山に癒されて…♪

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厳冬期の木曾駒ヶ岳3

2019年02月16日 | 山登り 中央アルプス
2019年2月10日(日)☀ 千畳敷駅より木曽駒ヶ岳往復


伊那駒ヶ岳神社


木曾駒ヶ岳山頂からの続きです


さぁ~ 冬景色を十分楽しみました
風も手加減せず体当たり…寒さを感じ始めました…
そろそろ戻りましょう

この雪のコンデション
下りは慎重に行動しましょうか…




空木岳 南駒ヶ岳



空木岳 右奥に南駒ヶ岳 その手前に熊沢岳が鎮座!

その圧巻の厳冬の山々の姿が目の前に広がり
言葉に言い表せない眺望に別れを告げます



 寂しくなってきた空




中央奥に空木岳 南駒ヶ岳を見て
その左手前の宝剣岳から三沢岳へと延びる稜線

しかし 景色を楽しんで下る余裕はなさそう…

この時間 まだ…
登って来られる人と下る人がすれ違います
慎重に 人との距離を測りながら下っていきます

その時…!

先を進むチチの後ろで滑落が…!
ちょうど チチの周りの雪が柔らかく 
彼はチチの手前で止まったよう…


その彼にチチは何やら声をかけていました


チチは 歩き方を青年に教えていたようで
青年もまた素直に聞いていたようです
安全に下る為には 
しっかりと歩く事が出来なければ危険です

しかし…その後ろで仲間の一人でしょうか…

チチに背を向けて
うっるせ~な ごちゃごちゃと
分かってるわ


小声で言うのが聞こえました…


多分離れて歩いていた私が 
チチの連れだとは気づかなかったのでしょう


人の受け取りとは様々…
一生懸命に説明するチチの姿と
呟くように言う男性の姿を見つめます

その表情は…
目出帽とゴーグルで隠されているので
わかりませんでした…が
いい雰囲気ではありません

チチが一生懸命教えるのは 
滑落の危険性を十分知っている為ですが
全ての人に伝わるわけではありません…

受け取る側の姿勢にもよります…


もういいよ チチ…

そう言いかけましたが チチは真剣でした…


今日の山のコンデションがどれほど怖いものか
充分に自覚しているからこそですが
今日登ってきている全ての人がそうとは限りません…

危機感には温度差があるようです… 


黙ってチチの姿を見る事しかできなかった私です

ただ救いは 滑落をした青年は
真摯に受け止めていたようで 最期に 
ありがとうございますと挨拶をしていました


そしてまた 歩き始めます…




 中岳への登り



中岳もまた 氷の世界のままです

気温も上がり 少し雪面も緩み始めているとはいえ
危険がある事には変わりありません…


そしてその東面のトラバース部分でも また 
滑落事故がありました…
ここでも柔らかい雪の部分で止まる事ができ
何事にもならなかったようです






芸術的な造形美を見せていますが
いつ魔物と化して襲ってくるのかわかりません

それでも 
今ならではの美しさに 魅了されてしまいます



 一時 緩む道にッとする

三ノ沢岳



静かに佇む三ノ沢岳
美しいその姿を見ていますと…

静寂だった時を破るようなヘリの音が…





谷側を除くと…
ホバリングするヘリが…


昨日 宝剣岳から滑落された方が
漸く救助されたようです







埋もれた宝剣山荘の屋根の向こうで
宝剣岳は…何事もなかったかの様に輝き 
沈黙を守っています


核心部の下りの前に 風除けのため 
救助隊の詰所前で休憩を取ります


しかし この時は往路の時とは違ます
何やら緊迫した空気が漂っていました



 あわただしく動く救助隊


忙しそうに動き回り装備を確認する救助隊
無線でのやり取りしていますが どうも 
滑落事故の対応に追われていたようです

3件の死亡事故があったことを知ります


チチと隊員が何やら話をしていますが
私は思わず 聞えない振りをしてしまいました…


ホットミルクティーを飲んでから
八丁坂の下りに向けて気合を入れようとした時
再び無線が入ったようで 動きがさらにしくなります


どうも 今から向かう八丁坂滑落事故が起きたようです


100メートルのザイル…〇△※・▼…
担架…×※Φ■〇…
保温材…▼〇Φ■※…


色々な単語が出ていますが
どれも緊迫したものでした…
 
暫く 邪魔にならないようにして様子をみます


少し間を置いてから 乗越浄土へと向かいます

ここから…気を引き締めて下らなければなりません


乗越浄土からの下り始めでは
渋滞をしており 順番待ち状態でした…




 八丁坂の取付き




下の方では まだ滑落した人の対応をする様子が見えます


乗越から八丁坂への核心部で
どうしても渋滞が起こり
その渋滞部分を避ける為 登ってきたと思われる
同じルートを使って下ろうとして滑落したようです

そこはルートから少し外れた岩の露出した氷の急斜面

骨折をされたようですが 
命に別状なかったようで ホッとしました



しかし…行きと帰り…同じ場所で滑落事故を2度も…
緊張がさらに増します…



滑落に巻き込まれる恐怖が先に立った私は
皆が下った一番最後でいいよ…と言いましたが
待っていても同じだよ と言うチチ


ちょっと先に行かせて頂きます
応援の救助隊が前向きに下っていき その後に続きます


雪面は朝よりも緩くなって 
普段なら下れるはずですが 足がミシンを踏み出し
感じる以上にショックを受けている事に気が付きます


今日は慎重に下ろう…


一歩一歩を確認しつつ下ります



前向きに下っていた救助隊に続いて下る人は
皆 前向きに下ろうとしています


丁度その時 チチが前にいる人に声をかけています

怖いのなら 後ろ向きになって下ったほうがいい!
ステップを崩しているし 危険だ!


上部の核心部で お尻で下る人がいました
ここで滑落すれば 確実に人を巻き込みます…


私も ミシンを踏む足では踏ん張りが弱く
バックステップに切り替る事にします

それと同時ぐらいに 私の後ろに続く人も
次から次とバックステップになって下り始めます

すると 頭上から 雪の固まりが無数落ちてきて
それぞれにスピードアップしていくようで
後ろ向きにどんどん抜いて下る人も出てきます

とにかく私は 自分のペースを崩さないように
慎重に下る事だけに集中します



この時間にまだ登っていく登山者が意外に多く見られます

登る人も下る人も 同じ格好で 同じルートを通るため
登ってくるのか 下っているのか…
よく見なければわからない事も…



 引き上げられる担架
 ようやく緩くなる道

八丁坂を振り返る



救助隊の話していた100mザイルが 斜面に沿って延びています


このザイルをお借り出来たら…
プルージックさせて頂けたら 安心して下れるけど…



不埒な考えが出てしまう自分に呆れながらも
ザイルを見つめつつ 踏まないように下っていきます


すると 馬鹿者!と言わんばかりに ザイルが動き出します

えっ! あっ!ごめんなさい…


そんな一人芝居のような呟きが漏れます



ザイルの先に取り付けられた担架
私の横を通り過ぎて上がっていきます
救助された方が漸く下山出来るようです


緩やかな斜面になると 安堵の気持ちが出てきます
そして 振り返ると 斜面に残る人々の姿が目に留まります

上の方に残る人の姿は 救助隊と登っていく人の姿です


今日は普段と違う雰囲気のお山のように感じます

改めて山への姿勢を問われた様に感じたのは
私だけだったのでしょうか…







静かに佇む サギダルから宝剣岳への尾根


今日だけでも3件の死亡事故が起きたというのに
山は何事もなかったかのように鎮座しています




甲斐駒ヶ岳



カールのすそ野の向こうに見える甲斐駒ヶ岳

チチが手を合わせます…

このお山にも 知人の魂が眠る…


そして山は…どんな時でも無言を貫き通す…



さぁ…我々も帰ろう…我が家








日は西に傾きつつあり
家が恋しくなります

最後の斜面を登れば お山とのお別れが来ます



 山頂駅の広場も静か
 ゴンドラを待つ




今日の山は…

複雑な心境のまま 山に別れを告げました


 カモシカの子供


帰りのバスに乗り込むと 一気に疲れが全身を襲い
すぐに眠りの世界へと引き込まれていきます

バスの運転手のアナウンスでふと目が覚めます
車中が少しにぎやかになり 窓の外を覗いてみると 
何と!カモシカの子供が手の届くような所に…!

親はどこからか様子をみているのでしょうか
子供のカモシカの姿しか見えません

私も 初のカモシカに 
眠気も吹き飛び 暫く釘付けになりました


バス停に着き バス停の近くの温泉に浸かった時
漸く無事に下山出来た事を実感します

今回は自身が感じる以上に衝撃的だったのでしょう 
緊張と疲労感は体に普段以上に残っていました





 茶そば



汗を流して 駒ヶ根に来た時には
立ち寄りたいお店に向かい


名物のトンカツ丼茶そばを定食を食して 帰路につきました







ただの山歩きとは思えない今日のお山


若い頃はできた事も 今はできるとは限りません
昔なら考えられない失態もあります
アクシデントも起こります

自分を過信せず…自分は大丈夫だと思わず
自分の力量 その時の自分の体力 現状の状況 装備
全て判断して 自己責任の下で山と向き合う事が大切だと
改めて感じたお山です


書くことを迷いましたが
自分への戒めも含め 振り返りながら
色々な事を考えつつ綴ってまいりました

自分のブログだからと言ってなんでも
好きなように書いていい事ではありませんが
山に対して 謙虚な気持ちをもって登る事を忘れないため…
自分が見た事 感じた事 書ける範囲で残しました


受け取り方は人それぞれと思います
それでも 最期まで読んで頂けたことを
心から感謝いたします


最後に 
亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします
 
ご訪問頂きありがとうございます







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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
油断禁物ですね (タカ長)
2019-02-16 13:56:38
迫真のレポートですね。
タカ長には行けない山なので興味深く拝見しました。

あの登山者の行列、見ただけで腰が引けてきます。
あれでは自分のペースで歩くことは不可能みたいで、それだけで腰が引けます。

夏山ですが、仲間がツアー登山で白馬大雪渓を登っているとき落石があり、それが彼女の隣を歩いていた人を直撃、亡くなられました。
そのショックで彼女は山に登れなくなりました。
貴女の記事を読みながらそのことを思い出しました。

タカ長は雪崩に埋まった人をゾンデーレンしている救助隊を遠くに見ながら登ったことはありますが、山の死亡事故を身近に見た記憶はありません。
幸運だったのでしょう。
山ではいつ何があるか分からないので、油断してはいけないと思いながら読ませて頂きました。

有難うございました。
返信する
無事に往復出来、良かったですね。 (J-Blue)
2019-02-16 16:30:12
今回はかなりドキドキの山行だった様で
無事に目的の登山が出来て良かったですね。

20代の頃やはり2月に乗越浄土迄行った事がありますが南側は
ほとんど風も無かったのですが乗越浄土の稜線へ出たとたん
季節風の猛烈な風が吹いていてかまぼこ状になった乗越浄土は
ばりばりに凍っており、風に飛ばされ転べばそれで一巻の終わり
その時ピッケルでは無くストックでしたので100m程歩いた所で
恐怖に耐えきれず引き返した記憶があります。

遠い記憶ですがロープウェーで簡単に行ける事から安易に厳冬期の
山登りに行った自分が居ました。ピッケルも持たず今考えると恐ろしくもあります。
若気の至りですね。

迫力有るブログ記事、緊張しながら拝見しました。
これからも楽しみにしています。
返信する
タカ長様 (nanekobi5963)
2019-02-16 22:03:58
こんばんは♪

本当に山では何が起こるか分かりませんね
何事もない事が当たり前に感じているこの頃でしたが
そうではないのですよね

若い頃は 意外にこうした場面に直面することがあったのですが
歳を重ねるごとに 受け止める力が弱くなってきたように思います

ご一緒していた彼女の心にも
大きな傷が残ってしまったのでしょう…
いつか その傷が癒えてくれることを願うばかりです

戒めの様に感じた山行でしたが
山を続ける限り 忘れないでいようと思います

コメントを有難うございます
返信する
J-Blue様 (nanekobi5963)
2019-02-16 22:11:04
こんばんは♪

乗越浄土は風の通り道で
雪と言うよりも 氷の世界と化します
今年はまだ緩い方で 凍結した表面がブルーに見える事があり
そうなると アイゼンの刃もたたない固く 難儀するのだとチチに聞きました

その時々で表情を変えて試練を与える山ですが
魅力も沢山あって 誘われるように登ってしまいますよね

若い頃は私もかなり無謀な事をしてきましたが
この年になると 臆病になり 慎重すぎる程 慎重になります

これもまた 山から学んでいったことなのかもしれません


コメントを有難うございます

返信する
ありがとうございました。 (Misa)
2019-02-18 00:30:43
初めてコメントを書かせて頂きます。同じ日、同じ時間に木曽駒岳に他3名、4名のパーティーで向かっていました。下山時は1人が緩い所で5m程滑落、ピックが登山道を示す杭に引っ掛かり停止、ケガはありませんでした。チチお父さんから歩きについて御教授を受け、その後も全員安全に下山することができました。『ありがとうございました。』山歩き3年目のひよっこで、先週末の体験をまだまだ消化出来ずにおります。ブログを何度も読ませて頂き、初心を忘れず、今後に繋げて行きたいと思います。山々、美しかったです。
返信する
Misa様 (nanekobi5963)
2019-02-18 08:25:30
始めまして♪
今回の木曽駒は綺麗でしたが厳しさも持ち合わせておりましたね

往路も復路でも プチ滑落にはよく遭っており
その都度チチが声をかけて歩き方を教えているのを見かけました
小さな滑落を含めると 今日だけで何度遭うのでしょう…と思ったほどです
それほど危険を秘めたお山でした

昔の指導していたころに血が騒いだのでしょう
山の怖さを知っているチチですから 余計に…
それでも こうしてご返事いただけたことが嬉しく思います
こちらこそありがとうございます

お互い 無事下山できたことが何よりですね
色々な経験をして 山を覚えていくのかもしれません
また、どこかのお山でお会いできると嬉しいですね

コメントをありがとうございます
返信する
僕からも有難うございます (メロン)
2019-02-18 21:14:53
『ザイルと焚火と焼酎と』の「メロン」です。
2016年10月の阿弥陀岳にコメントして以来ですね。
僕自身のブログは訳あって書けずにいますけれど、山登りは続けています。
このコメント欄の「Misa」さんは僕と同じ山岳会の仲間。
「チチ」さんに感謝のお礼をお伝えください。
返信する
メロン様 (nanekobi5963)
2019-02-20 08:35:09
おはようございます

コメントを見た時 驚きました 
こちらこそ 恐縮してしまいます
私の気ままなブログの文章で 不快に思う事がありましたら こちらこそ お許しいただきたいと思います

Misa様と同じ山岳会のお方だとは 本当に奇遇と申しましょうか…
チチも驚かれておりましたが チチも無事に下山できたことを喜んでおりました

阿弥陀岳以来ですね 
お山に登られていると知って嬉しく思います
また どこかのお山でニアミスありますでしょうか(笑)

山はいいですね
私も 謙虚に向き合って登っていきたいと思っています

コメントをありがとうございます♪
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