新型コロナウイルスの影響による長い休館が解け、いよいよ道場稽古が始まりました。
それにあたり、なぜか私(茂木)は・・・
「これから新しく道場を始めるような・・」
「今の場所に移ってきて新しい(今の)道場で初めて稽古した時を迎えるような・・」、大げさに言うとそんな感覚にさえなってしまっている、緊張感を感じての稽古再開でした。
この数日間は、いわゆる「ソーシャルディスタンス」ということでの稽古をいかに行えばよいのか・・?この道場の限られたスペースの中で、できるだけ間隔を保てるように・・。しかも稽古時間は短縮、他人との接触や対人稽古は極力行わない・・という、かなり難しいと思われるその制限の中でも「家でのトレーニングより、やはり道場に行った方が断然良い稽古になった!楽しかった!」と皆さんが満足できる内容と効率を・・と考えていたので、それを実践する日・・、いわば私にとっての試験(?)本番が来たので、そういった緊張感に襲われたのでしょう。
生徒にはいつもエラソーな強そうなことを言っていますが、意外にビビりなのです(苦笑)。
そして行った稽古が以下の写真の様子になります。29日金曜の合計3クラス・30日土曜の1クラスの模様をご覧ください。
道場の床にマスキングテープやチョークでそれぞれの生徒が動ける範囲・個人スペースを区分けしました。平均1人あたり2㎡(狭い(-_-;))。隣とは約1㎡の間隔スペースを開けてあります。
四方の窓はすべて開け放ち、扇風機も稼働開始であります。
少年部①(対象は主に青・オレンジ帯)の時間。基本的には全員が鏡側に向いてマスクを着用しての稽古ですが、やはりマスクは暑い・苦しい。この時間は参加生徒数も少ないので、間隔を十分に取ったうえで途中からマスクを外し移動稽古や型も行いました。まだ夕日の美しい光が入ってくる明るい中で、適度に風も吹くので本当に気持ち良く動けます。
少年部②(主に対象は黄・緑帯)の時間は、開始時間が、この変更する前の通常の少年部開始時間になるため、生徒参加数が多くなり、少し混雑が予想されます。今回は10名参加。しかし、狭さや不自由さは感じず、普通に十分に稽古できました。一応12名が定員(?)となっておりますが、私がコツをつかめば、もう少し(2~3名)増えても、ソーシャルディスタンスを保って稽古できそうです。しかし、この時間は基本的にマスクを着用。全員が鏡側に方向を向いたうえで、その時の自分の判断(体調)に任せてマスクの着脱(息継ぎ)をさせました。
一般(男子・女子・壮年)クラスでも基本的に稽古の仕方は同じ。個人区画に入りそこで一通りの稽古を行います。一般部は上級者が多いので、こちらの指示をすぐに理解しサクサクと実にスムーズに、皆さんがトレーニングしてくれました。
久しぶりに会えた面々・・
彼らの空手着姿を見ますと嬉しく、安心します。
土曜午前クラス(全生徒対象の合同クラス)も同じ形でソーシャルディスタンス(何回言うのだ?)。まだ気温も高くなく、風が本当に気持ちよいので、とても良い稽古時間帯です。もっと皆さんに活用してもらいたいです。11時20分に稽古終了し、その後全員で個人スペースを清掃→退館。
休憩・ドリンクタイムもそれぞれの場所でソーシャルディスタ・・・もういいですか?(苦笑)
総じて・・
50分というサイズが調度いいのか、皆さんが稽古に飢えていたのか、とにかくこの4回のクラスを見た感じでは、すべてのクラスの参加生徒の稽古中の集中力の持続には驚きと嬉しさを感じました。
「これからは時短のほうが良いのかな・・」と考えてしまうくらい・・
次から次へと稽古メニューを与えたことも一因だったと思いますが、少年部でも生徒がポケ~っとなる時間・戸惑っている時間・サボっている時間・・がほぼ無く、みんな最初から最後まで一生懸命頑張ってくれてました。
この区分けしたスペースでの稽古で私が考案した秘密兵器(?)が道場天井から吊るされた青いビニールヒモ(取り付けを手伝ってくれた建石さん母子、今回もありがとうございます!)。
掲載された写真を見るとやたらヒラヒラ・・なんかあるな~?と気づいた方もいたかと思います。
涼しさを演出している?・・違います。ハエ取り紙?・・・もっと違います(笑)
これは、区分けした個人スペースの真ん中らへんに1本ずつ天井から吊るしてあります。これを「仮想敵(的)」に見立てて突き・蹴りを出すと、具体的な目標(標的物)がそこにあるので、自然に技の精度や正確性への意識が格段に高まり稽古できるのです。高さも足の位置(下段)~頭以上の位置まであるので、パンチにしても蹴りにしても上・中・下段の全てに標的があり、「シャドートレーニング」を上達させるのに、単純ですが実はかなり優れたトレーニング器具(?)なのです。
ここでシャドートレーニング論を一説。ミットやサンドバッグはそれ自体に重さがあるので、技を打ち込む反動で手や足がある程度自然に戻りますし、打ち込んだミットなどが体を支えてくれるのでなんとなくバランスが取れる、ということがありますが、この標的は何も重さがないので、突いた手・蹴った足を自分で100%コントロールしないとすぐにグラグラして次の技が続きません。しかも風で適度にユラユラ舞ってくれるので、動いた標的に対して技をアジャストして(合わせて)繰り出さなければならない、ということで反射神経も鍛えられます。
なにしろ「そこに標的がある」というだけで、実感のある楽しく質のある空突き・空蹴り・シャドートレーニングができるのです。当然、家でもできますが、繰り出した技(手や足)が家具や壁面や窓などにぶつからないようにしてくださいね。もし、家具を破損したり、ケガをしても私は責任は持てません(本当に・・笑)
私は現役時代~今でも、この稽古はわりと好きでたまに行っておりました。しかし道場での20人くらいでの稽古では準備その他(審査や大会などの練習が定期的にあるとそちらの直接的な練習が重要なので、できない)が大変なので行いませんでした。今回は審査や大会などがしばらくはないため、「あ、今だ。やろう!」とこの稽古を思いついたのです。
シャドートレーニングが上手く・早く・滑らかに行えると、どこでも1人で稽古(空手)ができることになります。
審査や大会などが少し遠のいている今の期間は、正確な技を出しているうえでのシャドーができる・・いかにも「空手らしいサマになっている動き」を身につけられる(教えられる)、今はもしかしたら絶好の時間かもしれません。
「ヒモ一本を吊るしただけ」でどんどん話が大げさになってきましたが、とりあえずこの4回の稽古指導で、限られたスペースと時間・制約での稽古のやり方が少しずつ分かってきました。
少なくとも6月いっぱいくらいはこの状態が続くのでしょう。この事態を少しでも良い方向・少しでも良い機会にできるように、無い頭を使い考え、指導をいたしますので、生徒の皆さん道場に来てください。
*誤解しないでいただきたいですが、ミットやサンドバッグなどへの打ち込み稽古はとてもとても大切です。技の威力増強やスタミナ養成、手・足の各部位の鍛錬も含め、打ち込み稽古(ミットトレーニング)は技を体に当てるフルコンタクト空手にはとても有効・重要なのでそれを軽んじてよいわけありません。ただ現在は、基本的に対人稽古は行えませんのでシャドーの有効性を説きました・・・。全てをまんべんなく稽古・トレーニングするのがやはり望ましいということです。よろしくご理解ください。
*ソーシャルディスタンス・・稽古参加人数の多さが気になる方は、ぜひ土曜の稽古時間を活用してください。例えば水・金の2回で来ていた方は水・土にするとか、金・土にするとか、そうすれば1回の稽古参加人数は分散されます。(もちろん全ての稽古日週3日の3回来ても大歓迎です)。
*稽古日(時間)以外の自主トレ・道場借用も変わらずに受け付けますので、ぜひ申し込んでください(要予約)