登録日:2017/07/04 Tue 08:05:24
更新日:2023/08/31 Thu 11:20:26
所要時間:約 6 分で読めます
更新日:2023/08/31 Thu 11:20:26
所要時間:約 6 分で読めます
▽タグ一覧
R15+ どうあがいても絶望 どんでん返し なんだよこの展開… サスペンス シグナル100 デスゲーム ホラー 人間のクズの温床 催眠術 学園 実写化 宮月新 性格に難があるキャラしかいない 映画 東映 橋本環奈 渡辺雄介 漫画 竹葉リサ胸糞 自殺 身勝手な人間達 邦画
R15+ どうあがいても絶望 どんでん返し なんだよこの展開… サスペンス シグナル100 デスゲーム ホラー 人間のクズの温床 催眠術 学園 実写化 宮月新 性格に難があるキャラしかいない 映画 東映 橋本環奈 渡辺雄介 漫画 竹葉リサ胸糞 自殺 身勝手な人間達 邦画
「シグナル100」とは宮月新によるデスゲーム系サスペンス・ホラー漫画である。
2020年1月に橋本環奈主演・竹葉リサ監督・渡辺雄介脚本・東映配給で映画版が公開された。
■あらすじ
私立聖新高等学校の2-c……そこは気弱な教師に付け込み、不良生徒「和田」をリーダーとしてクラス全員が好き勝手に振舞う学級崩壊を起こしていた。
担任教師「下部」は生徒たちからは「下僕」と呼ばれ、同僚の教師達からは一切味方されず、一人絶望に耐えていた。
しかし、それもある日限界を迎える。
下部は金を餌に生徒全員を視聴覚室に集めて閉じ込め、遠隔操作で謎のビデオを流す。
担任教師「下部」は生徒たちからは「下僕」と呼ばれ、同僚の教師達からは一切味方されず、一人絶望に耐えていた。
しかし、それもある日限界を迎える。
下部は金を餌に生徒全員を視聴覚室に集めて閉じ込め、遠隔操作で謎のビデオを流す。
いつの間にか気を失っていた生徒たちが目を覚ますと、そこには下部。騙したことを憤慨した生徒が下部に殴りかかると、突如顔を黒板に叩き付けて死んでしまう。
下部は語る。
自身が学んだ心理学を応用して本来不可能な自殺を引き起こすレベルの催眠を仕掛けた、と。
自分たちが散々謳歌した「自由」の振る舞いのなんらかを「自殺シグナル」として自殺するようになっており、その数は100である、と。
そして、一人以外のクラスメイト全員の死を見届けた時、その催眠は解除される、と。
そこまで説明すると、生徒にデスゲームを仕掛けた自分に生きる価値はないとし、自殺してしまう。
下部は語る。
自身が学んだ心理学を応用して本来不可能な自殺を引き起こすレベルの催眠を仕掛けた、と。
自分たちが散々謳歌した「自由」の振る舞いのなんらかを「自殺シグナル」として自殺するようになっており、その数は100である、と。
そして、一人以外のクラスメイト全員の死を見届けた時、その催眠は解除される、と。
そこまで説明すると、生徒にデスゲームを仕掛けた自分に生きる価値はないとし、自殺してしまう。
かくして、一切の手掛かりがない状態で文字通り一歩間違えば死に至る絶望的なデスゲームの幕は上がった
■自殺催眠
主要人物である学生達は、主犯によって超強力な催眠術をかけられており、特定の行動を取ると抗うことすらできずに自殺してしまう。その行動の数は100。
窓から飛び降りるなどの分かりやすい方法だけでなく、黒板に顔がひしゃげるほどの力で頭を叩き付ける・顔の皮を剥ぐといった人間の力でありながら凄まじい力で行使されたりなどの方法で確実に死に至る。
最初に明かされた解除条件はデスゲームお馴染みの「最後の一人になったら」であるが、それ以外にも途中で発生するボーナスゲームをクリアすれば多くの人間は助かる。
「特定の行動をしたら自殺する」「ゲームに成功すれば、一部を除いた全員が助かる」というように、よくあるデスゲームとは真逆に近いルールとなっている。
窓から飛び降りるなどの分かりやすい方法だけでなく、黒板に顔がひしゃげるほどの力で頭を叩き付ける・顔の皮を剥ぐといった人間の力でありながら凄まじい力で行使されたりなどの方法で確実に死に至る。
最初に明かされた解除条件はデスゲームお馴染みの「最後の一人になったら」であるが、それ以外にも途中で発生するボーナスゲームをクリアすれば多くの人間は助かる。
「特定の行動をしたら自殺する」「ゲームに成功すれば、一部を除いた全員が助かる」というように、よくあるデスゲームとは真逆に近いルールとなっている。
■主要人物
- 下部
今回の事件の犯人である教師。何とも不気味な風貌をしている。
心理学を専攻しており、その豊富な知識を買われて赴任するも気弱な性格が災いして生徒たちの言いなりになってしまっている。
「下部(しもべ)」をもじって「下僕(げぼく)」と呼ばれているなど、その扱いたるや凄惨な域に到達している。
その有様に憤慨した校長に首をちらつかされたことでとうとう限界を迎え、凶行に至る。
心理学を専攻しており、その豊富な知識を買われて赴任するも気弱な性格が災いして生徒たちの言いなりになってしまっている。
「下部(しもべ)」をもじって「下僕(げぼく)」と呼ばれているなど、その扱いたるや凄惨な域に到達している。
その有様に憤慨した校長に首をちらつかされたことでとうとう限界を迎え、凶行に至る。
実はとあるカルト教団の中枢にも関与しており、その技術も使って強力な自殺催眠をかけた。
己の行いの責任を取って自殺してしまうが、事前に催眠によって意識下に焼き付けられた映像と音声が特定の時間に再生するようになっており、度々姿を見せる。
己の行いの責任を取って自殺してしまうが、事前に催眠によって意識下に焼き付けられた映像と音声が特定の時間に再生するようになっており、度々姿を見せる。
薄ら笑いを見せつつも、いつまでもゲームをクリア出来ない生徒達を嘲笑いもせず淡々と説明を続ける様は何とも言えない不気味さを発揮している。
- 樫村
主人公1。クールな女子生徒。
クラスメイトも下部も一纏めに内心馬鹿にしつつ、特に何もせずに漫然と過ごしていた。
周りに流されないように見えるが、彼女も下部を下僕呼ばわりしており、実のところただのエゴイスト。
それでもデスゲームにおいては自分は人殺しをしないことを公言し、それを遵守しようとする姿勢を見せる。
クラスメイトも下部も一纏めに内心馬鹿にしつつ、特に何もせずに漫然と過ごしていた。
周りに流されないように見えるが、彼女も下部を下僕呼ばわりしており、実のところただのエゴイスト。
それでもデスゲームにおいては自分は人殺しをしないことを公言し、それを遵守しようとする姿勢を見せる。
- 榊
主人公2。カリスマ性あふれる男子生徒。
樫村に熱烈な愛情を抱いており、彼女が助かるなら自分の命など二の次というレベル。
かつて、樫村に乱暴しようとした体育教師を殴ったことで学校に出ておらず、自殺催眠にかからずに済んだ。そのため、「クラスメイトの全滅」の条件にも入ってはいなかった。
しかし下部が彼を巻き込むようなルールを仕込んでいたため、樫村をサポートする意図もあってデスゲームに飛び込んでいくこととなる。
樫村に熱烈な愛情を抱いており、彼女が助かるなら自分の命など二の次というレベル。
かつて、樫村に乱暴しようとした体育教師を殴ったことで学校に出ておらず、自殺催眠にかからずに済んだ。そのため、「クラスメイトの全滅」の条件にも入ってはいなかった。
しかし下部が彼を巻き込むようなルールを仕込んでいたため、樫村をサポートする意図もあってデスゲームに飛び込んでいくこととなる。
- 和田
ある意味元凶の不良。率先して下部を苛め抜いていた。
デスゲームが始まってからは自分に歯向かうものは切り捨て、従うものでも時には利用してでもゲームを乗り切ろうとする。
一方、100のシグナルが歩行やトイレなどの基本的な動作を禁じてはいないであろうことを看破するなど、度胸と狡猾さによって率いるなど榊とは別のカリスマ性を持つ。
実は榊の天性のリーダー気質に強い羨望と嫉妬を抱いており、理由があれば彼を率先して殺そうとするなどの行動を取る。
デスゲームが始まってからは自分に歯向かうものは切り捨て、従うものでも時には利用してでもゲームを乗り切ろうとする。
一方、100のシグナルが歩行やトイレなどの基本的な動作を禁じてはいないであろうことを看破するなど、度胸と狡猾さによって率いるなど榊とは別のカリスマ性を持つ。
実は榊の天性のリーダー気質に強い羨望と嫉妬を抱いており、理由があれば彼を率先して殺そうとするなどの行動を取る。
■自殺シグナル
全てのシグナルは以下の通り(ネタバレ回避のために折り畳み)。
なお、50以降のシグナルはゲーム向けに用意されたもので、それまでと毛色が違うのには理由がある。
その中でも71以降は最終ゲームでのみ有効。また、下記の100個以外にも、最終ゲームの共通ルールとしてもう1つ自殺シグナルが存在していたりする。
全てのシグナルは以下の通り(ネタバレ回避のために折り畳み)。
なお、50以降のシグナルはゲーム向けに用意されたもので、それまでと毛色が違うのには理由がある。
その中でも71以降は最終ゲームでのみ有効。また、下記の100個以外にも、最終ゲームの共通ルールとしてもう1つ自殺シグナルが存在していたりする。
- |
001:他人に暴力を振るう
002:クラスメイト以外に視聴覚室で起きたことを伝える 003:鼻をつまむ 004:右足でボールを蹴る 005:校舎の廊下に座り込む 006:コーヒーを飲む 007:教師の前であくびをする 008:勃起した性器に手を触れる 009:大笑いする 010:つまずいて転ぶ 011:ジャンケンで負ける 012:ゴミ箱以外にゴミを捨てる 013:学校の外へ出る 014:両手を使ってぶら下がる 015:上履きを手を使って脱ぐ 016:自分の名前を書く 017:コンセントプラグを抜き差しする 018:ペットボトルで水を飲む 019:髪の毛を手ぐしでかき上げる 020:15秒以上無言で見つめ合う 021:階段を一段飛ばしで登る 022:くじを引く 023:25人以上のクラスメイトから一斉に指差される 024:手をつないで5歩以上歩く 025:携帯電話で写真を撮る 026:米を食べる 027:皿に入った料理を食べる 028:食器を落とす 029:地面におう吐する 030:イヤホンをつける 031:ドアを3回以上ノックする 032:小便をもらす 033:お金に手を触れる 034:校庭を走る 035:体育館に入る 036:懐中電灯を使う 037:トイレの後で手を洗う 038:眼鏡を床に落とす 039:歌を歌う 040:教科書に手を触れる 041:背中を書く 042:化粧品に手を触れる 043:歯を磨く 044:爪を切る 045:雑巾で床を吹く 046:ジャージに着替える 047:草をむしる 048:歩きながら食事をする 049:口笛を吹く 050:30秒以上息を止める 051:下着姿で土下座する 052:パチンコ玉を鼻に詰める 053:オモチャを口に入れる 054:画鋲を踏んだままジャンプする 055:私はアホですと100回言う 056:金槌を左足の上に落とす 057:賞味期限切れのチーズを食べる 058:右手をヤケドする 059:食用油を頭からかぶる 060:セロハンテープを顔に巻いて剥がす 061:顔にチョークの粉を塗る 062:右中指をドアに挟む 063:ハサミで髪の毛を切る 064:左太ももにペンを刺す 065:下前歯を一本折る 066:消毒用アルコールを目にかける 067:額にアホと書く 068:電球を手で割る 069:ゴキブリを握り潰す 070:左奥場でアルミホイルを噛む 071:左足から歩きはじめる 072:他人に手を触れる 073:笑顔を作る 074:怒る 075:立つ 076:走る 077:指差しをする 078:言葉を噛む 079:顔に触る 080:他人を疑う 081:手の平を合わせる 082:涙を流す 083:名前を呼ぶ 084:トイレに入る 085:初対面の人間と話す 086:ため息をつく 087:ジャンプをする 088:目をこする 089:咳払いをする 090:髪の毛に触る 091:金属に触れる 092:くしゃみをする 093:後ろを振り向く 094:汗を拭く 095:質問をする 096:右足から歩きはじめる 097:鼻をすする 098:あとずさりする 099:片目をつぶる 100:太陽の光を浴びる |
■以下ストーリー最終盤のネタバレのため注意!
2回のボーナスゲームは失敗に終わり、とうとうデスゲームは最終局面を迎える。
樫村と榊は下部や和田の思惑に振り回されつつ何とか生き残るも、榊はボーナスゲームの過程で首を絞められて気絶し、クラスメイト達は最後の仕掛のトリガーが引かれて昏倒。
夜明け前を告げるアラームによって目を覚ました時、全員の背中にはそれぞれ3つのシグナルが書かれていた。
それは今までのシグナルと異なり、「立つ」「走る」といった基本的な活動さえも制限する破滅的な代物だった。また、知り得たシグナルを他人に教えても自殺してしまう。
更に黒板に描かれていたのは「1時間後に生き残っている全員の自殺シグナルは共有される」という一文。
それまではほぼ全員の協力によって突破するようなゲームであったが、今度は1時間以内にできるだけ殺す必要があるという末期状態へと突入したのである。
樫村と榊は下部や和田の思惑に振り回されつつ何とか生き残るも、榊はボーナスゲームの過程で首を絞められて気絶し、クラスメイト達は最後の仕掛のトリガーが引かれて昏倒。
夜明け前を告げるアラームによって目を覚ました時、全員の背中にはそれぞれ3つのシグナルが書かれていた。
それは今までのシグナルと異なり、「立つ」「走る」といった基本的な活動さえも制限する破滅的な代物だった。また、知り得たシグナルを他人に教えても自殺してしまう。
更に黒板に描かれていたのは「1時間後に生き残っている全員の自殺シグナルは共有される」という一文。
それまではほぼ全員の協力によって突破するようなゲームであったが、今度は1時間以内にできるだけ殺す必要があるという末期状態へと突入したのである。
欺き、罠にはめ、他人をけしかけるといった間接的な殺し合いの中で樫村の命が狙われてしまう。
何故なら彼女に刻まれていたシグナルの一つは「太陽の光を浴びる」。数あるシグナルの中でも、時間経過で全滅してしまうという最悪のものだったのだ。
追い詰められた果てに下部にやってきたことを思い出し泣き喚き謝る樫村に魔の手が迫る中、気絶していたはずの榊が救う。
実は榊はクラスメイトが目覚めるよりも前に目を覚ましており、気絶した振りで動向を探っていたのである。
醜い争いを繰り広げるクラスメイト達に絶望した榊は、樫村以外を救うことを放棄し、満足に動けないクラスメイト達の虐殺を開始する。
和田の喉にカッターナイフを突き立て、残る一人を手にかけようとするも思わぬ逆襲によって自身も致命傷を負う。
残った一人が自殺シグナルによって死亡したことで終了に思われたが、和田はまだかろうじて生きていた。
榊は不殺を公言していた樫村に、太陽の光を浴びると死ぬ、生き残るために彼を殺せ、催眠解除がすぐに行われれば助かるはず、と告げて息絶える。
何故なら彼女に刻まれていたシグナルの一つは「太陽の光を浴びる」。数あるシグナルの中でも、時間経過で全滅してしまうという最悪のものだったのだ。
追い詰められた果てに下部にやってきたことを思い出し泣き喚き謝る樫村に魔の手が迫る中、気絶していたはずの榊が救う。
実は榊はクラスメイトが目覚めるよりも前に目を覚ましており、気絶した振りで動向を探っていたのである。
醜い争いを繰り広げるクラスメイト達に絶望した榊は、樫村以外を救うことを放棄し、満足に動けないクラスメイト達の虐殺を開始する。
和田の喉にカッターナイフを突き立て、残る一人を手にかけようとするも思わぬ逆襲によって自身も致命傷を負う。
残った一人が自殺シグナルによって死亡したことで終了に思われたが、和田はまだかろうじて生きていた。
榊は不殺を公言していた樫村に、太陽の光を浴びると死ぬ、生き残るために彼を殺せ、催眠解除がすぐに行われれば助かるはず、と告げて息絶える。
殺すなんて無理と叫ぶ樫村と目に執念を宿らせて近づく和田、結局最後に残ったのは樫村だった。
死の恐怖に抗えず、エゴイストな内面に飲まれて不殺を破って自ら和田を殺すことを選択。
人殺しをし、太陽の光を浴びても自殺しないことを確認し、安堵する樫村に下部の幻影が語りかける。
死の恐怖に抗えず、エゴイストな内面に飲まれて不殺を破って自ら和田を殺すことを選択。
人殺しをし、太陽の光を浴びても自殺しないことを確認し、安堵する樫村に下部の幻影が語りかける。
「おめでとうございます、樫村さん。約束通り、これから催眠を解除しましょう」と。
そう、この時点ではまだクラスメイト全滅による催眠解除は行われていなかったのである。
夜明けの学校に、状況が飲み込めない樫村の疑問の声がこだまするのであった。
そう、この時点ではまだクラスメイト全滅による催眠解除は行われていなかったのである。
夜明けの学校に、状況が飲み込めない樫村の疑問の声がこだまするのであった。
- |
実は、催眠解除にはもう一つ方法があったのだ。
それは「下部に謝罪すること」。ただそれだけ。それこそ下部が多くの命を犠牲として望んだ唯一のことだったのである。 榊の死も己の殺人もすべて無駄だったことを悟り、絶叫する樫村を突入してきた警察が保護する。 そんな彼女に、下部の幻影はあることを告げる。それは、おそらくクラスメイト達が謝罪して終了していたら闇に葬られていたであろう情報だった……。 樫村は己の殺人を含めた全てを警察に告白するも、事件の特殊性と未成年であることから不起訴処分となった。
それから時間が経ち、己が背負った十字架から少しでも人の為になろうと志し、教師となる道を選んだ樫村の姿がそこにあった。 が、その志は既に砕かれていた。
皮肉にも、彼女の担当クラスは学級崩壊を起こしていたのである。 かつての下部とほとんど同じ有様を体験して、下部の気持ちを痛感していた彼女は最悪の手段をとる。 実は下部の幻影が残した最後の言葉は、催眠に使ったビデオのマスターデータの在処だったのである。 かくして物語は終わり、新たな惨劇は始まる……。 |
- |
さてこの作品、全体を通してみるとおかしなところが散見される。まあ、計画を考えた下部(作者)がうっかりさんだった可能性も否定出来ないが。
などが挙げられる。
だが、これらが仮に繋がっているとしたらどうだろう?
まず、100個という数はあまりに多いこと。いくら基本的なことは禁止されてないであろうと言っても、ミス=即死の状況でそんなチャレンジにも限度がある。そこで生きてくるのがピーピング。
教室には変態クラスメイトによって隠しカメラが仕掛けられていたのだが、1/3までシグナルを表示したところでバッテリ切れと思しき録画終了となっていた。 これが下部によって手を加えられた可能性が考えられる。樫村らは催眠後しばらく寝ており、カメラは放置されていたのであると分かっていれば細工するのは容易だろう。 よく十分な賛成数が2/3とされるように、1/3というのは希望を残しつつも絶望させるのに十分と言える。一方で、実際に有効なのは前半50個だけなので2/3、つまり運が悪くなければ回避出来る可能性が高いのである。 未知の2/3に怯えながらも、比較的安全に彼らにゲームを進行させるにはいい塩梅だったと言える。 実際、このおかげで後のゲームで校内を歩き回る必要が出ても最低限突破することは出来た。 次に第3ゲーム。
これは、別途催眠術によってクラスメイトを殺すように仕向けた教師陣を交わしつつ、榊を殺すというもの。 が、このルールは致命的に成立していない。「暴力を振るう」がシグナルにあるため、誰かの犠牲が必要に見えるがそうではない。 何故なら、暴力を振るおうとした時点で自殺してしまうのである(最初の自殺者がそれ)。 それ以前に、そんな自己犠牲精神溢れる奴があのクラスにいない。 ならどうするかというと、自由に動ける榊が下部の家から持ち出してきた記憶消去剤。30分だけであるが、催眠術でかけられた記憶をさっぱりリセットして自殺催眠を無効にできるのである。 ちなみに、下部の家で見つかった謎の薬が記憶消去剤だと分かったのは都合よく関係者が現れて教えてくれたため。 何でそんなものを残してんだよと思うが、これも下部の仕込みと考えられる。 下部が第2ゲームを通してやりたかったこと、それは榊に自宅の机に置きっぱなしの、自分の怨嗟に塗れた日誌を読ませること(結局彼は急いでいたので最初のページで読むのを止めてしまったが)。
100のシグナルに話が戻るが、前半の内容は多くが「いじめの加害」「いじめの被害」「学校で不適切(下部の主観込み)」「ルール的にやられたら困ること」に該当する。 また、第1ゲームは「協力者」が実際に受けたいじめの内容をそのままシグナルにしていた。とすると、シグナル前半は下部が受けた屈辱に由来するもので、第1ゲームはそのヒントであった可能性が考えられる。 そもそも自殺催眠を30分だけ綺麗に消し去る薬などあるのだろうか。「記憶消去剤と呼ばれた薬を飲めば30分だけ無効になる」と催眠をかける方がはるかに簡単である。 すべてが下部の仕込みならば、ちょうど関係者が現れたのも、最初からそう頼まれたからだと考えることが可能となる。 もしそうだとすると、和田が榊に判明している33のシグナルを教え、榊がちゃんと日誌を読んでいれば、シグナルの正体に気付けたのではないだろうか。
これに第1ゲームと合わせれば、下部の要求が謝罪であるということに到達出来たのではないだろうか。 つまり、相手の立場に立ち、気持ちを考え、謝罪すべきなのだと自ら気づいて謝るように仕向けること、それがこの計画の真骨頂だったのだと思われる。教育と呼ぶにはあまりに苛烈であるが。 しかし、彼らは自分達が下部にしてきたことを覚えていなかった。榊は樫村を救うことしか考えなかった。そして、最後の一人になるまで殺し合った。
下部は、誰も成長できずに終わったこの事件の生き残りに自殺催眠のマスターデータを残した。 それは「これだけの惨劇を終えて他人と向き合えなかった君たちは、どうせ社会の壁にぶち当たる」という実体験に基づく最後の暗示だったのかもしれない。 |
追記・修正は100のシグナルに触れないようにお願いします。