今回は、前回に予告しました通りに11月13日に横浜武道館で行われた「オープントーナメント 第26回全関東空手道選手権大会」に出場した2名の選手の戦いぶり、その他感じたことをお伝えいたします。
★11月13日(日)オープントーナメント全関東空手道選手権大会
2名が出場(宮崎 響・田中 碧翔)
田中 碧翔 選手が第3位入賞!(小学1年生男子重量級)
3人審判制
1回戦 0-0 0-3
2回戦 3-0(上段回し蹴り「技あり」)
準決勝戦 0-3(相手側に上段前蹴り「技あり」)
小学1年生男子重量級に出場した田中選手が2試合を勝ち抜き準決勝に進出。1回戦は延長戦の接戦で、2回戦は相手を圧倒し「技あり」を取り本戦勝ち。準決勝戦では惜しくも敗れてしまいましたが見事に第3位に入賞。外部試合では念願の初入賞で、なかなか立派なトロフィーを手にしました。
地方ブロック大会の少年組手の部で入賞者輩出・・は私が指導・運営する泉中田道場ではなんと15年ぶりの出来事です(恥ずかしながら・・(-_-;))から、この結果を本当に嬉しく思います。
それはさておき、今回の成績には嬉しく思っていますが、試合内容には私は全面的に満足しているわけではありません。というのも、決勝戦に上がった2選手の試合を見て、田中選手は2選手に実力的には決して劣っていなかった・・つまり今回は一気に優勝できたのでは・・という感を強く持ったからです。
田中選手は幸運にも(?)私や西岡指導員が担当した第3試合場で試合だったので、私は試合その他の田中選手を全て見ることが出来ました。1回戦・2回戦の2試合を勝ち抜いた田中選手の試合間や選手控えでの様子を見ると、疲労からか明らかに少し集中が途切れてしまっている感があったので、運営席を離れアドバイスと叱咤に行きました。が、準決勝戦では相手の前蹴りを上段にもらい「技あり」を奪われ、取り返すことが出来ないで敗退しました。「たら・れば」は勝負ごとに言ったらキリが無くムダなのかもしれませんが、田中選手が「あと2試合しっかり闘って、絶対優勝するぞ!」と思っていたら、あの前蹴りをもらわなかったと思うし、そもそももっと厳しい攻めが出来たと思います。ハッキリ言ってもったいなかったです。
入賞した結果という点では満足に値することでしょうが「最後まで全力を出せていたか」という点では、かなり不足感がありました・・というのは小学1年生には求めすぎでしょうか・・?田中選手に対する期待感が高いため、また少し辛口な寸評になりました。
様々な技術を試合で出せるようにすること、最後まで全力を出せる精神力・・を課題として、また次の目標に練習を頑張ってもらいましょう。
宮崎 響 1回戦敗退 (一般男子中量級)
5人審判制
本戦0-3
今大会に向け、熱のこもった練習を重ねてきた宮崎選手でしたが、本戦0-3の判定負け。
残念ながら一般部のデビュー戦勝利は手にできませんでした。
この試合は私は別コートで運営しながらのチラ見でしか生では見られなかったので、後にビデオで数回じっくりと見ました。手のケガもありパンチが少ないところは膝蹴りでカバーし、上段蹴りや胴回し回転蹴りを出すなど、なかなか落ち着いてる感もありましたが、やはり「ここでもっといければ・・!」という場面での手数や思い切りが足りていない感じでした。
試合前の練習はかなり頑張りそれなりに手ごたえもあったので・・・
一般の部で勝利することは、本当に難しいな~・・・ということを私も改めて実感しました。さぞや落ち込んでるかな・・と思っていたら、試合後の宮崎選手から「悔しいので次の大会を目指します!」との力強い言葉。来年の外部試合出場を申し出てくれました。ぜひとも次こそ勝利ならびに良い結果を勝ち取れるようにがんばってほしいです。
今回も会場は横浜武道館。会場側の都合でアリーナではなく、1Fの武道場に6面の試合場を作りました。全体の面積は狭かったですが、カラフルな畳の試合場はとても良かったです。
私と西岡指導員は第3試合場のスタッフでした。私はコート責任者。西岡指導員は選手の呼び出し・進行のアナウンサーです。落ち着いた口調でとても上手でした。
入賞者へのトロフィー渡し役のスタッフで参加してくれた建石マネさん。この日の最初にトロフィーを渡した選手がいつも道場で可愛がっている田中碧翔くん、という嬉しいめぐり合わせ!偶然(?)なのでしょうが、この嬉しさでその後のトロフィー渡しの仕事に「弾みがついた」そうです(^▽^)/
稽古では練習パートナーとして、試合当日にはセコンドとして、今回の宮崎君の挑戦を最も支えてくれた金城3級(上写真紫Tシャツ)。選手にとってこういった人がいてくれる・・ということが、どれくらいありがたく心強く貴重なことか・・・。
試合に出た選手は、大きな感謝の気持ちを持って、支えてくれている様々な人たちに礼を尽くしてほしいです。私も金城君に感謝。
関東大会1週間前、綱島道場に宮崎・田中の2選手が最後の出稽古をしてきました。私も見学をさせていただきましたが、様々な年齢・性別のたくさんの生徒が同じ空間で稽古している姿は、なかなかの壮観でした。
関東大会に向けての色々な経験の総仕上げとも言える稽古・・
責任者の茂木智之師範代、綱島道場の生徒の皆様、保護者の皆様、横須賀から来ていた生徒や保護者の皆様、当日は本当にお世話になりました。
☆感想・考察・その他
田中選手は以前にもお伝えしましたが、現在小学校1年生で空手修行歴は2年を経過したところです。が、その間の稽古の密度の濃さ・大会や合宿その他へのチャレンジ精神と頻度は驚くべき(?)とも言ってよいもので、道場での稽古で出席できるクラスはほぼ全出席。現在までに内部試合には10回以上出場。組手では5回入賞(優勝)で2学年上げの出場、型では4回優勝で次回からは特別入賞部門にランクアップ。外部試合出場は今回で4回目。合宿(2回)や合同稽古(3回)にも精力的に参加するなど、常に何かの具体的目標に挑んでいる日々・・という感じの空手生活を続けています。
普段の稽古で生徒の皆さんにもよくお話しをしていますが「具体的に目標に挑む努力」は「目標が無い時(または目標が漠然としている時)の努力」とは密度が明らかに変わるわけで、具体的目標に挑み続けるということは密度の濃い努力(練習)を必然的・半強制的に続けることになるから、それは実力も早く上がる(付けられる)ことになるのは当然で簡単な理屈・・だと思いまして、現在の田中選手はまさにその典型でありましょう。
ただ、それ(具体的な目標に挑み続ける事・イベントにいつも参加すること)は、本人と支える保護者様にもそれなりの心身的・スケジュール的に負担を負うことにもなるので、私も手放しでそれを推奨するわけではありません。それによっていちばん大切である普段の社会生活がバランス悪くなったら本末転倒になるからです。
田中選手の資質・・スポーツに、格闘に、競うことに・・その体力的な資質はかなりある・・とそれは思います(小学1年生の子に資質云々をいうのはまだ早いとも思いますが)が、いちばんの資質は「強くなりたい」と想い、その想いに向かって努力できることである、と思います。
試合の為のマンツーマン稽古をしたある日の稽古後に「この試合練習はキツイだろう。よく休まずに頑張って続けられるな。来週もできるかぁ?」と言ったら、彼は真剣な顔で「少し苦しいけど・・強くなりたいから(やる!)」と即座に頷き、答えてくれました。それが・・まだ語彙が少ない小学1年生の素朴さ・純粋さ・邪気の無さもあり、強がりも感じず、とても素直に感じられ「この子はスゴイなぁ。カッコいいな~」とその時は感動しました。当たり前の言葉なのかもしれませんが、意外にこの言葉はキツイ練習をやった後に即座には・・いつもそう思って(想って)いなければ出ない言葉ですし、これをスッと言ってくれる子は意外に少ないのです(大抵の場合は「う~ん・・」と言葉を濁したり、「来週は予定があるかも・・」など、ハッキリ答えない場合が多いです)。
今回は結果は出せませんでしたが、宮崎くんも時間がある時は道場に来て自主トレをしていて「やっと自分から継続的にキツイ練習に挑める若い選手が出てくれた」と思わせてくれる生徒です。自分の生徒ながら、その努力する姿は以前にも書きましたが「カッコいいな~・若いっていいな~」と思い「自分もできるだけ頑張らねば!」と思わせてくれます。
空手の稽古のいちばんの目的は「心身ともに強くなること」・・だと思うので「試合で勝つため」だけになってしまうのは、逆に空手の稽古を狭く捉えたようになってしまうので、私も「試合」にばかりこだわること・・は絶対にありません。しかし「大会・試合」は空手の稽古・修行の中では重要で貴重な経験であり、試合でしかできない経験は必ずあるとも思うので、そこにのめりこむ期間があっても良いと思います(特に年齢の若い生徒は)。せっかくその生徒の技量に応じた様々なレベルの大会・試合がある新極真会という大きな組織(小さい組織ではレベルに応じた大会があまり無いのです)に所属しているのですから・・。
大会までの生徒2人の挑戦・努力する様子を見ていて、少し大げさとは思いますが、またいろいろと考えてしまい、長く書いてしまいました。しかし・・関東大会くらいでこれでは、もし全日本大会で勝ち進んだらどんだけ書くのでしょう・・(よければバックナンバーの「2019⑤ドリームフェスティバルで入賞!」の記事を参照してください。いろいろと考察その他を書いてます・・苦笑)
今回は大会の結果だけで終わります。
これが今年最後の生徒が出る大会だったと思うので、次回は・・稽古風景ですかな。
最後のおまけ画像。
土曜午前の稽古に入る前の写真です。みんな頭に見事な「寝ぐせ」がついてます。
前日の夜にも稽古があったためか、このクラス前までグッスリ寝て、急いで来たのでしょう(苦笑)
名付けて泉中田道場の「ねぐせーず」です(笑)
ちなみに、稽古後にはたっぷりかいた汗で皆の寝ぐせは自然に無くなり「ねぐせーず」は解散です(笑)