ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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無知のお話。

2016-09-21 00:14:10 | 歌のこと
無知のお話。

10月7日(金)の「リリア歌の花束」のリサイタルは、テーマが「日本語を歌う」。

お恥ずかしながら、私は日本歌曲はモーツァルトとかにくらべると、そこまでやってないんですよね。
だからプロデュースの先生に選曲のアドバイスを頂きました。

で、すすめられて歌う事にした、三善晃の「抒情小曲集」。
萩原朔太郎の詩。
歌曲を専門に勉強なさってる方ならご存知なのかもですが、私は歌曲をあまりやってないので、これまで知らなくて。

音取りを始めて、衝撃の嵐ですわ、もう。
この詩に、この音楽をつけるセンスがもう。
まるでミステリーのトリックにも似た、最後の一音。
「こう来るかあぁぁあああ」
と叫ばせる…

詩が表現している、身近な絶望をそのまま置いておきながら、しかし絶望を美しく音楽にし、心に刺さる氷の華のトゲのような美しさにして…

何これ何これ。
何でこの詩にこの音をつけようと思うんだ。
天才かこれ。あ、三善先生天才か。

そして、萩原朔太郎、 エロい 官能的。
この人の詩、こんなに エロかった 官能的だったのね。
「少女よ」ってタイトルの曲!!
紅で!それを表現するのに茘枝(ライチね)って!

ライチの種…くれない…
エロ 官能的過ぎて悶絶。
すいません、知らないと何言ってんのか全然わからないと思うんですけど。
ご存知ない方で詩を見てみよう、と思われたら、 
「抒情小曲集 三善晃 詩」で検索してみて下さい。
ついでに、楽譜も見て、音も叩くと、エロ官能的過ぎて、悶絶します(笑)

いやさぁ、日本人は世界に誇るエロ官能を持ってると思うよ(笑)
オペラで真っ向エロはガンガン歌ってるけど、こういう詩の、こういう音って、もう何か恥ずかし過ぎて。

ギャー ←意味不明
歌うの恥ずかしいわ…何これ何これ…
これはもう、ひたすら慣れるしかないね…と思い、かれこれ何ヶ月もこの「少女よ」を歌っていたら、やっと慣れてきました!よっしゃあ!!

で、参考がてら他の萩原朔太郎の詩を読んでたんですが。

絶望と、曖昧とした空虚感、ふっとした理由のない自殺への衝動、それと表裏一体の寂しい愛情、そして小さいもの、自然へのたまらないまでの愛情etc…
本番までこの詩の世界にどっぷり浸かったら、俺様自殺!
…とかはならないけど。

落ち込みそうな気もするので、入り込み過ぎないようにしたいわ。
最後の曲「五月」は、いつも涙が胸から突き上げてきます…
本番にいらっしゃる方は、このブログをご覧になってから本番を聴いて下されば、
「ああ、これが、エロ官能的過ぎて、練習しながら悶絶してた『少女よ』だね」
とか、
「前奏でいつも泣きそうになってた『小曲』だね」
とか、色々楽しめます。

てか、三善晃も朔太郎も、すーごーすーぎー

鬱ってる人は、詩を読んでみると共感できすぎて、辛いかも…ある意味救われるかも知れないけど。
責任は持ちませーん

それにしても、私は無知なので、ちゃんと勉強してる方からしたら、
「何を今更言ってんの」て事かもですが。
しかし、無知故に、こうして新しく知る事が出来る喜びがあるのは、
やはり音楽家として、そして文章を楽しむ人間として、至福です

楽譜見てたら、たまらなくなって深夜に雄叫び投稿でした。

詩人ってすごいね。
そして、作曲家ってすごいね。
さ、今日のブログは三善晃だったので、次回は国枝春恵先生の「走水」について語ります(笑)
ヤバイよ、止まんないよ…


そんなリリアのリサイタルは、こちらです!

◆リリア「歌の花束」~日本語を歌うPart2 ◆
《中田喜直から現代へ》

全て日本人の作曲家による日本語の歌ばかりのソロリサイタルです。
【日 時】2016年10月 7日(金)午後7時開演 (午後6時半開場)  
【場 所】川口リリア 催し広場 (JR「川口駅」西口正面)
【入場料】一般 2,000 円、学生 1,000 円  
【出演者】ソプラノ/中川美和、ピアノ/伊藤友香、構成・お話/音楽評論家・國土潤一
【演奏曲目】中田喜直「マチネポエティクによる四つの歌曲」、別宮貞雄「二つのロンデル」、三善晃「抒情小曲集」、国枝春恵「走水(はしりみず)」
【主 催】川口文化総合センターリリア
チケットのお申込みは、リリアチケットセンター 048-254-9900(10時~19時)まで。





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