ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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クラシックなんて大きらい!

2011-02-04 01:31:28 | コンサートのご案内&ご報告

本番のお話、前回の日記の続きでーす。
クローズドコンサートなので、本番写真ではありませんが、練習中の写真が見つかったのでせっかくだからのせましょう。
すべて練習風景のものなので、ユルい感じで失礼します・・・



前半は童謡や、うたのおねえさん的な感じです。時々趣味に走って、私が愛してやまないNHKの子供向けクラシック(?)番組『夕方クインテット』からもいくつか歌いました!
少し踊ったりして。でもまじめにやってます。

そして、いよいよ、メインは休憩後のミニオペラ『クラシックなんて大きらい!』
台本を作り、曲はオペラからひっぱってきました~
私は、歌う事は大好きだけど、クラシックが大きらいな女の子の役。
ピアニストの田中さんは、その女の子にクラシックを歌わせようと四苦八苦する、歌の先生の役。


私はこんな感じで登場
衣装は本番もこれでしたよ。



前半とは思いっきり雰囲気変えたから、お客様も驚いてくれたみたい~

さて、メインのお客様であるお子様たちは最初からしっかり集中して観てくれていたので、かなりやりやすかったです。話しかければちゃんと答えてくれるし、私がピンチに陥る場面(田中さん演じる『先生』に怒られるような場面とか・・・)になると、一緒になって味方してくれる
んもう、かわいいったら・・・

私演じる女の子が、
先生に歌の稽古をしろと言われても、ゴネて何とかサボろうとする場面。
部屋を散らかし、お片付けしないで、先生に怒られる場面。

などなど・・・が、あったんですが。

子供たちは「こ、これは普段自分がやっている事と同じだ…」と思ったらしく。
そういう場面になると、とくに感情移入してくれてるのが伝わってきます。
あぁんかわいい・・・

女の子がリズミカルな旋律を歌いだせば、その旋律が繰り返し出てくるたび、私の動きに合わせて、子供たちが皆一斉にお尻ぷりぷり、頭ゆらゆら、と動かして自然にリズムをとりだす。

あぁんかわいい

でねでね。こっからがまたかわいいのです(笑)

話が佳境にいき、子供向けなりにシリアスな場面になります。
色々あって、先生と喧嘩をしてしまった女の子が、泣いて家を飛び出すという場面。

急に姿が見えなくなった私(女の子)を心配したのか、客席にいたわんぱくな五歳くらいの男の子が、おもむろに立ちあがり、柱の陰、物陰・・・と、私を探しに来てくれたのです(´Д`)

で。私は柱の陰でぺたりと座り込んで泣いていたんですが。(あくまで、演技ですよ?)
その男の子、泣いてる私を見つけたものの、私がずっと泣いているので、どうしていいのか分からず、そばに立ってじっと様子を見ていてくれて

私が泣いてる間中、ずっと見守ってくれてました。ありがとう…(泣)


あと。もうひとつすごいなと思った事。
前述のシリアスな雰囲気の中、私が「皇帝ティトの慈悲」のセルビリアのアリア、『涙する以外の何ごとも』を歌い始めたら。

だっこされてじっと静かにきいていた、まだ二歳くらいの女の子の目にだんだん涙がたまってきて、そしてす――――っと流れたんだそうです。(あとで、人から聞きました)

子供なりに、セルビリアのアリアに満ちた、哀しさ、切なさ、悲痛さ・・・の、何かを感じ取ったんでしょうか。

…モーツァルト、すごいいいぃぃいいいい (((゚д゚;)))

おそるべしモーツァルト!
二歳でも、皇帝ティトの慈悲で泣けるんですね・・・

その後、ラストは楽しくハッピーエンドで。最後まで40分、お子さんたちは皆騒がず、しっかり観てくれました。良かった~

それにしても・・・本当にびっくりしました。自分で組んだプログラムとはいえ、クラシックの、しかもいわゆる有名な曲なんて全然入れていなかったのに、こんなに子供たちが集中して観て、聴いて、涙してくれるとは。クラシックの底力を思い知らされ、圧倒されました。
『皇帝ティトの慈悲』でも、泣けるんですね。子供は。

コンサートを終えてから、お客様達や、依頼して下さった主催の方達から、うれしい反応を頂いて、本当にホッとしました。

今回は、クローズドのコンサートだったので、皆さんに聴いていただくことは出来ませんでしたが、そっくりそのままでなくても、このプログラムをまたいつか、他のお客様にも聴いて頂けたらいいな。
自分の中で、やっとそう思えるものになりました。


自分にとって、音楽っていったい何なんだろう?
音楽って、人にとって、何なんだろう?

歌わせて頂くたび、自分に対する問いかけがどんどん大きくなって、ものすごく考えさせられます。
本当に、人生観が変わってしまうほどに。

今回、終わった後、クラシックを、本当にきちんと伝えられる媒体になりたい。心からそう思いました。
自分が歌いたいから歌うのではなく、人に届けるための媒体として、より良い存在になりたいです。

そのためにはとにかく勉強したいです。色んな事を。それは、必ずしもクラシックの事だけでもなく。
その上で、自分がより良いクラシックのプレイヤーになる事に固執し続けて、そしてお伝えしたい。

お客様が、聴いて下さっているその瞬間だけでも、何か辛い事、嫌な事、現実にある憂さ、それを忘れて頂ければいいな。
クラシックにはその力があるのを、今回、本当に確信しました。

こだわり続けたいです、クラシック音楽に。


おまけ。
主催の関係者の方から頂いたご質問の名言。

『中川さんと田中さん、お二人はコンビを組んで何年くらい?』

・・・お笑いですか?(笑)・・・ボケとボケのコンビ・・・
いや、ボケと天然ボケ(←どっちが?)・・・?(笑)

確かにコンビって、間違ってないんだけど・・・そういや、歌い手とピアニストって、コンビって言わないねえ・・・


・・・コンビ?
ミニオペラ中。

先生(田中さん)「クラシック歌いなさいいぃぃぃいい
女の子(私)「絶っっっ対に、イヤあぁぁぁぁ~~~~・・・・・・・


という

ガンの飛ばしあいの場面。


30分程度の、子供向けの内容のミニオペラでしたが、またやらせて頂けたらいいな。

ミニオペラ『クラシックなんて大きらい』
で使用した曲は以前も書きましたが、これ↓

モーツァルト『ドン・ジョバンニ』より
「恋をする娘さんたち」(合唱とマゼット・ツェルリーナの重唱)

モーツァルト『コシ・ファントゥッテ』より
「男たちに、まして兵士たちに」(デスピーナのアリア)

モーツァルト『皇帝ティトの慈悲』より
「涙する以外の何事も」(セルビリアのアリア)

ドニゼッティ『連隊の娘』より
「誰もが言う」(マリーのアリア)
「小さい森に陽が昇り」(歌の稽古の三重唱 )
「三人はまた会えた」(再会の三重唱)

(歌い手は私一人なので、重唱は一人で歌えるようにアレンジしてあります。)

どうもありがとうございました!!



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