが迎えに来たことでそれが発覚するも、自分が祖母の遺産の相続人に指定されていること、叔父たちはその遺産を目当てに近寄ってきたことを知って見切りをつけ、祖母の「お前はお前が一緒にいたい人のそばにいればいい」という遺言に従って遺産を放棄。
キリコ達のもとへ帰ってきた。



「意志薄弱はね。一生治らない不治の病さ」

六道善優

六道ファイナンスのイケメン社長。
表向きは真っ当な経営者を装っているが実は裏社会に通じており、自ら他人を射殺しても顔色一つ変えない。
善人とはとても言えないが、どこか憎めない性格で悪人であるとも言い切れない人物。

 

金融業で貸し付けた客のうち、返済が滞って改善の見込みもない者を殺し保険金で回収するビジネスを考案して実行していたが、自分達よりも確実な実行者としてドクター・キリコに目をつけスカウトしようとする。
しかし安楽死はあくまで患者を救うための医療行為という信念を持つキリコにはにべもなく断られた。上記の台詞はその際に債務者を指して言った言葉。
その後も度々キリコの前に現れてはあの手この手でスカウトしようとするもキリコにはかわされている。

 

物語終盤、いつものように保険金ビジネスで殺害した人物が実は海外マフィアのボスの親戚だったために追われる事態に陥ってしまう。
繋がりのあったヤクザもマフィアとの取引の方をとって六道を見捨ててしまったため、キリコのもとへ逃げてくる。彼の目的はマフィアによる生き地獄を味合わされる前にキリコに安楽死させてもらうことだったがキリコは拒否。
すると自分との繋がりをマフィアに話すと脅し、郁馬たちを人質に取る形でキリコ邸に居つくことになる。

 

その後、つかの間の平穏な日常を楽しんでいた六道だったが、マフィアの手はキリコ邸にも伸びてきた。
郁馬と仲良くなった六道は彼を守るために覚悟を決めてキリコ邸を去ろうとするも、その姿を見たキリコが六道の顔に整形を施したために逃げ切ることができた。
しかし六道本人は安楽死をしてもらうつもりだったのに無断で整形をされた上に、整形された顔が不細工な中年男性だったために感謝しつつも苦言を呈している。



「兄さん!!あなたにこれ以上人を殺させたくないの」

ユリ

原作にも登場したキリコの妹。
キリコの稼業をやめさせたい一心で医学の道へ進み、カナダで心理療法と麻酔を学んで終末医療緩和ケアのエキスパートとなる。
しかし皮肉にも医者となったことでキリコのやっていることの意味とそれを求める人々のことを理解できるようになってしまった。

 

後に海外で医療に従事するようになるが、とある中東の村での活動中に不法投棄された核燃料イエローケーキによって被爆し、全身を癌に侵されてしまう。
昏睡状態になる前に最後の意識で夫にキリコへの依頼を託し、キリコに再び「肉親の安楽死」という試練を突き付ける。
キリコはこれを父を殺した自分への復讐だととらえたが、彼女の真意は……。






「お引き受けするには条件があります。改善の見込みがない事、記事を読むのが苦痛である事、そしてなにより本人の意志である事。その条件を満たすなら安らかな追記・修正を約束しましょう…。記事の幸福と尊厳のために死神キリコが―…ね」